第43話笹野原の分析・後編


 私はもくもくとPCを組み立て、電源を入れた。


「――で、こちらが出来上がったPCになります」

「三分クッキングの『こちらが下ごしらえ済みの食材です』みたいなこと言ってる……」


 そんな私を、朝倉さんがなんとも言えない顔で見つめている。


「どうしましたか? 朝倉さん」

「いや……あくまで結果的にだけど、笹野原がどんどん蒔田好みの女に育ってしまっているなーって感慨深い気持ちになっちゃって……って、ちょちょちょ!? っと待って!?」


 と、朝倉さんが不意に驚いた様子で目をいた。


「コンセントも入れてないのに、一体どうして電源が入るの!?」


 朝倉さんはPCモニタと自分の家のコンセントを交互に見て、言葉を失ってしまっている。

 それもそうだろう。なにしろ、私はPCを組み立てはしたが、コンセント部分には手を付けていないのだから。

 つまり、『コンセントを入れていないのにPCの電源が入ってしまった』のだ。


「ここから先はファンタジーの世界になってしまうからですよ。

 でも本当、不思議ですよねえ。

 この現象、実は私の家でも確認できているんですよ」

「そうなの?」

「ええ……多分ですけど、この『無題のアプリ』のデータを入れた時点で、PC自体が地球の物理法則を離れて、異世界の理屈で動き始めるんじゃないでしょうか。そうでもなければこの謎現象の説明が尽きませんよ」

「異世界の理屈で、って、そんな馬鹿な……」


 朝倉さんはとつぜん異世界転生を告げられたヒロインみたいに真っ白な顔になっている。

 私はそれを見て苦笑しながらも、


「……私も、最初はかなりビビりました。

 でも確か、管理者のPCもバッテリーが切れた状態でも動いていたんですよね? 大久保の廃屋でも同じ現象が起きていたと聞きましたが」


 私はそう言って三田村さんの方を見た。三田村さんは少し前の記憶を探るように頭をく。


「あー……そういえばそうだったな。バッテリーはとっくに切れているはずだったのに、管理者のPCは普通に動いていたんだよな。

 あと今の夕ちゃんみたいなこと、蒔田さんも言ってたわ。どうせ魔法の力か何かで動いているんだろ? みたいな」

「そうでしたか……」


 三田村さんの言葉に、私は思わず笑ってしまう。……蒔田さんと同じ思考を辿たどれたことが、なぜか嬉しかったからだ。だけど敢えてその考えを振り払うように頭を振って、


「……おそらくですが、『無題のアプリ』が電子機器に入った時点で異世界転移魔法、あるいは異世界創造魔法に電子機器も巻き込まれてしまうのではないでしょうか。

 それと、これは仮説というより願望ですけど、あちらではバッテリー残量は気にしなくていいんじゃないですかね。朝倉さんは『充電が出来たためしはない』って言ってましたけど、私のスマホも電池の残量が減って焦った記憶はありませんし、きっとあちらの世界ではバッテリー残量は増えもしなければ減りもしないんじゃないかしら」


