(3)恐怖



人生において新たな一歩を踏み出すとき、

周りの人間は皆、希望に満ち溢れた言葉で

踏み出す私の背中を押してくれる。


希望の言葉を放つ彼らの目には、

勇気を持って歩いている私が写っている。


けれど私の目の前には、何も無い。

先行きの見えない暗闇が広がっている。


新たな一歩とは、何も無い所へと、

足を踏み入れていくことでもある。


踏み入れた先に何があるか分からない。

それを受け入れる覚悟がまだ私にはない。

まだそれを乗り越えられる自信もない。


ーやめたい。立ち止まりたい。ー


私がいくら叫んでも、後ろにいる彼らには

聞こえない。彼らは私の背中を押し続ける。


そして私は「恐怖」に押しつぶされながら、

真っ暗闇に押し込まれていくのだ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

感情 ノア @_mik_00

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