紙とペンとザラバンシ(わら半紙)

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紙とペンとザラバンシ(わら半紙)

 お題をみて、最初に脳裏に浮かんだのが「ザラバンシ」でした。


 なので、エッセイみたいな小話(?)として、この「ザラバンシ」をちょっと掘り下げてみようと思った次第です。



 では、早速なのですが「ザラバンシ」というものをご存知でしょうか?



 漢字で書くと「更半紙」、とでも書くのでしょうか。

 (ちなみに、更紙ざらがみとは質の低い紙の俗称みたいなものです。)



 ここでいう「ザラバンシ」というのは何かというと、「わら半紙」の事さします。



 わら半紙



 名前の通り、もともとの原材料は「稲藁」などで作られた紙です。

 現在では、再生紙などで作られる様で「わら」を使うこと自体がない様ですが・・・




 その「ザラバンシ(わら半紙)」ですが、学校に通っていた人たちには、良くも悪くも記憶にあるのではないでしょうか?



 鉛筆で書いたら引っかかって破れた、消しゴムで消す時に引っかかって破れた、水に濡れたらあっというまに広がってさらに破れやすく・・・




 とまぁ、いろいろとあった破れやすい灰色の紙です。




 「ザラバンシ」や「わら半紙」と言ってもピンとこない方は、ガリ版(謄写版とうしゃばん)に印刷する紙、と言った方が思い出されるのでしょうか?



 それでも理解されない方は、たぶん20代かそれ以下の若い方でしょう。




 なにせ、この「ザラバンシ(わら半紙)」、今となっては学校教育機関からほとんど姿を消してしまっているからです。


(先に言っておきますが、完全に無くなった訳ではありません。

 一部では慣習的に使用されているところもありますので、あしからず。)



 この「ザラバンシ(わら半紙)」ですが、1990年代ごろまで使用されていたのですが、この年代の後半ぐらいから、その地位をコピー用紙(別名「普通紙」や「PPC用紙」)にとってかわられていきます。



 これらのコピー用紙(複写機用の紙)が普及し始めた1990年代後半、何があったのかというと、「パソコンの普及」と「インクジェットプリンター」の普及が加速していった頃といわれます。



 普及するという事は、コピー用紙が大量に必要となり、そのために安価に製造されはじめ、「ザラバンシ(わら半紙)」よりも低価格に・・・と、どんどん安くなっていきました。


 逆に、使用される事がなくなれば、製造される頻度も下がり・・・となり、その価格差がだんだんと開いていきます。



 そこで、現在の通販サイトで軽く調べた程度ですが、A4サイズを比較すると・・・



 ・ザラバンシ(わら半紙)は、だいたい1000枚で3000円程度。

 ・コピー用紙は500枚で500円程度。



 倍以上の価格差になっていますね・・・

 事務の備品を扱う人にとっては、この価格差は確かに大きいです。



 どう大きいのか、簡単に計算してみましょう。


 上記の価格で当てはめるとするならば、1枚3円と1枚1円です。

 2円の差、と言われるでしょうが、枚数が1000枚だと2000円の差となります。


 もし仮に、1人に1日10枚配布するとして、500人に配るとしましょう。

 それが月に20日(ひと月あたりの平日日数)としてみるとすると・・・


 10枚/日×500人×3円/枚×20日 = 300,000円

 10枚/日×500人×1円/枚×20日 = 100,000円

                  その差 200,000円

(※:初期の投稿分は、根本部分間違っていました。お恥ずかしい限りです・・・)



 とまぁ、こんなザルすぎる単純計算でも、ひと月に20万円の差となっていますね。(おぉぅ・・・


 これがさらに枚数や配布人数が増えたりすれば、だんだんとその差は増えていくのは容易に想像がつきます。


 これでは、現在では学校機関など、配布する量が多いところであればあるほど、その差は歴然で、安価な紙に変更していくのはその通りだといえますね。





 さて、話を元に戻して、価格の話は一旦置いておくとして、見なくなった理由としては、他にもあります。



 それは、ずばり「コピー機」の存在です。



 この「ザラバンシ(わら半紙)」は、コピー機には使えません。

 (ここでいう「ザラバンシ(わら半紙)」とは、

  再生紙のコピー機対応の総称名のほうではなく、昔ながらの方になります)



 何せ、その紙品質によって、コピー機を通すと紙送りが正常になされない(2枚送りなどされる)、紙詰まりを頻発させるなどなど、正常に動作しない原因の要素になってしまうからです。



 最悪、コピー機の中で破れて詰まってしまったり、コピー機の熱転写ロールに張り付いてしまったら目も当てられません。

(ちなみに、筆者は体験済みで、取り出すのに苦労したのを、よぉく覚えています)



 詰まった紙を取り出すのにも苦労しましたし、取り外したあとに再びコピー機を通したら、また詰まったりするので、その労力にまったく見合いません。



 一方の「コピー用紙」は、その名の通り「コピー機に通すための紙」ともいえる代物のために、めったに紙詰まりはしません。



 そうなってくると、「ワラバンシ(わら半紙)」の需要がさらに低くなります。

 低くなれば、購入することも無くなり・・・



 といった具合に、「ザラバンシ(わら半紙)」が学校などの大量に使用する機関から徐々に消えていきました。



 では、この「ザラバンシ(わら半紙)」の今はどうなっているのでしょうか?



 一つには、昔ながらという事で、その紙自体の味を、紙に印刷されたモノの味を・・・というのもありますが、他にも「筆記の紙」以外としての利用がされていたりします。



 例えば、水分が吸収しやすいという特性から、梱包材の湿気予防材の一つとして、またはキッチンなどでお菓子づくりの調理用の道具として、当時とは異なった使用方法として残っています。







 当時の懐かしい記憶の品物、思い出の一つと同じ使い道にはなっていませんが、別の使い方で、いまでも存在していたりする、そんな「ザラバンシ(わら半紙)」。


 懐かしい記憶を掘り下げるように、「ザラバンシ(わら半紙)」を一つ、買っては使ってみてはいかがでしょうか?



 筆記の紙以外として、何かしらの用途に使える方法が見つかるかもしれません。





 ただし、お高いですけど(苦笑



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