川俣十郎と高砂国北部の制圧と狩りの準備

◇川俣十郎正具


 俺たちがアチェから戻ると、殿から新たな書状が届いていた。

 年が明けたら、倭寇だけでなく、明の近くに現れるポルトガル船も襲う様にと言う指示と仔細が書いてあった。思わず笑みが溢れてしまう。

 アチェで購入した火縄銃を取り扱える様になったが、ポルトガル人はあれを使いこなして戦うのだろう。

 また、火縄銃より遥かに大きい大砲と言う物で、鉄の弾を撃ってくるらしい。

 そんな奴らと戦えると思うと、闘志が滾ってくるな。

 しかし、殿の書状にも書いてあったが、まずは高砂国北部を制圧し、高砂国における本拠地を獲得する必要がある。

 高砂国北部に拠点があった方が、倭寇を狩りやすいから、俺たちとしても、高砂国北部を獲得したい。

 噶瑪蘭湊もある程度の形になり始め、山田式部少輔殿が噶瑪蘭(クヴァラン)族や泰雅(タイヤル)族を支配下においたことで、高砂国北部の凱達格蘭(ケタガラン)族の支配地域を攻めることが出来る様になった。

 そして、山田式部少輔殿の指示で、年明けに高砂国北部の凱達格蘭族の支配地域を攻め取ることになった


 年が明け、俺たちは、凱達格蘭族の支配地域を攻めた。

 凱達格蘭族の湊には、倭寇の明船が三隻泊まっており、俺たち海軍歩兵は事前の取り決め倭寇たちを襲う。

 奇襲に成功し、あっという間に制圧したが、制圧後に広場で行った泰雅族の首狩りは酷かった。薩摩の者たちは動じてなかったが、凱達格蘭族も倭寇も怯えていたからな。


 山田式部少輔殿は、その後も高砂軍と泰雅族を率いて凱達格蘭族を平定に赴いていた。

 支配下においた凱達格蘭族に交渉に赴かせ、泰雅族で脅して平定していったらしい。

 山田式部少輔殿が不在の間は、俺が支配地域の警戒を代行していた。

 凱達格蘭族に、殿が求めている燃える黒い石で石炭とやらを尋ねたところ、掘れる場所を教えてくれたので、噶瑪蘭湊から届いた奴婢たちに掘らせる。

 そして、噶瑪蘭湊へ戻る船に、山田式部少輔殿書いた殿への書状と石炭とやらを積んで、琉球へ向かう船に積んで運ぶように命じた。

 倭寇の明船が三隻手に入ったことで、船の入手を待っていた兵たちを新たな明船に振り分けて、訓練をさせる。

 動かせる船が増えたことで、倭寇狩り、南蛮交易が同時に出来る様になるな。

 俺たち、倭寇狩りの船は南蛮交易を他の船団に任せ、倭寇狩りやポルトガル船狩りに専念する様にと殿から指示を受けている。

 そのため、高砂国北部を制圧した後、三隻を噶瑪蘭湊へ戻し、南蛮交易に向かわせた。

 残りの船は、新たに手に入れた明船を含めて四隻で、その内の三隻で倭寇狩りを行うことにした。

 新しい船に割り振った海軍の奴らは、志摩で明船の訓練を受けているので、訓練している内に、使いこなせるようになるだろう。

 俺は、神代勝利殿や九鬼宮内大輔殿と相談し、山田式部少輔殿が戻られたら、倭寇・ポルトガル船狩りに赴くことにし、海軍の者たちには準備をするように命じた。


 山田式部少輔殿が戻られ、引き継ぎをし、俺達は倭寇・ポルトガル船を狩るべく、高砂国を出航した。

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