一分の隙もありません。初めから、私は術中だったのです。
おそらくKAC2作品を最も多く読んだ俺だから言えること。ほんとうにおもしろい、4000字制限の中でこれをまとめ切ったのはお見事というしかない。負けたぜ!この作品がKAC2ナンバー1だ!
不条理である。結局、一番立場の弱い人間が一方的にああした形になった。貴族社会ではよくある話だ。 語り部が自分ではそれと意識しないまま 真実に引き寄せられていくのと、作者の巧みな筆さばきが見事に融けあって、読者は スコットランドかどこかのヒースに覆われた丘に建つ古城を想像するかもしれない。 あとに吹き抜ける冷たい風はなにも語らない……。