ラピス=ラズーリ 語られなかったエピローグ
ヒロツダ カズマ
第61話 10-Ex 真・エピローグ
二人の少女がいた。
方や全てを知り、全てを諦める凍てつく氷の心の「絶望」で名をレイン。方や何も知らずも、恐れ知らずで諦めない全てを潤す水の心の「希望」で名をフェルメールと別々の色を持つ二人の“色族”の少女は、レインが雨の夜に“黒族”から逃げ落ちた先の小さな村でフェルメールと出会い、フェルメールから親交を深めて受け入れたレインとの二つの色が混じり合う矢先、「絶望」の力を欲する“黒族”から「希望」のフェルメールを護る為にその身を犠牲にし、「希望」を信じるレインとの別れから、私と入れ変わった。
「これが「絶望」だ。人一人喪った程度の貴方の「絶望」なんて比較にならない。いずれ私と同じ結末になる事は明白。運命は変えられない以上、私の代わりとなってここで消えてもらう!」
「「希望」を捨てず諦めなければ、運命なんて書き換えられる。私には、まだ仲間がいる。全てを諦めて「絶望」した貴方とは違う!」
かつての私を恐れ「絶望」しかなかった私は、「希望」の私―フェルメールを殺そうとしたが、フェルメールの諦めない「希望」の前に、昔忘れかけていた「希望」を私に思い出して敗北を受け入れ、私が全てを葬り去るはずだった“黒族”との決戦を、フェルメールと彼女を信じる“色族”の仲間達に託した。
「そうね。みんなの為にも、絶対に諦めない!私は、「絶望」と「希望」の奇跡”だから!」
「絶望」の力を持つ“黒族”と「希望」の力を持つ“色族”との決戦は、「絶望」に陥りかけた窮地を、「希望」を信じた“色族”の仲間達の助けもあり、私とは違う“真の四度目の奇跡”で「希望」の勝利に終わった。
だが、私にはまだやるべきことが残っていた。
昔、私の力による“四度目の奇跡”の先を見届ける為、私の持つ「絶望」と「希望」の二つの色から創ったレインとフェルメールを、私との縁と呪縛を断ち切る転生で罪滅ぼしをし、二人と永遠の別れをした……はずだった。
「ただいま。フェル!……フェル?泣いてる?」
「ええ。本当に再会出来るなんて思わなかったから……おかえり……レイン」
こうして、出会いから別れといった様々な色と混じり合った末、一年後「絶望」と「希望」による再会の絵を描き上げた。
この再会は、ただの再会ではない。
何も知らない「希望」が、全てを知る「絶望」を受け入れても尚、諦めない「希望」の心が「絶望」を超えた、「絶望」と「希望」の奇跡の再会である。
「絶望」と「希望」の奇跡の再会を見届けた今、私の役目は今度こそおしまい。
「フフッ、まるで三途の川ね……三十年も待たせちゃってゴメンね。アイボリー、セピア。今、私も行くよ」
フェルメールとレインが、“平原の村”の河原で叶った約束による奇跡の再会を、遠くから人知れず一人の女性が語り部の如く呟いた後、女性が居た河原の対岸から二人の男女が現れた構図からお迎えが来たと察した女性は小さく笑いつつ、「アイボリー」と「セピア」と名乗る対岸の男女二人に詫びてから二人の元へと歩み始めたと同時に、女性の体から水色と青の光の粒が溢れ始めては、やがて対岸の男女二人と共に女性は幻影の如く消えていった。
ラピス=ラズーリ 語られなかったエピローグ ヒロツダ カズマ @domoHirodesu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます