最後の30分

よつば

第1話 最後の30分

田中は鈴木が好きだ。

今回の主人公は田中一郎という男だ。30歳で独身。大学を卒業し、一般的な会社員として8年働いている。

そんな男が一世一代の場面を迎えていた。

ヒロインの鈴木は、田中と同じ会社に勤務している、同い年の30歳。

今日は2人でディナーを食べにレストランにきていた。


田中はかねてから鈴木のことが好きだった。

具体的にどこが好きかきかれてもわからないが、直感的に好きだった。

すごく美人ななけではないが、愛嬌があり、ヒマワリのような印象の鈴木。

一緒に過ごしていると前向きになることができた。


対しては田中は、自分でいうのもなんだが平々凡々。身長体重も人並み。学力も人並み。部活動でも成果は出せず。特に秀でているものはないとの自己評価。あえていいところをいうのであれば、我慢強く粘り強く同じことを続けることができるところか。そんな自分がヒマワリのように輝いている鈴木と釣り合うのか、ずっと考えていた。


田中は鈴木と付き合いたいと思っていたが、なかなか告白をする踏ん切りがつかず、片思いを5年以上していた。

あまり鈴木のプライベートのことを知らないこともあり、鈴木に恋人がいるかどうかもわからなかったが、30歳になったことをきっかけに意を決して、食事に誘うことにした。

振られるにしても、はっきり言って、踏ん切りをつけられる、そんな思いもあって今回の食事のお誘いをした。

食事に誘うと、少し戸惑う様子はあったが、鈴木「いきましょう。どこにいきましょうか」と返答があった。

そんな中で田中の友達がやっているレストランに行くことになった。



田中「食事おいしいですね」

鈴木「そうですね。」

話がまったく弾まない。どうしたらよいか見当もつかない。

恋愛経験もほとんどないため、引き出しが少ない。

ただ今日は最後まで自分の思いをいう。自分の思いを言ったうえでプロポーズをする。そう誓っていた。

いまどき流行りの交際期間0日での結婚を目指していた。


お店に閉店時間が迫る。あと30分だ。

田中は手が震えてきた。指輪は準備している。プロポーズの言葉も何度も練習してきた。できることはそのプロポーズまでの雰囲気づくりだ。

ただ引き出しがない。何を話していいのかわからない。

趣味もしらない。


時折、鈴木から世間話をふるられることがあったが、1問1答になってしまい、話が広がらない。

どうしたらよいのか。

刻一刻と時間が過ぎていく。

閉店まで25分。


鈴木「そろそろお店も閉店ですので、帰りましょうか?」

田中「そうですね、、、」

鈴木「私、お手洗いにいってきますね。」

田中「わかりました」


閉店まで15分


少し無言がつづき、


鈴木「そろそろ帰りましょうか?」

田中「そうですね、、、」

田中「少し話をしたいことがあるのですが、、、」

鈴木「はい。」


ついに時間がきた。

田中はカバンの中の指輪の位置を確認した。

すぐに取り出せる状態だ。

深呼吸をした。

深く息を吐き、いうことを心に決めた。


閉店時間、最後の3分。

田中「鈴木さんー」




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最後の30分 よつば @yotubanomori46

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