第66話 関係は逆戻り
「捕まえましたよ、お嬢様」
泣きながら夜道を歩いていた麗奈は、後ろから抱きすくめられた。
「勉、さん…?」
声の主は、勉だった。
「はあ…やっと捕まえた…。僕の元へ、戻ってきてくださいますね?」
「勉さん…」
「嫌だとは言わせない。もう離しません、絶対に」
「んっ、あっ…!く、くるし…」
勉のきつい抱擁に、麗奈は戸惑った。
肩にしっかりと回された勉の腕に、麗奈はそっと触れた。
「貴女がいけないのですよ?僕から逃げるから」
「だって…」
「言い訳は許しません」
「ごめんなさい」
「結婚式に逃げ出すとは、余程冒険が好きなようですね?」
勉の声が、だんだんと怒りを含んだものへと変わってくる。
「ごめんなさい…」
「謝って済むとお思いですか?お嬢様を必死で探し回った僕の気持ちを、
貴女は理解出来ていない…!」
勉の手が、麗奈の胸へと滑っていく。
「あ…ああっ!だ、だめっ、勉さん」
麗奈は勉の手に自分の手を重ねるが、勉の手は一向に止まる気配はない。
寧ろ、勉の手の動きは激しくなっている。
「貴女は僕から逃げた。得体の知れない男にのこのことついて行って、
何度も僕から逃げましたよね」
「そっ、それは…」
麗奈は顔を赤く染めて、勉の愛撫に耐えている。
「僕は許しません、貴女を」
「つ、とむさん…」
「結婚式から逃げた花嫁を待つほど、僕は良い男ではありません」
「んんっ…」
「ふっ…お嬢様、感じていらっしゃるのですね?
こんなに、腰を反らせて…触れて欲しいのですか?」
「勉さん、だめ…お願い…」
勉は麗奈の言うことを聞かず、さらに強い力で麗奈の胸の膨らみを鷲掴みにした。
「残念ながら貴女の願いを聞き届けることは、もうできません」
「お願い…こんなところじゃ、嫌です…」
「二人きりならいいと?」
「人目につくのは嫌です」
勉は麗奈の胸の愛撫をやめ、麗奈の肩を掴み微笑んだ。
「僕の実家へ参りましょう。たっぷりと愛して差し上げます。
今宵は、長くなりそうだ…。貴女の体にしっかりと愛を教えこむと同時に、
たっぷりと仕置きもしなくては…」
「そ、そんな」
「貴女が逃げなければ、僕はもっと貴女を優しく愛するはずだった。
でも、狂ってしまいましたね。逃げた貴女に、してはいけないことはしてはいけないと、
教えこまなくては。貴女にしっかりと仕置きした上、たっぷりと愛して差し上げます。
覚悟をしておいて下さい」
勉は麗奈が手を離さぬように互いの手を絡め合い、
強く強く握りしめながら帰途を辿っていった。
夢追い人 愛原 夢音 @yumenooto
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