第3話
「ただいまー。お留守番大丈夫だった?」
先輩の部屋から出てきて五分ちょい、スマホをポチポチといじって時間を潰していたら、玄関からドアの開く音と先輩の声が聞こえた。相変わらずよく耳に響く声だ。
まあもっとも、今となってはその理由もよく分かるんだけど。
「おかえりなさい。荷物持ちますよ」
重い足取りを悟られないようにしながら玄関まで先輩を出迎えに行って、声音に気を付けながら先輩の右手にぶら下がるコンビニ袋を預かる。手から手へと渡された時、袋がカサッと音を立てた。
気は進まない。というか、正直こうして向かい合っているのも少し辛い。
それでも、言いたいことがあった。伝えたい言葉があった。
「早かったですね」
「うん?そうかな」
「無事に買えましたか?」
「うん。それはバッチリだよ」
「先輩…、藤崎が好きなんですね?」
「うん、うん!?」
私の質問に適当に相槌を打ちながら靴を脱いでいた先輩は、私が唐突にぶち込んだ質問に驚きを隠せず、すぐに顔を上げて私の方を見てきた。そして、少しずつその顔が赤く染まっていく。
「な、な、何て?」
「先輩、藤崎が、好きなんですね」
「な、な、何で?」
「……先輩、藤崎のこと名前で呼ばなくなりましたよね。昔は普通に呼んでいたのに」
「そうだったっけ?」
「ええ。話の流れでは「彼」って呼んでますし、本人に直接用事があるときも名前を呼ばずに肩を叩いたりしてます」
「別にそれぐらいで好きってことには…」
「それに、このお菓子」
「!」
「私と安藤さんは甘いのがそもそも苦手なしょっぱい食べ物大好きっ子です。そして、先輩も甘いのが好きってわけじゃないです。だから、今日甘いの食べたがる人って甘党の藤崎くらいなんですよね」
「……今日の主役は藤崎君なんだから、彼が喜べるものが多くある方がいいと思って……」
「それは確かにそうですね。にしたって、この量と種類は多すぎると思います」
右手を揺らすとガサっと音が鳴るほどにコンビニ袋の中にはチョコ菓子が詰められていた。重さ故に下に引っ張られて薄くなった半透明の袋からは、茶色い包装がうっすらとだが視認できた。
「それ以外にもまあ、いくつかあるにはあるんですが…」
「………………………」
「……すいません。先輩の部屋に飾られていた写真、見てしまいました」
「!」
私が謝罪しながら告げた言葉を聞いた先輩は、はっとしたような顔をした。それから諦めるような、何かを受け入れるような表情を見せた。その顔を見て、私は何も言えなくなった。喉の辺りに何かが詰まってしまったように声が出ない。
「………………………」
「はあ、まあいずれにせよどっかのタイミングでバレるとは思ってたけど…」
無言の空気の中、先輩はポツリと小さな声で呟いた。その声もどこか諦観めいた響きを含んでいて、結局また私は上手く言葉を紡げなくなってしまった。
だから、謝ることしかできない。
「…すいません」
「いいよいいよ。写真、見られたのは恥ずかしすぎるけどね」
靴を脱ぎ、私の横を通り抜けながら先輩は自分の部屋に入っていった。パチリと照明が点けられて、先輩の背中が光に照らされる。その背中を追いかけるも、この角度からでは先輩の顔は窺えない。
「…正直なところさ、私は彼が、藤崎君のことが好きだよ。友達としてじゃなく、異性として」
先輩はこっちを振り返ってからそう言葉を続けた。その表情がどこか晴れやかに見えたのは気のせいだろうか。
清々しい顔をした先輩とは対称的に、私の心は混沌としていた。特に先輩の口から「好き」って言葉が出てきた時は、世界が揺らいだような錯覚にとらわれた。天地がひっくり返るって表現は間違いじゃないんだなって、状況に似つかわしくないけど納得する。
「……いつからですか?」
