船を送り出した後で

 蟹江湊から、薩摩へと船団を送り出した後、弾正忠と少し話をした。

 今後の交易についてのことや、佐治水軍を如何に味方に付けるかである。

 弾正忠と佐治水軍は現在のところ良好な関係のようなので、今は弾正忠に任せることにして、何れは話し合いの機会を設けなければいけないことで一致した。


 蟹江に船が着く前に、黒田下野守には白川雅業殿とともに、伊勢神宮へ行ってもらったのだが、無事に戻ってくることが出来た。

 伊勢神宮までの道のりには、約120の関所があるらしいので、船で大湊まで行く経路を採用した。

 帰って来た黒田下野守の話を聞くと、伊勢神宮の祭主も初めは戸惑っていたようだが、雅業殿の説得により、犬猿の中である吉田家に対抗出来るならと、新教義や外地への伝道に賛意を示してくれたらしい。

 白川雅業殿は、伊勢神宮の内宮に残り、内宮の神職たちと教義と伝道について研究することにしたようだ。伝道する神官も内宮関係者になるのだろう。

 伊勢神宮を頂点とした復古的神道は、白川伯王家だけでなく、伊勢神宮にとっても色々都合が良いからな。

 志摩については別宮の伊雑宮を含め御料地があるが、国人たちが寄進しないことで収入が激減してしまったことに悩んでいたようだ。

 そのため、志摩を統治をしたら、しかるべき献納を約束すると、是非ともお願いしたいと、伊勢神宮側から頼まれてしまった。そして、当家を神宮公認の志摩代官と認める書状も貰ってきたようだ。

 薩摩へ船団を送り出したばかりだが、近いうちに雑賀へ人を遣って、志摩攻めを相談しなければならないな。

 まぁ、志摩攻めのためには、弾正忠家の援軍を頼むためにも、弾正忠の妹と祝言を挙げてからになるだろう。

 あまり、佐治水軍を除け者にすると厄介になりそうなので、佐治水軍にも援軍を頼むべきかもしれない。

 志摩の九鬼氏など、熊野水軍の影響が及び始めているから、佐治水軍も警戒して協力してくれる可能性はある。


 志摩を手に入れた後のことも考えておかないといけないな。

 一応、一国を手に入れてしまうのだがら、分国法作っても良いのだろうか?

 海産物とかの名産品も作らないといけないな。鳥羽湊を活かした海上交通やら、考えなければならないことが沢山ある。

 取り敢えず、志摩の国人たちで水軍は全員強制的に海軍に編入だな。

 基本教練が出来るように、暫くは美濃で肉体言語による教育を受けて貰わなければならない。

 当面、海軍については平井宮内卿に任せて、その補佐には頭角を表し始めている川俣十郎をつけて組織の基礎を創ることとしよう。


 そういえば、そろそろ諸大名、諸勢力に書状を出さないといけないな。

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