第24話 デリンジャー、念願の瞬間に対面すること

 デリンジャーは思った。撃てと。弾丸は装填されている。魔法の弾丸だ。


 魔弾などと称される魔法の弾丸に、腕前は関係ない。殺したければ殺すし、殺したくなければ殺さない。だから、ひとつ前の所有者——音無春邦だとかいう名前の男には、今の所有者を殺せなかった。

 今の所有者、白河六花は違う。彼女は殺意に溢れている。撃たれて気絶し、目覚めた直後でありながら、彼女は魔弾を使いこなしてくれた。だから、殺せた。だから、そう、デリンジャーは彼女に恩を返したいのだ。


 デリンジャーの重い引鉄引張力は安全装置の機能を果たしている。しかし彼女の殺意はその安全装置をものともしない。肉体的にも、精神的にも。不幸に呪われた魔銃であるデリンジャーを使いこなせる。人を殺す引鉄を自信の意思と力で引けるようになっている。

 弾丸は二発。自由に撃てる。簡単に決着だ。必要ならば、銃で撃たれたという証左さえも消し去ってみせよう。


 だから、さあ、撃つんだ。


 撃て。


 きみは引鉄を引くだけでいい。


 デリンジャーのその誘惑通り、銃口が前の持ち主である音無春邦に向けられる。

 引金が引かれた瞬間、デリンジャーは歓喜した。二発の魔法の弾丸は、その射手の腕前など問題にせず、狙い通りに突き刺さり、弾けた。

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