 という私の話を聞いた三田村さんが、降参するように両手を上げた。


「うーん、ぜんっぜん分からんな。アナタ君の意見はどうよ?」

「……電子機器の導入は、クマノ……管理者が試行錯誤しながらやったことだ。僕がすべてを把握はあくしているわけではない」

「つまりあれか、お前さんもわからないのか」


 と、三田村さんは苦笑する。


「ま、バッテリーが減るかどうかは異世界で検証すればいいか。減らなきゃ大分話を進めやすくなる。異世界間を移動し放題になるんだろ?」

「そうですね」


 私は頷いた。


「……とりあえず、電源は入りましたね。で、これがデスクトップ画面。ここにあるのが『無題のアプリ』です」


 そう言いながらマウスでアイコンをクリックすると、アプリの中身が表示された。

 中にはあらかじめ『アナタ』の指示通りに入れておいた、今回の転移先のゲームタイトルが羅列されている。私が事前に調べ尽くしたタイトルたちだ。


「中に入っているゲームは変わっていますけど、アプリ自体は蒔田さんのSSDに入っていたまんまのものです。管理者のPCからコピーしたんですよね、確か」

「その通りだけど……なーんか不思議な感じがするな」


 寝不足の目をこすりつつ、三田村さんが首をかしげる。


「核の人間が『無題のアプリ』を持っているのを見た時には、さも特別なもののように見えていたが……こうしてみると適当なところから落とした雑なフリーフェアに見えるぞ」

「あ、これは核が持っていたものとは違います。

 ここにあるデータ? プログラム? ……は、あくまで管理者が、異世界を管理・運営するための窓口なんです。

 核に与えられる『無題のアプリ』は色々な機能が制限デグレードされたやつですね。あのアプリ、異世界間の移動しかできないじゃないですか」

「なるほどねえ」


 説明しながら、私は部屋の隅に座り込んでいる少年をちらりと見る。


「……アナタ君にも確認は取ったんですけど、魔法とやらの主体も術式も、あくまで異世界の側にあって、このアプリはあくまで管理者が自分の手持ちの技術で、手探りで作り上げたものだそうです。UI(ユーザーインターフェース)が妙に洗練せんれんされていないのもそのせいですね。

 現実世界から魔法の術式だか何だかを操作するために作った窓口のようなのらしくって」

「なるほどねえ。そういう仕事を、熊野寺……管理者がやっていたわけか……」


 三田村さんが苦いものを噛んで吐き出すような顔で呟いた。そして鋭い目で少年の方を見て、


「……お前が諸悪の根源なんだろ?」


 と、言う。言われた少年は静かに目を瞬くだけだった。

 三田村さんはそれにも構わず、さらに言葉を続ける。


「『管理者』っていうのはどうして置いたんだ? 『核』との違いはなんだ? どうしてこんな妙な仕組みが出来上がった?」


 その語調はかなり強く、糾弾きゅうだんにも詰問きつもんにも近かった。

 不動産業で日々部下を詰めているその口調はかなりの迫力があったはずだが、少年は少しもたじろがなかった。


「……クマノが現れるまでは、僕は記憶を失ったまま、あの空っぽの異世界をさまよっていた」


 と、少年は三田村さんに糾弾されてなお、落ち着いた様子で話し始めた。


「僕はかつて、全く別の世界で罪を犯して、あの異世界に追放された。

 あの異世界は牢獄なんだよ。それも、とびきりもろくてくずれやすい。

 たえまなく『人の死』『人の記憶』という形で絶え間なく『代償』を補い続けなければ、砂のようにぱらぱらと崩れて、消えるようになっている……僕の命もろともね」


 そう言って少年は目を閉じる。古い記憶を思い出そうとしているようだ。


「……代償、魔力、精神力……かの力はいろいろな呼び方をされるけども、これら雑多な言葉がさしているものはたった一つ……つまり、人間の持っている生命力のことだ。

 かの力をたくさん集めることが出来れば、多くの不可能だったはずのことが可能になる。奇跡の力だ。素晴らしい力だ。

 しかし、自分の生命力を他人に与えれば自分自身が弱ってしまうだろう?

 だからこそ、人々はその力を無条件に他者に与えようとはしない。代償が欲しければ、無理やり、あるいはだまし討ちのような形で人から奪う必要がある。


 ……『核』というのは、生命力が普通の人間よりもはるかに大量にあふれている人間のことを言う。沢山持っているからこそ、他人に惜しみなく分け与えることもできる。


 クマノも『核』だった。そこにいる女の子……笹野原もそうだ。


 力が本人には抑えきれないくらいに溢れているから、僕たち魔獣が見ればすぐにわかるんだ。

 管理者というのは、クマノ……熊野寺が買って出てくれた役割のことだね。僕が作った役割ではない。『核』と『管理者』は全く関係のない別個の存在だ」


 そう言って、少年はまっすぐに三田村さんを見た。修羅場にはなれているはずの三田村さんが、なぜか一瞬押されたように私には見えた。


 少年は再び話し始める。


「……もうずいぶん昔の話になる。

 あの牢獄に投げ出された僕は、元の世界に戻ることも許されず、ただ生き延びることだけを考えた。

 魔法だけはかろうじてまだ使えたから、最初のうちは手当たり次第に別の世界から人間をさらってきて、ソイツらが野垂のたれ死ぬのを待っていた。死ねば代償が手に入るからね」

