第18話 なんで男子って、貰ったチョコレートの数を自慢したがるのかしら
翌日。
放課後の空き教室。
「なんで男子って、貰ったチョコレートの数を自慢したがるのかしら?」
理沙は知的な輝きを帯びた大きな金瞳を光らせ、切れ長い睫毛は優美さを強く表し、鼻は高く、筋はすらっりと美しく。
本当に常人を逸脱した美貌で、てのひらで覆えそうなほど小顔。
細く柔らかそうな髪は、鮮やかな金色。
それは人工的に染められた偽りの輝きではなく、自然物のような深みのある色合いで、ぷにぷにとした弾力性のありそうな頬。
ブラウスの袖から伸びる卯では、肉球のように柔らかそうだ。
透けるように白い肌は、この冷気の中でもしっとりとなめらかで、真珠の輝きを放っている。
小さな動きでもことさら、大きく揺れる豊満なオッパイ。
動きやすそうな短めのスカート。
黒ストに包まれた、毎日の鍛練によりほどよく引き締まった美脚。
ももの中ほどまでを包む黒ストッキングと素肌の境目が眩しかった。
ニーハイとスカートの裾のあいだの『絶対領域』も素晴らしかったが、これはこれでありだな。
「なぜ? それを俺に聞くんだよ。
幼稚園児の頃から、一度もチョコレートを貰ったことがない俺に……モテ男のキモチなんてわかるわけないだろう」
「龍一みたいなド変態に、チョコレートを渡す奇特な女の子はいないわよねぇ。
ごめん、ヘンな話をしちゃって」
「イヤ、謝られると余計に惨めなキモチになるから、やめてくれ。
バレンタインなんて嫌いだ!?」
「でも今年のバレンタインはチョコレートが貰えるかもよ」
「もう5月だぜ。
バレンタインデーは『2月14日』だって、知ってるか?
つまり、今年は『もう終わった』んだよ」
「じゃ、じゃあ、来年!? 来年貰えるかもよぉ」
「でもな……理沙から義理チョコを貰っても……ぜんぜん嬉しくないな。
やっぱり意中の女性からの本命のチョコレートが一番うれしいな。
義理チョコは、所詮……義理チョコだからな…とほほっ」
「もしかしたら『本命チョコ』かもしれないわよ」
「例え本命チョコだとしても、予告されると、貰った時の喜びが半減するよな。
やっぱりサプライズって大切だと思うんだよね。
ただ、チョコレートを渡してお終いじゃ。
相手にキモチは伝わらないと思うんだよね。
シュチュエーションには、とことんこだわって欲しいんだよね」
「龍一って、意外と乙女チックなところがあるよね。
そして、滅茶苦茶めんどくさい性格だよね」
その瞳に宿る光は研ぎ澄まされた刃のように冷たく、威圧感も凄くて。
「そうかな。普通だと思うけどな」
理沙はパイプ椅子に座ったまま片方の靴を脱ぎ、机を挟んで対面の席に座っている俺の股間部を、黒ストッキングに包まれた足先で刺激してきた。
制服の短いスカートから覗く黒いストッキングの曲線美がひどく綺麗だ。
「まあ、それは置いとくとして!?
龍一の言いたいこともわからなくはないんだけどね。
そういうロマンチックなシュチュエーションに憧れがないかと聞かれたら、あると答えるし。
義理チョコを『100万個』貰うよりも、意中の相手からの本命チョコの方が嬉しいというキモチもわかるわ」
イタズラな足先は男の急所を的確に捉え、絶妙な力加減で踏み責められたびに、妖しい圧迫感が下腹部を駆け抜け。
彼女の足先がスッと離れ、脚を組み直そうとしたら運悪く。
椅子のそばに置いてあったバケツに足を引っかけてしまい、理沙は転んでしまう。
「ああ、もう下着までびっちょびっちょだよ」
白いブラウスって、やっぱり濡れると透けるんだな。
スクールウェア風のブラウスが透けて薄いピンクの下着が見えた。
胸の4分の3をカバーする、スタンダードなものだな。
「これが……濡れスケ……え、エロいなんてもんじゃない。
ピンクのブラが丸見えだ。
濡れスケはやっぱり最高だな!」
「きゃあ、エロい眼でこっちを見るな」
涙目になった理沙が腕を振り上げ!?
