第四話 金翅鳥王の火
字を
だがしかし、その
死だけが
今まであってきた
そして
だがしかし、その
そして、その長兄を
「……なるほど、な」
「どうだ、つまらん
「そうだな、たしかに、
「気に入った。お前は、とても
月白が、一刀斎の胸に手を伸ばす。
月白の手が、一刀斎の胸に触れる。
「
「……一刀斎。言っていたな? その
月白の
「なら、お前が斬ったものは、その陣三郎とやらに巣食っていた
今まで実感だけがあった、なにかの答えが、思いがけず
この
月白は一刀斎の胸に当てていた手でもって、今度は一刀斎の
「
「……よく分からんな、
「いや、
なんとも
月白は頬笑みを
「――
「どちらにせよ、人は
「なに、武芸者とはそういうものだろう? 武芸者に
月白が、帯に挟んだ
「こうだ」
「ぐっ…………!?」
腕を取り、ぐいと身体を寄せてきたと思ったら
攻め気は無かった。というよりも、攻め気があまりにも
思わぬ
「
「まあ、
「
「この
「あれで動いた内に入るのか──」
月白が、
今まで羽織で気付かなかったが、なぜか月白は
「……
「医者に
月白が羽織を持って立ち上がる。これで
「では
「いやちょっと待て」
月白はそのまま、一刀斎の部屋に入ろうとする。さすがの一刀斎。月白の
すると、月白は振り返り、その上気させた頬を、頬笑みで
「……はじめて、君から
「完全に
女は苦手だが、酔っ払いには慣れている。
だから、今の月白も
「いいや酔ってない! だって一刀斎の方が飲んでた! なのに酔ってない! つまり、わたしも酔ってない!」
そういえば、体も
それはとりあえずさておいて。
「いや、お前は間違いなく酔っている……ほら、
「ん? わたしを部屋まで
「
「ならわたしはこの部屋で寝る! 自分の寝る
「おい……」
月白は手を振り払い、(一刀斎のために)敷かれていた布団に
――が。
「…………なんのつもりだ?」
「ここは一刀斎の部屋なんだから、一刀斎が出て行くことはないだろう」
月白に、
「ならお前が出て行け……」と、溜息混じりに振り返ると、ギョッとした。
……服が、
これが自斎であれば―出来るかどうかは別として―そのまま外に
なんとか視線を
「なんだ、この本は……
「ん? ああ、これか? 読んでみるか?」
医学書など読めないが、月白から目を話せるならなんでもいい。
月白が差し出したそれを、一刀斎は受け取り、
「で、なんの本なんだ?」
「伯父上が書いた
めくった
「…………なんで、そんなものを、持っているんだ」
「来る前に
「持ってきた理由を聞きたいんだが」
「……だって、
「いや、持ち歩く方が
急にしおらしくなったのは酔いのためか。それとも
月白には、
「一刀斎なら、いいぞ?」
「――――は?」
「わたしでは、だめか?」
一刀斎は、
「…………なぜ、俺ならいい?」
その
「――天下一を
天下一を目指す仲間。月白のその言葉に完全に
さっきの鉄扇の
……よく見れば、誇らしげで
ああ、
一刀斎は月白を起こさぬようにそっと
……しかしなんだろうか、
はて、と
いつもは
「…………すまん」
なぜか分からないが、物言わぬはずの
「ふわあ──」
──
「おはよう、一刀斎」
「ああ、いい
月白は布団から
「……ん?」
「どうした、一刀斎?」
ふと、気になった。
今自分が着る褐返の小袖。昨日の夕に脱いだあと、すぐに洗濯したとして、夜に乾いて枕元に用意することなど出来るのか。
というかまず、己の部屋であるはずなのに、なぜ月白の小袖が用意されているのか。
月白もそれに気付いたようで、「まさか」と
「おはようございます!」
「も、桃さん!?」
この屋敷の主、柳生新左衛門の
「お食事の用意ができましたので、
「……
「……頼む」
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