【KAC3】夢のまいほーむ

木沢 真流

第1話

「けんた君もてつだってよー」

「はいはい、なんでしゅか」

「ここのお砂場に今部屋つくってるんだからー。けんた君も何かつくってー」

「いいよー。じゃあこんなのはどうでしゅかー」

「なあに? それ」

「ぴっかぴかの車でーす。はやいんんだぞ、びゅー」

「車もいいけどおうちもつくってね」

「はいはーい、お砂たくさんもってきたよ。はい、おしろのかんせいでーす」

「わーすごい、みさちゃんと、けんた君のおうちっておしろだったんだねー」

「うん、かっこいいでしょ?」

「すてき。しゃんでりら城みたい」

「ここに……もうひとつ車ができました。ぶーーん……ねえみさちゃん?」

「なあに?」

「その棒なに? でんしんばしら?」

「これねえ……なんだとおもう?」

「うーん、わかんない!」

「これはねえ……あのね……」

「なになに?」

「あかちゃん!」

「あかちゃん?」

「そう!」

「へえ、でもあかちゃんって、お父しゃんとお母しゃんがいるんだよね、だれのあかちゃん?」

「それはねえ、みさちゃんとけんた君」

「ええ? ぼくたちけっこんしてたの?」

「そう! けんた君、みさとけっこんしてくれる……?」

「……うーん、ちょっと待っててね」

「うん、どうしちゃったんだろう、けんた君。走って行ったりして……」

「おまたせー、はいどうぞ」

「うわあきれい」

「お花のプレゼントでーす」

「ありがとう。じゃあけんた君、みさとけっこんしてくれるの?」

「もちろんだよー、ぼくみさちゃんのこと大好きだよ」

「うれしいー! けんた君いつもちゃんと仲良しだから、ちゃんのこと好きなのかと思ってた」

「みさちゃんがいちばんだよー」

「うれしいー! みさちゃんとけんた君はとっても仲がよかったので、これと、これと……」

「あれ? 棒が増えてる」

「ほら、こんなに増えましたー」

「あれ? 赤ちゃんが、いち、にい、さん……じゅっこもあるね!」

「じゅっこもありまーす! もっともっと増えますよ〜」

「もっとですか〜はいは〜い!」

「おしろももっと大きくしましょ! おとうさん、がんばってお砂運んできてね」

「はーい、たくさん持って来るよ。あたらしい車もできました。ぶーん」

「またくるまでしゅか、おとうさん。あかちゃんにごはんもあげてくださーい」

「はーい、ごはんでーす。じゃーーーー」

「ほらー、あかちゃんもよろこんでるー」

「あかちゃん、おおきくなってねー」

「あかちゃんがもっとふえましたー」

「ふえましたー」

「けんた君はしゃちょうさんになりました」

「はーい」

「あかちゃんのために家をもっとおおきくしましょう」

「くるまも大きくなりましたー」

「くるまばっかりでしゅねー、おうちもおねがいしまーす」

「はーい、ここはけんた君の部屋ー、ここはみさちゃんの部屋ー」

「ありがとうございまーす、社長しゃん。すてきなお城ができていますねー」

「そうでーす、もっとたくさんお部屋をつくりましょー」

「はーい、ところでけんた社長しゃん。そのお部屋はだれのですかー?」

ちゃんのでーす」


「は?」


(了)

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