「うーん、正直よく分かんない。強いて言えば気づいた時から、かな」
照れ交じりなのか、わずかにモジモジしながら先輩は答えた。その様子から、もう言葉には嘘は含まれていないと直感する。
ああ、全く同じだ。まったく、どうしてこうも……
「……どうしてですか?」
「これもまた何というか、上手く伝えられないかな。何となくっていうと失礼なのかもしれないけど、私にとって恋ってそういうものだから。「彼だから」っていうのが一番の理由なんだけど」
ここも同じだ。いや、きっと全部同じなんだ。
「…告白とか、するんですか?」
「あーうん。しようと思ってる。一応、今日…」
我ながら間が悪いなあ。一番良くない展開じゃないか。こんなことなら、いっそ知らない方がよかったかもしれない。
でもまあ、きっと知らなければこんな風にはならなかった。知らなかったら、私はこんな気持ちにはならなかった。
誰かを想うってことの意味に、その偽善と尊さに気付けなかった。
だから、これでいいんだと思う。
傷ついてもいいと、今はそう思えるから。
「分かりました。すいません、何か追い詰めるような訊き方しちゃって。応援してますよ」
「あはは、ありがとう。うん、やっぱり誰かに話すと楽になるよね。正直ちょっと抱え込んでたというか、相談しづらかったから」
「気にしなくていいのに。私でよければ、いつでも何でも相談してください。有益な「アドバイスが出来るかは分かりませんが」
「頼りないなあ。でも、困ったときはちゃんと言うね」
「はい、任せてください」
そこまで話して、お互いに顔を見合わせて笑う。先輩の笑顔は可愛くて、綺麗で、魅力的で、ずっと見ていたくなる。そう思うことに気恥ずかしさを覚えるけど、そう思えることが同時に嬉しくもある。
だから、踏み込もう。
それが私の最後のわがままだ。
「それにしても、先輩はてっきり彼氏いるのかと思ってましたよ。意外でした」
「ええ、いないよー。付き合ったことも中学の時に一回あるだけだし」
「そうなんですか!」
「うん。まあその時もすぐに分かれちゃったんだけど。高校の時は部活で忙しかったから、あんまり恋愛に興味なかったんだよね」
「告白されたりしなかったんですか」
「何回かあったけど、面倒くさかったんだろうね。全部特に深く考えることもなくごめんなさいって言ったよ」
「そんな先輩が藤崎に惚れるなんて…。世の中何があるか分かりませんね」
「あはは、本当だよねえ」
「でもそうなると先輩、キスとか上手くできないんじゃないですか」
「ええ!!何でそうなるの!?」
「だって未経験なんですよね。だったら…」
「確かにそうだけど…。でも別にまだそんなこと考えなくても」
「甘いですね。大学生の恋愛なんて、めちゃくちゃテンポ早いんですよ。ワンナイトラブが横行するような世界でそんな純情だったら生きていけませんよ」
「ええ、そんな大げさな」
「私が教えてあげますよ」
「えっ!それはそのぉ、どうなの」
「別に問題ないと思いますよ。ファーストキスにも入らない程度の軽いやつですから」
「そういう問題!?その、友達同士でこういうことは普通にやるものなの?」
「普通は分かりませんが、私は別に先輩とならしてもいいと思ってます」
「答えになってないよ!」
「安心してください。舌とか入れないで優しくしますから。挨拶みたいなもんですから」
「全然安心できないよ!!」
「まあまあ。身体から力を抜いて、相手に身を預けるようなつもりで…」
そう言いながら私は先輩の方へとにじり寄る。先輩は怯えて後ずさりするも、さして奥行きのある部屋でもない。壁際まで追い詰めるのは容易いことだった。先輩が慌てて動いたはずみでわずかにジグゾーパズルが飛び散り、ネコの口元の部分が下に敷かれていたボール紙の灰色に変わる。
