ONE STORY

ブラジルのある道


クリストファー・プエルタ


ここは普通の道より少し細い道だ。

今、この道は物凄く霧が濃い。

周りには住宅が横並びに並んでいる。


「この町も物騒になったな」

一人の男が霧の深い道を歩きながら一人言ぐらいの小さい声でく

「また、殺人事件か‥‥‥‥」

女が霧の深い道を男と反対側を歩きながら言った。



男と女が通りすぎて誰もいない道、音も何も聞こえなくなった。

すると今まで誰もいないはずのところから少年が姿を表した。


「次は、誰を殺そうかな~~。次はバレないように殺すかな~~やっぱり楽しいな~~~」

この年の子供がこんな笑顔を見せるはずがないような歪んだ笑顔で言った。


「 警察に見つからないように殺すのも楽しいしな‥‥‥‥どうするかな~~ああ、そう言えば"あいつ"はまだ元気かな」

今さっきまで笑っていた顔が急に真剣になった。

「まあ、簡単に死ぬような奴じゃないか…」


いい終わると少年は男が歩いて行った方向に歩いて行った。







同時刻 事件現場


死体に向かって合掌をしている年配そうな刑事とその後ろに付いている若い刑事がいる。目の前には一人の男性がうつぶせになりながら血を流しながら倒れている。

「これで何件目だ?」

「10件目です」

「はぁ~~連続殺人事件がここまで続いたのなんて前代未聞だ。それで今回の状況は?」

「見ての通り致命傷は頭を切られたことで死亡時間は午前11時ですね」

「随分とピンポイントで時間が分かっているんだな。目撃者でもいたのか?」

まあこんな人通りのある場所なら目撃者がいて当然か。


「はい。いるにはいるのですが、、」

若い刑事が口ごもった。


「犯人は仮面を被っていたため顔は見ていないとのことです。その仮面を被っていた奴は尋常じゃない速さで逃げて行ったそうです」


はぁ、やっぱり前と同じか。


「仮面を被っていたんじゃ顔の特定も出来ないしどうするか」


年配の刑事は懐に入っていた、たばこを取り出しポケットからライターを出し火をつけた。たばこを口に加えたまんま年配の刑事はこう言った。

「だがこれ以上こんな被害者を増やさないためにも俺達がしっかりしなくちゃならない」


「でも、具体的な解決策がないんじゃ……」

若い刑事が言った。


確かに言う通りだ。


 さて、どうするか。

年配の刑事が悩んでいると若い刑事が言った。


「"あの探偵"に聞いてみるのはどうでしょうか?」

最初は誰のことを言っているのか分からなかったが少し考えると"あいつ"だとわかった。

あんまりあいつには頼りたくはないが今回のことに関しては仕方がないか。




同時刻 ある路地裏


アルベルト・ジェンナー



そこには女が一人、男が一人いる。女の方は普通に見れば絶世の美女だがその左手には地塗られた鎌が握られている。


「来るな~謝るから~」

男は泣きながら言った。

その言葉がさも聞こえてないかのように女は近付いてくる。そして男の前まで来た女は地塗られた鎌を振り下ろした。


ブシャ、ブシャ、ブシャ


女は何度も何度も鎌を振り下ろした。

そしてもう人間とすら見えないぐらいまで切りつけた所で女は止まった。


「やっぱり殺すのは楽しい~」

今まで無表情だった女とは思えないほど満面の笑みを見せている。


「"あの人"は喜んでくださるかしら」

そう言いながらまた笑った。




同時刻 高層ビル 最上階


フランク・マーロン

フランソワ・エスリン


そこには、何個もテーブルがあるのに二人しか居なかった。けして人気がないわけではなく、今日は貸しきられているのだ。

 二人は向かい合う形で座っている。

 一人は男は如何にも金持ちという感じがにじみ出している。世間一般に比べれば美男だが表情がまったくと言っていいほど変わらない。髪は黒だが目は赤い。

 もう一人は女でこちらも如何にも金持ちという感じがにじみ出している。こちらも世間一般であれば美女に入るだろう。髪と目は赤い。

だが二人は楽しく食事をしているようにはどう見ても見れない。何故なら真顔だからだ。端から見たら美男美女のカップルだと見えるかもしれない。

だが二人の周りは、そんな空気じゃない。これからコロシアイでも起こるような感じだ。


「相変わらず元気そうで安心したわ」

女が無表情で言った。

「それはこっちのセリフですよ」

男も無表情で言った。

二人は顔の表情がまったく変わらない。


「それで仕事の方はどう?」

これまた表情を変えずに男が言った。

「順調よ」

女は無表情で言った。


「ボスからの命令だ」

男が言った。

その言葉を聞いた女の顔が今日、初めて変わった。

今まで無表情だった人とは思えないぐらいの笑顔である。

