蟹に限らず甲殻類は見合いの席には不向きとされている。下を向いたまま黙々と殻をむく作業に一同没頭してしまうからだ。 もちろん本作に見合いなど出てこない。しかし、主人公と彼女のかかわり合いは、恋人同士でもあり親友同士でもあり主従でもあり、かつ、そのどれにもあてはまらなさそうでもある。いずれにせよ賑やかな食卓で楽しそうだ。主人公が鍋だけでなく彼女にさりげなく気遣いながら食べ方を教えることにも没頭しているのが実に良い。 それに、とても美味しそうだ。