(2) 虚しい


都会を知って早数年、息苦しさも慣れた。

子供の頃あんなに憧れていた都会は、

思っていたより狭く、虚しかった。


都会の虚しさを晴らすために、

私は地元を歩いた。

懐かしい母校、懐かしい歩道橋、

あの頃と変わらない風景が私を包み込む。

あの頃に戻ったようだ。


けれど、時は確かに流れている。

あの頃の私を支えてくれた人達は、

もうここにはいない。


唯一私の夢を応援してくれた友人も

もうこの街にはいない。

学校でずっと私を励ましてくれた先生は

まだ若かったのに、天国へ旅立っていた。


そして春になり、沢山の同級生達が

それぞれの道に向かって進むために、

続々と、引越しを進めていた。


この街にもう私の拠り所はない。

時の流れが私から沢山のものを奪ってゆく。


残ったのは『虚しい』という感情だけだ。




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