「ほらっ、大丈夫ですから」
優しい声で囁くように言っても先輩の震えは止まらない。そのプルプルとした様子が小動物めいていて、大変可愛らしい。思わず嗜虐審がそそられる。これが興が乗るというやつなのだろうか。
壁に手を添えて、先輩の退路を塞ぐ。人生初の壁ドンをまさかやる側で体験することになるとは。
まあ、これはこれで悪くない。
壁と私に挟まれて逃げ道を失った先輩に、見下ろすようにしながら顔を近づけると先輩の濡れた瞳が写る。そしてその美しさに激しく胸を打たれた。綺麗だと、一言そう思う。夜の海のような魅力だった。深く、深く取り込まれていくのを自覚する。
その潤んだ瞳で上目遣いなどするので、先輩の目は上から注ぐ明かりを反射してわずかに輝きを帯びる。今度はその光が夜空に瞬く星々に見えた。白く煌めくその様子に、綺麗だなと、また思う。
海と星。
先輩の瞳は、夜の浜辺を体現したような美しさだった。暗い世界を輝かせる明かりと、それを受けて静かにたゆたう波打ち際を凝縮した美麗。少なくとも私にとっては、クルタ族の緋の目なんかよりもずっと価値のあるものだった。
いよいよ唇がぶつかるなというところまで接近して、そこで先輩は目を閉じた。それはつまり、委ねるということなのだろうか。
だとしたら私は…
あと数センチ足らずで先輩を、その熱と柔らかさを感じられる。先輩とほんの一瞬でも交じり合うことが出来る。こんなことが出来るのはきっと今だけで、こんなチャンスが訪れるのは今しかなくて。
それなら私は…私は……
私もまた目を瞑り、そして先輩の唇に私の唇をゆっくりと近づけたのだった。
それでも私は……
唇が何かに触れる感触を味わって、先輩は驚いたように目をぱちくりとしていた。それもまあそうだろう。なにせ触れたものは全く柔らかくないし、ふにふにもしていない。むしろ、若干骨のような硬質さを帯びている。
「えっと…これは一体…?」
「…誓いの印ですよ。先輩の恋心を安藤さんとかに他言しないっていう証です」
先輩はもう一度目をパチクリとして、今唇に触れているものを見つめた。それは私の右手の人差し指だった。端的に状況を説明すると、私と先輩の二人が私の人差し指に口づけしているわけだ。
「本気にしちゃいました?まさか、友達同士でも本当にキスはしませんよ」
「そうだよね。あはは、あんまり顔つきが真剣なものだからびっくりしちゃって」
先輩と距離をとってから、からかうような口調で言うと先輩もおかしそうに笑いながら言葉を返してきた。とはいえ、ただの笑い事でもない。こんなチョロかったら後の人生で絶対苦労する。きちんと注意しとかないと。
「今のも私だからよかったですけど、先輩可愛いんだから気を付けないと駄目ですよ。恋愛をするうえで一番大切なことは、自分をしっかりと持つことですからね」
「はい先生。それにしても本当にびっくりしたよ。女の子同士なのに、危うく勘違いするところだった」
「……そうですか。案外先輩ってチョロいんですね。何だか心配です」
震えず言葉は返せただろうか。正直なところ自信はない。先輩の声も遠くて、何だか自分が薄い透明な膜に覆われたような気分になる。顔を俯けて地面とご対面すると、パーティーで使うクラッカーが目に入った。
ピンポーン
インターホンが鳴って、続けてコンコンというノック音、最後に安藤でーすという声が一連の流れとして聞こえてきた。
「あっ、安藤君来たみたいだね」
「ですね。私カギ開けてきますよ。ついでにちょっと外の自販機でコーラでも買って飲んできます」
「コーラなら安藤君が買ってきてるんじゃない?」
「……今は缶で飲みたい気分なんです」
「何じゃそりゃ。まあ分かった。時間もあるし、行ってらっしゃい」
「はい、行ってきます」
