第31話 四番目の容疑者は僕でした
◇
四番目の容疑者は僕でした――という体で僕の行動も一応説明しときましょうか。
一応僕も捜査線上には浮上したわけですし。
とは言え最初に言って置きますけど「実は僕が
「語り手が犯人だった」は先ほどあげた僕が唾棄する程嫌いなミステリーランキングにはランクインしてませんでしたが、しかしそれは僕が「語り手が犯人だった」と言うオチが嫌いじゃないという訳ではなく、それを僕はミステリーと認めてないってだけの話です。
信用ならない語り手と時たま言われる僕ですが、しかしそれを自覚している僕でもあります。
だから、出来る限り聞き手に対しては公正でありたいと思っていますし、そんなアンフェアな情報の提示の仕方はしたくないとは思っているんですから。
仮に――そうですね、仮に僕が
ま、そんな言葉も信用ならないと言われて仕舞えば話はそこでお終いなんですけどね。
さて、
何故って僕は事件当時密室に居たんですから。
事件当時二階は密室だったのだ! なんて言ってしまえば、階層まるごと巨大な密閉空間だったように聞こえてしまうかもしれませんが、しかし本当はもっと細分化されていたんです。
別にミスリードする意図はなかったんですが、四方を巨大な壁で囲まれていたわけではなく、フロアをジクソーパズルのように区切ってマス目を作るようにシャッターが降りていた――と、防火シャッターって普通そういうものなんですけどね。
だから
そうして僕はその時その直上、すなわち三階の吹き抜けすぐ側のイベントコーナーに――え、つまり、僕の真下で人が死んでたことになるのか、何それ怖――
こほん。
えーと、そうして僕はその時
その一角は上下で構造の違いはありませんでしたし、多分
人殺したる
何の目的で僕が拉致されそこに連れてこられていたのか、と言う説明はもう今更必要ないでしょう。
三人――いや五人か。
五人で力を合わせて一人を殺しても意味があるのか、もしくは単に早い者勝ちのゲーム染みた催しだったのか、そこまでは知りませんが、しかしどちらにしても獲物は多い方がいいんでしょうから。
僕が拉致られた理由なんてC.H.K.に殺させる人殺しは一人より二人の方が良かったと言うだけです。
もう死ぬのが決まっていたらしい
そりゃあ警察のお世話になったことが一度も無いとは言いませんが、しかしこれでも弁護士さんのお世話になったことはないと言うのに、プンプン。
――とかふざけて見たところで、僕が獲物に設定された理由が本当に理解出来ない程盲目的に自分の白さを信じていた訳でも有りませんけどね。
仮にそいつ自身が何の関与もしていなくとも、それはもう、そいつが巻き込まれているのではなく、そいつ自身が巻き込んでる――否、そいつが事件を巻き起こしているのだと僕だってそう思いますよ。
出会ったら最後必ず死ぬ――なんてそんな死神みたいな奴は死ぬべきだと。
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