ずっと見続ける夢

のり

第1話  幸せな悪夢

8月7日

今は夏休み真っ最中



ーーーーーここまで分かった?


あ、はい。大丈夫です


返事はしたものの、俺は何にも理解していない。


(ここって教室だよな?てか、夏休みじゃねぇのかよ。何で先生が目の前にいるんだよ)


知りたいことはたくさんあった。

でも俺は何にも聞くことは無かった。

いや、聞かなかったんじゃない







聞けなかったんだ。









ーーーーー9月7日



ジリジリジリーーーーカチャ



目覚ましの音で目を覚ました俺は、いつも変わらず顔が真っ赤だった


(またあの夢かよ…)



これが何の夢なのかは分からないが交通事故にあったあの日からずっと同じ夢を見続けている。


(夢に出てきた人…)


そう考えて、慌てて頭を振る


その人は俺の担任の先生らしい。

そして俺は、その先生が好きだった。

信じたくはないが、夢に出てくる度に顔が真っ赤になったりすることから間違いではないのだろう。

もちろん、俺はその事を覚えていない。



8月7日

夏休み真っ最中

俺は、交通事故にあった。


気がついた時には病室にいた。

目の前には知らない人が泣いていた。


違う。知らない人じゃない。

覚えていないだけなんだ。





時間はかからなかった。



自分が記憶喪失であることに気がつくのは





その日に先生は来た。


俺が交通事故にあったのは自分のせいなんだといいに来たらしい。



先生が言うことによると。


俺は、先生のことが好きで、車にひかれそうになったところを、俺が助けた代わりに自分が交通事故にあったということだった。














思い出したくても思い出せなかった。

そのときのことを。






でも、見続けている、

その日のことを。





幸せな悪夢をーーーーーーーーー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ずっと見続ける夢 のり @1oza9mon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