それでも僕は、君との思い出の中にいる。

 久しぶりに帰ってきた海が近い田舎は、廃れていた。主人公と幼馴染の少女が一緒に過ごしたこの町の商店街は、シャッターが閉まったままの店も多い。よく「よっちゃんいか」を二人で買った駄菓子屋も、なくなってしまっていた。そんな中で、コンビニだけが浮いた存在だった。
 皆主人公と少女を幼馴染だと言っていたけれど、主人公にとってはそれ以上の感情があった。しかし、少女は主人公に教えられた通りに相手に告白をして、別な奴と付き合い始めた。
 つまり、主人公は自ら二番目の立ち位置にいたのだ。
 しかし、少女は――。
 
 暑い夏の日の雲。
 たわいもない愚痴。
 いつか大人買いしようと思っていたコンビニの「よっちゃんいか」。
 
 廃れ具合の描写がリアルで、その中に生きる二人の懐かしい姿が目に浮かぶ。
 
 是非、御一読下さい。

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