パシッ! パシッ! パシィンッ! 平手が5発連続で頬を襲ってきた。
「変態、痴漢、覗き魔。着替えるから、着替えるから、出てけーっ」
そして教室から追い出された。
ま、こういう反応も可愛らしいからいいけどさあ。
++++++++++++++++++++++++
アニメショップが立ち並ぶ、朝の通学路での出来事。
「あっ!?」
少し離れた場所からアニメのキャラクタープリントされたTシャツを着た小さな女の子が悲鳴が聞こえた。
Tシャツそれは、襟のついてないシャツ全般を指す言葉。
スカートよりはパンツスタイルに合い、アクティブなイメージになる。
そしてぶかぶかTシャツを着ている『幼女』は、最高である。
どうやら貰った風船を離してしまったみたいだな。
ゆっくりと空へと浮上する風船が見えた。
「ふぇええンンンっ」
とうとう泣き出してしまう女の子。
その光景を見た俺は、頭で考えるよりも先にカラダが動いていた。
風船を捕まえようとヒモに手を伸ばすが、風のイタズラによって、風船の上昇に勢いがついてしまう。
そこで俺は、ない頭を使って考えた結果。
傍らにあった樹木へとよじ登っていく。
よし、これなら届くぞ。
木の枝に足をかけ、風船に向かって手を伸ばし、間一髪のところで風船の確保に成功した。
地上10メートルの木の上で俺は、安堵の表情を浮かべ、ゆっくりと慎重に降りていく。
無事に地面へと着地した俺は、少女に風船を渡す。
「もう、離しちゃダメだよ」
「うん。ありがとう」
お礼を口にした後。
女の子は走り去っていた。
「俺はやっぱり『幼女』が大好きだ!?」
そう叫ばずにはいられなかった。
「道端でいきなり叫び声上げてるのよ。バカァ!? 恥ずかしいじゃないのよぉ」
一本一本まで手入れされていそうなサラサラの長い金髪を靡かせ、鋭い眼光を宿した可愛らしい金色の瞳で俺を睨めつけ。
制服を大きく押し上げる乳房は『巨乳』という言葉では、まだ足りないほどに大きく、豊満な胸がぷるんっと大きく揺れ。
ふわりっとミニスカートを翻し、目の前には真っ白なな太もも、魅惑的な脚の付け根。
そして足の合間から『純白の物体』が覗き見えた。
丸みを帯びたお尻を包む純白の逆三角形が姿を現す。
ヘソまで隠れる子供パンツだ。
通称:女児ぱんつだ。
それは刹那が生み出した、衝撃の一瞬。
ちんまりとしたカラダをしているのに、恐ろしいほどの破壊力を秘めた蹴りが顔面に迫ってきた。
跳躍的な筋肉が織りなす蠱惑的な曲線に、俺の視線はいとも簡単に捕獲されも、間一髪のところで背を反らし避ける。
マトリ○クスのようにカッコよく。
「……白か?」
俺の目に入ってきた鮮やかな下着の色。
シミが目立つという理由で、純白下着などは『好まない』と聞いた事があるけど。
俺の彼女は『純白の下着』を身に着けていたのだ。
しかもお嬢様なのに、シルクいった高級素材ではなく、木綿100%とのショーツを穿いていた。
そのギャップにドキっとした♥
また『パンチラ』はラブコメのお約束だ。
パンチラには、男の夢とロマンと野望がつまってるからな。
今の光景をしっかりと目に焼き付けておかないとな。
「きゃあっ……何、見てるのよ!? 変態」
さっきまでの強気はどこへやら、可愛らしい悲鳴を上げ。
太ももは電気ショックを受けたようにプルプルと震え。
たちまち顔が真っ赤になり、とっさにスカートの前後を押さえるところが、これまた女の子らしくて、最高に萌えるぜぇ。
足元を飾る学校指定のこげ茶色ローファーも、とてもチャーミングだ。
そしてバランスを崩して倒れてきた。
顔面に受けた衝撃で、俺は背後に倒れ込む。
結論から言うと姫川さんはノーダメージだ。
俺の顔がクッションになったからだ。
女性らしいラインを描いたお尻は、ショーツ越しであっても柔らかく、じんわりと汗で湿っていた。
さらに足を動かしたせいで、端の部分が足の付け根に深く食い込んでいて、魅惑的なV部分がより強調され、絶対に見てはいけない部分まで、見えてしまう可能性もあった。
つまり彼女の股間が俺の顔を跨いでいるという、ラッキースケベが発生したからに他ならない。
そのため俺は、まったくと言っていいほどダメージを受けていない。
なぜならば、スベスベ、モチモチだったからだ。
俺の頬は、スベスベでモチモチの太ももにぎゅうううっと挟まれていた。
柔らかくて、なんかいい匂いまでした。
「この変態!? 毎回毎回いい加減にしなさいよねぇ」
姫川さんはスカートの裾を押さえて素早く、俺の顔から腰を上げて立ち上がった。
勢いよく投げつけられた鞄が、俺の耳元をかすめ、アスファルトに叩きつけられる。
「俺は断じて『変態』じゃない。思春期をむかえると、ごく自然に異性に興味がわき、スカートの中が気になりだすのは、しごく普通のことなんだよな。
男って生き物はな。とにかくスカートが大好きなんだ。
それこそスカートの中に、顔を埋めたい思うほどなっ」
「普通の人はいちいちそんなことを口にしないわよ、この変態っ、鬼畜、最低男」
続けざまにくり出された『踏みつけ攻撃』から頭を守るために、すっかさず腕を
クロスせる。
「だから俺は『変態』じゃない。変態紳士だ!?
だいたいロリコン=性犯罪者という方式は間違っているよな。
そもそもロリータ・コンプレックスとは、ナボコフの小説『ロリータ』に登場する12歳の少女、ドロレス・ヘイズの名前に由来を持ち。
もともとは、幼児性愛からエフェボフィリア(友情的な愛)だ。
つまり『未成熟な少女が、中年のおっさんへ女性的な興味を示す』言葉だったんだけど。
なぜか? 日本では広まらなかったんだよな……とほほっ」
「うるっさい!? 死ね ロリコン」
さらに二発、三発と降り注ぐ。
それでも気がすまないのか?
姫川さんは髪を逆立て、全体重をかけながら
「龍一みたいな二次元コンプレックスも、ロリコンに含まれるんだよ」
最後の一言に怒りを覚えた俺は、渾身の力で何とか押し返し、立ち上がると。
「生身の人間よりも『創作物ほう』が、遥かに性的な興奮を覚える『変態』と一緒にしないでほしいな。
俺は生身の人間も大好きなんだから、特に幼女がっ」
「やっぱり、ただの変態じゃないの。龍一のバカァアアア」
回し蹴りがくり出されるも、右肘でしっかりとガードし。
さらに後ろに飛ぶことで衝撃を緩和する。
何かと悪態をつく彼女だが、その口調に憎々しさは、微塵も感じられない。
だからこうして暴力を受けても嫌な気分には、まったくならなかった。
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