他人の不幸は蜜の味、とはよく言うものですが、この物語は様々な不幸と悪意に踊らされる者達によって成り立っている。もちろんそれは主人公も例外ではなく、その踊り狂うさまを煽り散らかし、読者の性癖を歪めようと虎視眈々と狙ってくるヒロイン──。さらに、文章に差し込まれる様々なオマージュや、ダークファンタジーを形作る怪物や世界観のエッセンスが加われば、これはもう面白いとしか言いようがない。読んだなら、人の前では見せられない歪んだ笑みを作ってしまうこと請け合いです。