「それで内容は?」

今にも女はニヤケテしまいそうである。今まで無表情だった人とは思えないほどである。


「          」

男が発した言葉に女は飛ぶくらい喜んでいた。




同時刻 アメリカのあるカジノ


バジル・クラバー 

ヨシフ・ムーサ


「お前、さっきイカサマしただろう?」

「どちらにしますか?」

「出ろ出ろ」

周りとはどう考えても違うと一目で分かるぐらいのオーラが出ている人物がいた。その人物は人を掻き分けながらカジノのの奥へと進んで行く。

 奥へと進むと一つの扉があった。扉には「関係者立ち入り禁止」と書かれていた。俺はそんなこと関係ないような感じでその扉を開けた。

 扉の先には応接間見たいな部屋が広がっていた。中央にはソファーが二つ置かれていて向き合うような形でセットされている。片方のソファーに年配そうな一人の男が座っている。男はタバコを吸いながらこちらを見た。


「少し遅かったな。ヨシフ」

座っている男が不適な笑みを見せながら言った。

「ああ、悪いな。バジル」


「で今日は一体何の要件なんだ?これでも一応、忙しいんだが」

バジルがタバコを吹かしながら言った。

「今回は伝言を伝えに来ただけだ」

ヨシフが言った。

「それで伝言の内容は?」

「"そろそろ仕事の時間"だ。だそうだ」

すぐにバジルは内容を理解したようで急いで電話を掛けている。


「あ、俺だ。用意していた物をそろそろ日本に送ってくれ。ああ、頼むぞ」

それだけ言ってバジルは電話を切った。

「これから一体何が起こるんだ。あはあはあはあはあはあはあはあはあはあはあはあは」

バジルは狂ったように笑い始めた。ついにこいつの頭もおかしくなったか。


「まあ、俺は用事が済んだし帰るわ」

俺はそう言うと出口に向かって歩き始めた。



同時刻 オランダのある大学


アルセーヌ・ムート

アルセーヌ・リーベ


この大学にはどうみても不釣り合いな二人がいる。見た目だけであれば小学生にも見える。

本人たちはそんなことを気にする様子もない。

「どうする~?リーベ」

その内の一人の男の子が後ろを振り返りながら言った。

「今すぐにも発ちたいけど長期にわたって休むなら講義を纏めてたくさん受けないと。もし、授業をサボって帰るとトリトス兄様から怒られるから1か月分ぐらい纏めて講義を受けないと」

男の子の後ろを歩いている女の子が言った。

「今日から忙しくなりそうだ」

男の子は笑顔で言った。



同時刻 イングランドの刑務所


アルバート・ライヒハート


床には血がべっとり付いている。こんな光景を見ることは普通の職業の人間だとしたらあり得ないだろう。だが死刑執行員という仕事をしていると血を見慣れてしまう。

これはいい変化だったのだろうか。

一人の男はそんなことを考えながら今日も仕事をこなしていく。



同時刻 イギリスのとある美術館


ウィンストン・ストーン

チャールズ・フロイト 


美術館は美術品を見るために来る場所だ。そんなことは誰でもわかることだ。だが今、美術館に来ている人たちの目線は美術品に向いてはおらず美術品を見る二人の女性に目線は向いている。男性ははもちろん同姓の女性ですら見てしまうほどの美女である。その理由はその二人が圧倒的な美女だからである。一人は女優のウィンストン・ストーンだ。もう一人はチャールズ・フロイトである。二人とも世界的に有名な二人である。だがこの二人が一緒にいるところは今まで誰も見たことがないであろう。二人とも職業が違うので会う機会もほとんどないためである。

「どうやら1か月後に”あそこ”に集まってくれ、とのことよ」

「わかったわ。久しぶりに会うから楽しみだわ」

だが顔は笑っていない。会話をしていてもそこに心は籠っていない。お互いにお互いのことを嫌っているような感じである。

「それで今回は何人が集まる予定なの?」

「今回は主様の命により幹部たち全員だそうよ」

その返答にウィンストン・ストーンは少し驚いたような顔をしている。初めて表情が変わった。

「それは楽しみだけで仕事を詰めないとだめだわ。会うのは楽しみだけどそれまでが疲れそうだわ」

「それは確かにそうだね」

これでも一日暇を作るのも難しい二人だからこその会話だろう。

このあと二人は少し話してから美術館をあとにした。



同時刻 ある島の館


アルセーヌ トリトス


僕は長い机の先端の椅子に座っている。椅子は自分のを入れて13の椅子がある。椅子が埋まるのは年に一度ないかあるかだ。

それはこれからもそうなのかもしれない。

そんなことを思いながら今日もいつもの日常が始まる。

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