初デートはどこに行こうか?

揣 仁希(低浮上)

第1回初デートはどこに行こうか会議


「おはよう、ハルキくん」

「おはよう、チカちゃん」

今日も、通学路で僕はチカちゃんと待ち合わせて一緒に登校する。


「よう、おふたりさん。今日も仲がよろしいことで」

ちょうど校門の前あたりで、トモヒロが声をかけてくる。

「おはよう、トモヒロ」

「トモヒロくん、おはよう」

「すっかり、ニコイチになってきたな、ハルキ」


トモヒロが冷やかしてくるが僕としては、全然違う。

僕が、ヘタレなのもあるのだが、手も繋いでいなければ、デートすらしたことがない。


横を見ればチカちゃんは真っ赤になって俯いてるし。


「ははは、初々しくていいな!俺にもそんな頃があったなぁ」

「えっ?トモヒロにもあったの?」

「・・・すまん。なかったわ」


僕等はそんな馬鹿な話をしながら教室へと向かう。

そうだよな、よし!チカちゃんをデートに誘おう。

僕は今日の帰り道、チカちゃんをデートに誘うことを決心した。



「ねぇチカちゃん」

「何?ハルキくん」

「あの、今度の日曜日暇かな?良かったら僕と遊びに行かないかな?」

「・・・それってデートのお誘い?」

「う、うん」

チカちゃんは例によって真っ赤になりながらも小さく頷いてくれた。


「ハルキくん、それでどこに行くの?」

「あっごめん、まだ考えてないんだ。チカちゃんはどこか行きたいところある?」


学校の帰り道、僕とチカちゃんは初デートにどこに行くか話たのだが結局決まらなかった。


「ハルキくん、私、友達に聞いてみるね。みんなどこに遊びに行ってるのか」

「そうだね、僕も聞いてみるよ」


「・・・という訳なんだ。どうしたらいいかな?」

僕は放課後にトモヒロと初デートについて話していた。


「どこでもいいんじゃね?2人で出掛けて楽しかったらいいわけだしさ、遊園地とか映画館とか、色々あるだろ?」

「え〜それじゃあ、トモヒロは初デートはどこだったんだ?」

「俺?えっとどこだったかな?全然覚えてないわ」

はぁ、モテるトモヒロに聞いた僕が馬鹿だったのか。


「ハルキ、なら本屋とかにそんな関連の雑誌とかいっぱいあるだろ?そーいうの一緒に見て決めればいいんじゃないか?」

「なるほど、それいいかも」

「だろ?まっ頑張れよ」

いつものように僕の背中をバシッと叩いて教室を出て行くトモヒロ。


ありがとな。


そして帰り道。

僕はチカちゃんと本屋に来ていた。

センター街にある、かなり大きな本屋で、『オススメのデートスポット』みたいな雑誌が山のようにあった。


「どれかいいのあった?」

「コレとコレかな?ハルキくんは?」

「僕はこの雑誌かなぁ」

2人で何冊かの雑誌を買って、スタ◯に移動。


僕はアイスコーヒー、チカちゃんはキャラメルラテだ。


結構いろんなところがあるんだなぁ。

最近出来た水族館とか、動物園や映画館。オススメのランチが食べれる店とか夜景の綺麗なスポットやら。


「う〜ん、どれも捨てがたいね」

「そうね。私はあんまり人が多くないところがいいかな。人混みはちょっと苦手だし」

「そうだね、僕もそうだし」


2人で、頭を突き合わせてあれこれ見てみるが一向に決まらない。



するとチカちゃんが時計を見て声をあげる。

「あっもうこんな時間。遅くなると怒られちゃう」

「ほんとだ、じゃあ今日は帰ろか」


外に出るとあたりはすっかり暗くなっていた。夢中になってたから時間を気にしてなかった。


結局この日も初デートはどこに行くのか、決まらなかった。


翌日。


「・・・という訳なんだ。トモヒロ何かないかな?」

僕がトモヒロに尋ねると、トモヒロは盛大に溜息をついてこう言った。


「なぁ、ハルキ。それがデートだろ?このバカップル!」


えっ?


こうして、僕とチカちゃんの初デートは、本人達が気がつかない内に終わっていたのだった。



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初デートはどこに行こうか? 揣 仁希(低浮上) @hakariniki

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