Two STORY
あれから一か月後 ある島の館
この島は誰にも特定されることはない。
何故ならば地図にすら載らない島であるからだ。普通の人間からすればそんな島は存在するはずがないだろうと言うだろう。
だが現実にそういう島は存在する。
でも何故この島が地図にすら書かれていないかと言うとそれは単純に圧力をかけているからである。どの国にでも大統領や皇族は存在する。その国の上層部に対して圧力をかけこの島を地図に載らないようにしている。
この島はアルセーヌ家が代々支配してきた島である。この島は普通の住民もいるが世間一般から見れば悪人として扱われているものたちもいたりする。
だがこの島では犯罪が起こらない
普通に犯罪者と一般人を一緒のところで暮らさせれば暴動や犯罪が多発したりするがこの島はそういうことはまったくない。
それは何故かというと平和的な解決がうまいとかではまったくない。この島に住むすべての人間がアルセーヌ家に忠誠を誓っているものしかいないからだ。忠誠で本当に事件が起こらなくなるのかと思うかもしれないがそうなるのだ。
この場所は国として認められていない。それは各国の首脳たちが認知をしていないのもあるがそれ以外にも認知をしていないように見せかけているものいる。この島を国として認めてしまえば色々と面倒になるからである。その面倒なこととは犯罪者が島にはいるからである。もし、その犯罪者が自国に来てしまったら国が混乱に陥ってしまうかもしれないからである。
そんなことを考えていると勢いよく扉が開いた。
ドン
扉の先からガタイの良い男が入ってきた。
その人物とはアルバート・ライヒートである。
「久しぶりだな。ライヒート」
トリトスが言った。
「久しぶり、あいつらはまだ来ていないのか」
ライヒートは部屋を見渡しながら言った。
「まあ、いつものことだから、あの子たちが遅いのは」
トリトスは笑ながら言った。
そんな話しをしながらライヒートは空いている席に座った。
他の幹部のメンバーからみれば多分、冷たい人だと思われているかもしれない。だけど俺はライヒートが仲間のことを心配していることを知っている。
「仕事はどう?」
トリトスがライヒートに向かっていった。
「順調と言えば順調だな」
「それはよかった。君は最初に会った時、心を失いかけていたからね。正直、一時期は仕事を変えさせようかも考えていたけどライヒートが自らあの仕事を続けたいと言っていたから続けはさせたけど心配なんだよ、こっちとしては」
「心配してくれているのは嬉しいが無用な心配だ。これでも心は強いしもう死体も見慣れたから」
ライヒートが少し笑顔を見せながら言った。
ガチャ
扉が開いた。
次に来たのは双子の二人だった。
「兄様~」「兄さん~」
双子はトリトスに向かって勢いよく走っていった。
トリトスは席を立ち双子の方へと向かった。
「久しぶりだね~二人とも」
トリトスは双子を抱きしめた。
「ずっと会いたかったよ。兄様」
「頑張って1か月分の講座を受けてきた苦労が報われるよ」
ここまで会いたいと思っていてくれていることは嬉しいことだな。
大学には通っているが年齢だけなら中学1年生ぐらいだろう。
「そこまで言ってくれると俺も嬉しいよ」
二人を抱きしめながら言った。
少しずつ腕の力を弱めて二人を離した。
「え~まだ抱きしめて欲しい」
「折角、会えたんだからもう少し抱きしめてくれ」
二人はこんなことを言っているがこのまま抱きしめているわけにはいかないな。
流石に13歳の子供を抱きしめ続けるのは社会的にまずい気がする。
この子たちも将来は好きな人とか出来るんだろうな~。
「抱きしめてくれないと誘拐されたって報道者に言いますよ」
それはヤバい。
ガチで人間として社会として終わってしまう。
「.............わかったよ」
「よっしゃ~さすが我が妹だ」
「もっと感謝してもいいんだよ。ムート兄」
そしてまた俺は屈み二人を抱きしめた。
「このために生きてきたって感じだ」
「その気持ちわかる。なんだろうな~私たちの唯一の癒しって感じかな」
二人がそんな会話をしていると...............また扉が開いた。
ガチャ
「トリトス様~~~」
この声はと思い声の主のほうを見ると予想通りの人物が立っていた。
服が物凄く派手である。
「エスリン、久しぶりだね」
俺を見つけた途端、物凄い速度で俺のほうに走ってきた。
おい、双子と同じか。
「悪いが今はお前を抱きしめることは出来ない。今は双子を抱きしめているからな」
「そうだよ~エスリンは、大人しく席に座っているといいよ」
「悪いですがそうしてもらえると助かります」
何故か兄のムートはとても恐縮そうに言ったが妹のリーベは少し強気な感じで言った。
「随分と言うようになったじゃない、リーベ。悪いけど序列では私のほうが強いからね」
エスリンの言葉にリーベは少し膨れている。
「エスリンと私の序列の差はたった一つしか違わない。今、戦えば前の結果と同じになるとはわからないよ」
リーベはエスリンに向かって言った。
序列.......?
