異世界、トリップ、チート、恋愛、ゾンビと昨今流行りのウェッブ小説トレンドを取り入れつつ、マイナーなゲームのパロディや社畜の哀愁物語など独自のエッセンスを注入した、一粒で複数の味わいがあるカオス具合が素晴らしい。
それでいて物語は破綻してなく、ユニークな社畜達が異世界を通して徐々に人間性を取り戻していく過程は、言葉で表せない確かなカタルシスがあります。
そして、本編が感動のフィナーレを迎えた時、あなたの脳内で初代バ○オの「夢で終わらせない」が流れること確実です。ちなみに私はずっとガ○ダムの「哀・戦士」が脳内リピートされてました。まるで本作のヒーロー&ヒロインの為に作られたような名曲です。是非33話から一緒にご賞味下さい
看護師、エンジニア、保育士、不動産屋。普通に生きていればあまり関わり合うことのない彼らがゾンビの大挙するゲーム世界に迷い込み、チートやバグを利用して元の世界への帰還を目指すサスペンスアクションです。
ゲームをプレイする人であれば思わずあるあると頷いてしまうバグや小ネタの数々。そして、バラエティに富んだ職業に就いている登場人物達から語られるお仕事知識。実際にそこにいるかのように感じられるリアルな舞台描写などが軽快なテンポで描かれ、長編であるにも関わらず全く飽きを感じさせません。
また、様々な危機を乗り越えた登場人物たちの描く「大人の青春」も大きな見所です。縁もゆかりもなかった彼らが、ゾンビだらけの世界で不器用に惹かれあっていく。そのぎこちなさ、初々しさ、実に尊いです。
番外編では登場人物たちのあれこれが更に色濃く描かれており、バールナースの世界をより楽しめます。本編を読み終わっても是非続けて読んでいただきたいです。