「……殺せば手っ取り早く代償が手に入ったはずだろう。そうしなかったのは何故だ」

「僕は罪人だから、自分の手で直接人を殺すことは出来なくて」


 と、少年は鷹のような目をゆがめ、三田村さんの問いをせせら笑う。


「……それでも、いちいち人をさらっては野垂れ死ぬのを待っているだけじゃ、全然魔力が足りなかったんだ。

 じり貧におちいった僕は、やむを得ず自分の記憶も代償に差し出した。僕らの世界では、記憶も魔力に変換できるからだ」

「なるほど。それで、自分がどこからきて、何をやっているかもわからなくなってしまったのね」


 と、言ったのは朝倉さんだ。少年はその言葉に静かにうなずいた。


「魔力が……代償が足りなくて、もう終わるかもしれない、死ぬかもしれない、ってタイミングで出会ったのがクマノだった。

 あの牢獄で僕を見つけて、僕に興味を持ってくれた人間は彼が初めてだった。

 人とのつながりに飢えていた僕は、彼だけは殺さず、生かした」


 そう言って、彼は目線をさまよわせる。遠い記憶をいつくしんでいるように見えた。


「……クマノは特別だったんだ。何かをしたい、何者かになりたいという期待と希望であふれていた。

 ゲームのような異世界で暮らしたいと言っていたな。彼は魔術に興味があるみたいだったから、色々教えてあげたんだ。

 ゲームの世界を作るのは僕も嫌じゃなかった。元居た世界に似ていたからだ」

「特に西洋ファンタジー風の世界に思い入れがあったみたいですね。その辺の話は、熊野寺さんの遺した記録にも書いてありました」


 と、私は頷きながら注釈を入れる。


「せっかく魔法を使える存在と知り合えたのだから、この力を使って何かをしたい、何者かになりたい……という願いを、彼は持っていたようです。そんな彼が思いついたのが、異世界の様子を動画にとってUPするという行為だったそうで」

「でもあれ、本人が思っていたほどはバズらなかったわけだよな」


 三田村さんがそう言いながら肩をすくめる。私は苦笑交じりに頷いて、


「ユーテューヴのインストリーム広告も始まる前でしたからねえ。仮に動画がバズったとしても、それをお金に変える方法はなかったんじゃないかな、当時は」

「だよなあ」

「でもね、熊野寺さんはそうはおもわなかったんです。これだけ素晴らしいものを発見して、それを形にして世の中に送り出したんだから、きっと何か素晴らしいことが起こる……そう信じて疑わなかった。

 ……結局、動画をUPしただけではなにも奇跡は起きず、彼は自分の希望とはかけ離れた就職をせざるを得なかったようですけど」


 私がそう言うと、三田村さんは「そりゃそうだろうな」と鼻で笑い、朝倉さんは何とも言えない表情で目を伏せた。朝倉さんは何事か考えながら口を開く。


「……つまり、その挫折の経験が、彼をこの大量異世界転移事件……って言っていいのかしね、とにかくそういう事件を起こす方向へと、駆り立てていったワケかしら。

 ほら、無敵の人、って言葉があるじゃない? 自分の人生がどうにもならないのなら、他の人間も自分と同じ目に遭わせてやる……みたいな理屈で人を殺し始めてしまうってやつ」

「クマノが一体何を望んで、何に絶望したのかは僕にはわからないよ」


 少年はそう言って首を振った。


「当時の僕にとって必要だったのは、あくまであの異世界で人が死ぬことだった。人と関わること……クマノとの交流はあくまで二の次だったんだよ。

 だから、僕はクマノが遊んでいる間も、あの世界でずっと人をさらっては死なせ続けていた」

「……で、その死なせる行動に、熊野寺も首を突っ込み始めたのか? 異世界を維持するために?」


 三田村さんの言葉に少年は静かに頷く。


「全部クマノのアイデアだよ。こっちの世界にはデスゲームって言う娯楽があるんでしょう?

