第14話 話を戻します。
◇
話を戻します。
さっきも言ったように、事件当時
「春夏秋冬殺人事件」においてもう一つ語らなければならない事実があるんです――まあ、もう一つどころかまだいっぱいあるけど。
とりあえずフェアな語り手を名乗る上で、材料として提供しなければならない事実の一つとして、事件当時モール
本当に防火用だったのかは知りませんが、壱載モールが地方に出店する度に近くの商店街に降りる奴よりは幾分か頑丈なシャッターが。
モール
勿論、火事があったわけではないですが、それが降ろされていた理由が人を危険から隔離すると言う意味ではもしかすると似たようなものだったのかもしれません。
恐らくそれが降ろされていたのは中に居る人間を外に出さない為、檻の役割を果たしていたんでしょうけど――しかしその時はそれが災いして、難解さを付け加えることになってしまったんです。
全てのエスカレーターが鉄の壁で事実上使用不可にされていた、と三人が言っていました。
エスカレーターと違ってエレベーターは沈黙していましたし……ってか、いたそうですし、
だから、何人たりとも一階から二階には上がれなかったそうです。
霞桜館と霜楓館の二つの館を繋ぐ二階の連絡通路は屋内と屋内を繋ぐのではなくちょっとしたテラスというか、ベランダ構造というか、そういう開放感のある場所を渡されていました。
ですから、本来ならそのベランダに上がることで直接外から二階に入れるようにもなってるんですが、しかしその時はテロリストにでも備えているかのように、外側のシャッターも降ろされてたらしいです。
先述の通り、人々の意識から切り離された場所であるような
つまり、外からの侵入も不可能ということです。
シャッターはとてもじゃありませんが人力で持ち上げられるような代物ではありませんでしたから、何人たりとも通行不可能だったというのは間違いないでしょう。
「二階にシャッターが降りていた」というのは諸事情につき僕は見てはいないんですがしかし、そのシャッターが持ち上げられないというのは僕も試してみましたし。
僕なんかの細腕で何かを証明できないかも知れませんけれど、例の三人は全員文化系でその中にボディビルダーも重量挙げチャンピオンも居なかったんですから、そこそこ信憑性のある情報だと思います。
――とまれ、約四分弱に及んで語りましたが、要するに僕が言いたかったのは「三人が
従業員用通路だとかを使えば階層の移動は出来るのかもしれませんがやっぱりそれっぽい扉は施錠――ってか念入りに溶接されてましたし。
もしかするとフィクションの怪盗のように通気孔とか換気扇だとかを使えば如何様かには出来るのかもしれませんが――しかしそのシチュエーションならばフィクションだとしても十分「事件当時は密室だったのだ!」としてもいいでしょう。
殺人鬼と未来の殺人鬼を閉じ込めた牢獄だったんです。
そんな場所に何者かに招集された「
お互いが知り合い同士ではあるものの、別に仲がいいというわけでは無かったらしいですし、当然なのかもしれませんが。
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