そんなものが幹部たちの間ではあるのか。
そんな縦社会にする気はないんだけどな。
「わかったよ。リーベとムートは一回降りてくれるかな」
俺が言ったらリーベはしぶしぶだったがムートに関しては素直に降りてくれた。
そしてエスリンを俺は抱きしめた。
こんなことが毎回だと流石に年に一度会うことぐらいで丁度いいのかもしれないな。
そのあと少し経つと他のメンバーも到着し今は席が全員分埋まっている。
「うるせぇな」
「死ね」
「殺してもいい?」
「近いんじゃなくて」
「これ以上の無礼は許さんぞ」
全員が集まるとこんな風な感じに毎度のことながらなってしまう。
正直、決して仲の良い感じではない。
だが一人一人に個性があっていいと思う。
もし、喧嘩一つも起こらないければそれはどちらかが遠慮していると俺は思っている。
まあでも俺の近くの席に座っている双子が心配そうな顔をしながら俺を見ている。
この二人にそんな顔で見られると言わないわけにはいかないな。
「お前達、一度落ち着け」
俺は久しぶりに鬼でも逃げ出してしまうくらいの大声をあげた。
本当はこんな声は出したくはないんだがな。
俺の声に驚いているようで全員が固まっている。
少し強く言い過ぎたかな。
「悪い。少し強く言ってしまって」
言った途端、騒いでいた連中が謝ってきた。
「いいえ、あなたが謝ることはないですよ」
「そうです。私たちが騒いでいたのが悪いんですから」
「主様は謝る必要はありません。こいつらが悪いんですから」
別に騒ぐことが悪いとは言っていないんだが、ただ少しの間静かにしてくれれば。
「まあ。別にいいよ。では、話し合いを始めようか。では、まずはストーン。仕事についての報告はあるかい?」
俺がストーンの方を見ながら言っていることに気付いたのかストーンは物凄い笑顔でこう言った。
「近々、大きな戦争が起こるわ。この場所も危ないかもしれない。だからトリトス様、一緒に逃げましょ」
ストーンの発したことは俺達の脳をシャットダウンさせるには十分だった。
それから数分が経った。
やっとシャットダウンしていた頭が元に戻った。
おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい。
「さっきの話しは本当?」
俺は恐る恐るストーンに聞いた。
「本当ですよ、トリトス様。この私が嘘をつくなんてあり得ないですわ」
自信たっぶりに言った。
これに関しては嘘であってほしかった。
「そうか……………」
「それはさすがにまずいのでは?」
俺が悩んだような顔をしているのを見てかフロイトが言った。
「私たち全員がトリトスに恩がある。あなたがやったことはそれを仇で返すことと変わらない」
普段のフロイトからは絶対に発せられないのような声である。
こんな人に強く言うフロイトは初めて見たかもしれない。
でも、これでは……………
「一旦、フロイトも落ち着いて、別にストーンも悪気があるわけではないんだし、」
「トリトスは優しすぎるんです。この人はトリトスがどれだけこの島を大事にしているかを知らないからそんなことが出来るんですよ」
確かに俺にとってこの島は宝物そのものだ。
だから俺は……………
「ストーン、悪いけど俺はまだこの島を捨てる気にはなれない。」
裏社会のボスは仲間に囲まれている! 普通 @jgdqa
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