そう言ってから私はすぐに先輩に背を向けて、足早に玄関へと向かっていった。首を相変わらず俯けたままで、廊下を見つめながら移動する。ドアを開けても下を向いたままなのは変わらない。閉鎖的な視界の中に、安藤さんの靴と両手にぶら下げたパンパンのビニール袋を捉えた。
「おう、悪いな」
「いや、大丈夫です」
見えない頭の上の方から安藤さんの低い声が聞こえる。それには出来る限り、簡素に簡潔に応えた。今は出来る限り早く、一人になりたかった。
「私、ちょっとスプライト買いに自販機まで行ってきますね」
「ん?いやスプライトならここにあるぞ」
「いや、今は缶で飲みたい気分なんで…」
「いやだから、缶のスプライトはここにあるぞ」
「えっ」
その言葉に反応して顔を上げると、安藤さんが左手を持ち上げていた。吊るされた半透明の袋からは、確かに缶のスプライトが一本透けて見えていた。
いや、何で買ってるんですか。
「……………………」
「安かったんだよこれ。誰か飲むかもと思って一本だけ買ってたのが幸いしたなあ。これ飲めこれ」
そう言いながら安藤さんはハハハと笑う。確かにこれが真夏の炎天下で脱水症状間際とかのシチュエーションだったらファインプレーだが、今の状況に関しては邪魔者以外の何物でもない。
こうなったら、苦しいが仕方ない。
「…スコール」
「はっ?何だって?」
「やっぱスコール飲みたい気分なので、自販機で缶のスコール買ってきます」
「おう良かったな。スコールもあるぞ、一本だけ」
「はっ?」
そう言って今度は右手を上げてくる。持ち上がった袋を覗くと……本当にスコールが一本入っていた。
いや、だから何で買ってるんだよ。
「…………………………」
「これも安かったから買っといたんだけど、いやあ良かったな。今日の俺は最高に気が利いてるじゃねえか」
「…急にコーラの気分に……」
「コーラならちゃんと買ってるぞ。缶もあるし……」
「逆に何なら買ってねえんだよ!!
思わず怒鳴ってしまった。いや、何でこんなに急に気配り上手になってるの。ドラえもんもびっくりの準備の良さだよ、その袋は四次元ポケットか何かなのかよ。だとしたら私に「放っておく優しさ」を与えてくれよ。
「おぉ、どうした急に」
安藤さんは若干戸惑った様子だった。まあ実際、安藤さんは何も悪くない。急に後輩に怒鳴られたら何事かって感じではある。申し訳ないとは思うが、しかし今の私にそこまで他人に気を使える余裕はない。
早く一人になりたかった。一人になって、色々と整理したいことがあった。
「……怒鳴ってすみません。ちょっとイライラしてたことがあったもので。それも含めて、外に行って頭冷やしてきます」
「ん?そうなのか。引き留めて悪かったな」
適当な説明だったし、結構失礼な態度だったけど安藤さんは特にそのことに関しては何も言わないでくれた。今はその優しさにありがたく甘えたい。
「それじゃ、行ってきます。カギもちゃんと閉めといてくださいね」
「おう。お前も気を付けろよ」
最後は短く言葉を交わして、私はそこで安藤さんと別れた。背中の方からバタンと扉の閉まる音が聞こえてきて、その音に何故か安心感を覚えた。
上に羽織るものを持たないで外に出てきたので少し肌寒い。家の中にいたときに感じた以上の冷気に震える。この気温は外で何か冷たい飲み物を頂くのにはあまり適していない気がする。
でも何故か…
「今は…炭酸が飲みたい」
そして私は自販機の置いてある公園へと足を運んだのだった。
ガゴンという音を立てて落ちてきたコーラの缶に手を伸ばす。表面はびっくりするほど冷えていて、こんな寒空の中でも自販機の中の冷房はしっかりと働いているんだなと感心する。