 ちょっと争いの種をまいて、あとは勝手に殺し合うのを待っていればいい。『核』を争いの種にすることも、わざと特別扱いするように電子端末を持ち込むよう仕組んだのもクマノの発案だ。

 人間の命が欲しかった僕は、クマノの発案に乗ったんだ。

 クマノの狙い通り、沢山の人間が争って死んでくれたよ」


 そう言って少年は陰惨いんさんに笑い、三田村さんの方を見た。


「それで、アンタの名前は三田村……だっけ? 君は一番物わかり良く、ルールに乗ってくれた人間だったと記憶しているけど?」

「……ああ、そうだよ。適応できなきゃ即死する……ってルールがありゃ、死に物狂いで乗るしかないからな」


 三田村さんは目を伏せながらも少年の言葉に頷いた。


「俺にはこっちの世界でやりたいことも、守りたいものも山ほどあった。今さら異世界で自分がしでかしたことについて、言い訳する気は起きねえよ……ああでも、クソっ」


 そう言いながら、三田村さんは疲れたようにため息をつく。そしていらだたしげに頭をかき、


「つまりはこういうことか? 俺らは見も知りもしない若造の承認欲求だか何だかがが満たせなかった腹いせのために、あんな生きるか死ぬかの酷い目に遭わされていたってわけか?

 そんな下らねえ理由のために、大勢死んでいったわけかよ……」


 という、噛んで吐き出すような三田村さんの言葉に、少年は少しムッとしたような顔を見せた。


「……死ぬ原因に、上等も下等もないと思うけど」

「あん? なんだって?」

「僕の元居た世界もそうだった。

 生きる理由にランクをつけて、死んだ原因にもランクをつけて、そんなことで人間の価値を立派だのつまらないだのってあげつらう習慣があったんだ。くだらないことだと思うよ。

 死に上等も下等もないんだよ。立派な死に方だろうが下等な死に方だろうが、死ねば死んだやつ自身には、絶対に何も残らないんだから」


 そう言って、少年は口元だけ引きつらせて笑う。

 ……少年がここまで怒りをあらわにしている姿を見るのは初めてだ、と、私は思った。


「死ねば何も残らない。誰かを殺すなんてことは、悪以外の何者でもない。そんなことは記憶を失う前から僕にだって分かっていた。

 ……だから僕は、クマノと話し合って牢獄の異世界に引きずり込む人間に条件を付けたんだ。最初から今に至るまでずっと、『限界まで仕事で疲れ切って、死ぬ寸前になっている人間』に限ること、って、決めている。


 ……それなら、悪い話じゃないだろう?

 どうせ死ぬ運命にある人間を最後に有効活用させてもらうだけだ。悪く思う必要なんてどこにもないだろう? 可能な限り人命にも倫理にも配慮した正しいやり方だ。クマノも最初のほうこそ効率が悪いって言ってたけど、すぐに賛成してくれるようになったよ」

「……それが、てめえの考えた理屈か?」


 と、三田村さんは静かに立ち上がった。

 顔色がまるで紙のように白い。

 恐怖してるから? と、思ったが……違う。悲しんでいるからでもない。


(怒っているんだ)


 白い顔を見上げながらふと、私は自分の兄を思い出した。血の気が全部顔から引いて、手元だけに行ってしまっている姿に、見覚えがあったからだ。あれは、殴る準備が出来ている人間の兆候だった。


