11月
戦争と調停者
「さぁ、両陣営は戦争をやめるのです。」
彼女はテーブルの上に置かれたボウルを前に、プリッツと書かれた袋を開ける。
「さあ、この者はポッキーに生まれ変わるのです。」
彼女は、ボウルの中にプリッツを漬け始めた。
ボウルの中身は、湯せんで溶かしたチョコの様だ。
「さあ、手製ポッキーの出来上がり。」
「お前の無駄な行動力は見習いたいものだな。」
彼がテーブルにやってきた。
「私は世界の調停者なの。戦争は無くなったのよ。」
「一方的に他種族を同化させてるじゃないか。」
彼が正論を唱えるが、彼女はどんどんプリッツをポッキーに変えていき、それを自分の口に運んでいく。
「まあ、俺はこれでも試してみるか。」
彼は袋からトッポを取り出し、それをボウルの中に漬けた。
「そ・・・それは!」
大仰に彼女が驚く。それを一切気にせず彼はチョコのかかったトッポを口にする。
「お、これはいける。トッポリッチとかの名前で売れるんじゃないか?」
「反逆者に次ぐ!それを私にも食べさせなさい!」
「何に反逆したんだよ。」
「ポッキーという聖なる帝国にです!」
「ポッキーは帝国だったのか。」
彼は苦笑いしながらトッポの袋を彼女に渡す。
「こんな反逆的な物・・・。」
彼と同じようにボウルの中のチョコにトッポを漬ける。そして、それを口に運ぶ。
「・・・認めます。トッポを独立国家として認めます。」
「認められたよ。」
「本当に美味しいわ。難点はちょっと周りのクラッカーが弱いってことぐらいで。」
「うむ、それは思ったな。」
そうして、彼と彼女は残りのプリッツとトッポをポッキー化させて平らげた。
「対立から生まれるものもあるのね。」
彼女はボウルに残ったチョコを覗き込みながらつぶやく。
「最高の調停者はチョコなのかもね。」
「そうだな。」
彼女の言葉に、彼が頷いた。
Two Everyday Life めび @vernys
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