プシュとプルタブを開け、一息に呷る。口中に挑戦的な刺激が走って噎せそうになったが、ぎりぎりのところで堪えた。喉を通り抜ける黒い糖液を雑に味わいながら、私は近くのベンチに腰掛ける。スマホを出して時間を確認すると、時刻は二時五分。もう今頃、パーティーは始まっているのだろうか。もし私のせいで皆が待ちぼうけ喰らっていたら申し訳ないが、だからといってこちらから連絡する気にもなれない。暗くなったスマホの画面を見つめてため息をつき、大人しくポケットにしまった。
ベンチに手をついて空を仰ぎ見る。広がっているのは曇り空。雨は降らないけど、日が出ているわけでもない。どことなく憂鬱を誘うそのお天気を漠然と眺めながら、十数分前のことを思い返した。
キスしようとした。先輩に、先輩とキスしたいと思った。その事実を振り返ると、身体が羞恥で熱くなる。近くに燃えやすいものがあったら発火していそうなほどだ。
私の「好き」は、そういう「好き」だった。
そういう、キスとかそれ以上のこととかをしたいと思うような、「好き」だった。その事実を改めてきちんと受け入れて、咀嚼する。
弾けそうな気持ちを胸に秘めながら、右手の人差し指を目の高さまで持ち上げる。手首を回転させて先輩の唇が触れた方を見ると、胸の中のシュワシュワの勢いが強くなった気がする。
「誓いか…。実際遠いよな、遠すぎるほどに。だからむしろこれは…」
そこまで呟いて、私は右手の人差し指に自分の唇を押し付けた。触れた瞬間、身体から多幸感が溢れ出てきて、その幸せの泡に全身が包まれるような、そんな錯覚を覚えた。ジャグジーに入った時のような感覚だ。嬉しさと切なさ、その両方が込み上げてきた。それを忘れたくて、もう一度だけ人差し指に唇を押し付けた。昼間から公園で間接キスに興じる女子大生なんて、立派な変態不審者である。
でもこれで、ようやく完成した。
「むしろこれは、呪い、かな」
先輩の恋心を他言しないという、先輩に向けた誓い。
そして同時に私の恋心を告げないという、私に対する呪い。
好きな人には幸せになってほしい。
たとえその人が、私を受け入れてくれなくても。
たとえその人と、私が結ばれることが無くても。
その人のために何か出来ることがあるなら、私はそれをしたい。
その気持ちが、偽善であるとしても。
私にとっては、それが誰かを想うってことだから。
そう心の中で考えていると、ポケットに突っ込んでいたスマホがブーブーと震える。誰かからメッセージが来たらしい。面倒に思いながら相手を見てみると、安藤さんからだった。
「パーティーは無事決行。上手く言っといたから自分のタイミングで戻ってこい」
文章を読んで安堵する。とりあえず一番かけてはいけない迷惑をかけることは防げたらしい。「了解しました。助かります」とだけ送り返して息を吐く。そうは言っても、出来る限り早く戻らないとやはり迷惑をかけてしまう。
送ったメッセージにはすぐに既読がついて、速攻でまた文面が送られてきた。
「大丈夫か、何かあったなら相談乗るぞ。最悪今日欠席してもいいからな」
文章量と送る速度からして、もしかして文章打ち込んだ状態で待機していたのだろうか?
まったく、変なところで気遣いさんだ。
「「何かあったら相談に乗る」っか…。ふふっ、そんなの言うわけないじゃんね」
私のこの恋心は、私が墓場まで持っていくものだ。誰にも絶対言わないし、誰にも絶対教えない。
右手の人差し指をピンと突き立てて、口元に近づけてから私はそっと呟いた。その声は天に吸われていくように風の音の中でかき消されて、私の耳にさえ届くことはなかった。
「それは…秘密です」
この恋心は誰にも伝えない。
間接キスの甘い呪いが、私の口を閉ざしていた。
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