「……三田村さん、駄目です!」


 と、私はあわてて立ち上がろうとしたが、動けない。

 兄なんかとは比にならない、身動きが取れなくなるくらいの威圧感を感じたからだ。

 三田村さんが少年の前に立つ。少年はたじろぐ様子もなく三田村さんを見上げている。三田村さんはそんな彼を見て何を思ったのか、苛立たしげに首を振る。


「……死ぬ運命にある人間を最後に有効利用させてもらう、だあ? その言葉、無理やり巻き込まれて死んでいったヤツらにも言ってやれよ。

 納得する奴なんか、一人もいねえと思うけどな。

 ……いくら大勢人を殺すにしたって、相応の居直いなおり方ってもんがあるだろうが!!」


 と、三田村さんは拳を振りかぶった。

 ……が、すぐに驚いた表情でその手を止める。

 朝倉さんだった。

 彼女が三田村さんの前に立って、彼の手を止めたのだ。


「……やめて、三田村さん」


 朝倉さんはそう言って、自分の頭二つ分は高いところにある三田村さんを見上げている。

 三田村さんは一瞬驚いた顔をしたものの、すぐに怒りをあらわにした表情で朝倉さんにも食ってかかる。


「……はっ、子供だから多めに見てやれってのか? 俺はそうは思わないよ。この騒動で何人死んだ? 何人が殺すことを強要された? どうみてもガキのいたずらの範疇を超えてるだろうが!」

「多めにみろなんてことは言ってないわ。ただ、何が悪いかもわかっていない人間を殴っても、無意味なだけじゃなくて自分の手が痛むだけだって言っているの。……少しは頭を冷やしなさい!」


 朝倉さんは激しい剣幕でそう叫んだかと思うと、自分の両手で三田村さんの両頬をパンと叩いた。

 ……そこまで力が入っているようには見えなかったが、効果は絶大だったらしい。ポカンとした顔で彼は朝倉さんをみおろしている。


 三田村さんはしばらく息を詰めた後、どこか脱力した風のため息をついた。


「……エリカちゃんさ、よくここまで怒ってる俺の前に割って入れたよね……普通はさ、怖くなって動けなくなったりしない? 動くなんて無理でしょ」

「あー……私、怒ってる人間のことが全然怖くないタイプなのよね。ムカつきはするけれど。だからもし私を殴っていたら、絶交してたと思うわ」


 そう言いながら、朝倉さんはなにかを台所の電子レンジでチンしたかと思うと、それを三田村さんに投げつけた。


「なにこれ?」

「蒸しタオル。それでも目に当てて、ちょっとベッドで寝ていなさいよ。多分寝不足が相当メンタルに響いているのよ、貴方は」

「あー……そうだな。そうかも。俺もそう思う。そういうことにしちゃおう。……おいガキ、命拾いしたな。大人気ない真似して悪かったよ」


 三田村さんはそう言いながら、部屋の奥にあるベッドに横になった。私はぽかんとそれを見やりながら、自分のお茶を入れなおしている朝倉さんに目を戻した。

 朝倉さんの手際てぎわがよすぎてカッコイイ。私惚れちゃうかもしれない。

 ていうか三田村さん、どうみても朝倉さんに惚れてるでしょ。蒸しタオルを顔に当ててめちゃくちゃ恥ずかしそうな顔してるもの。


「……さて、本題に戻りましょうか」


 朝倉さんが首元をさすりながら、こたつ机の上に置かれたPC机の前に戻ってきた。


「大分話はずれたけど、結果的にこの異世界転移騒動のおおまかなバッググラウンドは分かったわ。

 で、本題は蒔田さんの救出よね? このPCに入ってる、このモニタに表示されている『無題のアプリ』を使うのよね? それで私、さっきから気になってたんだけど……」


 と、言いながら、朝倉さんはものすごく嫌そうな顔でPCのモニタを眺めやった。


「……色々オトメゲーが表示されているけど、

 ここに表示されている『デッドマンズ・コンフリクト3』って、なに? ……もう二度と行けないはずじゃなかったの……?」


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