乱波の追加雇用と人材探し
長良孫四郎吉幸こと鵜飼孫六が話があるとのことで、訪ねてきた。
「先日、殿よりまとまった銭をいただいたので、甲賀より乱波を雇いたいのだが、構わんか?」
商いが軌道に乗り始めたので、情報収集の費用にとまとまった銭を渡したのであった。
鵜飼孫六が甲賀より鵜飼家の乱波を数人使っていることは知っていたので、鵜飼家への報酬も含めて渡したのだ。
「乱波が更に必要になるようなことがあったのか?」
「いや、乱波が必要になるほどの敵は殿にはおらんが、まともに城が無い状況では、周りの国人や地侍どもが攻めてくるかもしれんから、乱波を放っておくに越したことはない。
今の中井戸村は、殿の商いのお陰で活気があるから、妬んで横取りしようとする者が現れないとは言い切れまい」
「確かに、その通りだな。用心するに越したことはない。」
「それに、多羅尾家と鵜飼家は殿より銭をいただいて、甲賀に銭を送ったからな。
甲賀の他の者も雇わねば、妬まれ、要らぬ恨みを買うからな」
「妬まれても困るな。乱波を更に雇うこと許そう」
鵜飼孫六に追加で乱波を雇うことを許可した。
しかし、銭が入ってきたことで、出来ることが増えてきたものの、人材が不足している。
わしには譜代の家臣がいないのは弱味でもあり、強味でもある。
今は銭払いで雇っているが、それを常態化させ、土地を与えることなく、金銭による家臣の雇用を目的の1つとしている。
だから、銭払いで仕えてくれる人材を必要としているのだが、武士らしい武士だと土地を欲しがるので、雇うとしたら武士っぽくない人や庶民になっていまうだろう。
それでも、探さないと人材は増えないから、鵜飼孫六に命じておこう。
「孫六よ。乱波の雇うのも良いが、文官働きが出来そうな者や、武官になりそうな者も探してくれ。
銭払いで良く、土地を欲しがらぬ者なら身分は問わん」
わしの言葉に、鵜飼孫六が少し目を見開いた。
「身分を問わんのか?そうなると甲賀の者で乱波以外にもなりたいと申し出てくる者が溢れそうで怖いわ
まぁ、殿の喜びそうな人材を探してみよう。」
鵜飼孫六が口角を吊り上げ応える。
「そう言えば、武蔵に田代三喜という明帰りの医者がいるそうだ。其奴と伝手をつくって、美濃に来ても良いという医者がいるか紹介してもらってくれ」
「医者か・・・。甲賀にも薬を扱う者はそれなりにおるぞ」
「甲賀に薬を扱う者がおるのか?銭を渡すゆえ、田代三喜に弟子入りしても良い者を募ってくれ」
「分かった。確かに、甲賀の薬を扱うものが医者になれば、更に役に立つな」
鵜飼孫六は甲賀に利になりそうな話なので、嬉しそうに承諾した。
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