第62話:最終話・花に元気をもらった斉藤茜さん

 サンミゲル島の西側の風光明媚な海岸線に沿ってドライブし、もう一つの目的地

のフェラリア温泉に向かった。ほぼサン・ミゲル島の最西端にあるこの温泉は、

黒い火山岩に囲まれた天然プールの中にお湯が湧き出ており、波が静かであれば

、海と一体となったワイルドな露天風呂が楽しめるが、この日は風が強く波が荒く

、天然プールの入れなかった。しかし別に塀で囲まれた浴槽があるので、デッキで

日光浴をしたり山を見ながら入浴できる。客はスペイン人の女性達と我々4人

の合計10人だけで、暖かいお湯の中でのんびり泳いだり浮かんだりできた。


 カルデイラ・ヴェーリャもフェラリアも人里離れた場所にあり、シーズンオフ

ならば、まさに秘湯であるが、個人で行くにはタクシーかツアーでないと難しい。

アソーレス諸島は掘れば必ず温泉が出てくるはずなのだが数ヶ所しかない。

 地元の人が、ボーリングに金がかかるからと言うが、本当にそうそうなの

だろうか、疑問だ。このツアーの最後が、島民お勧めのレストラン

「オ・ペスカドール・漁師」で終了。漁港と仲卸市場のすぐそばにあり、

魚の鮮度は疑いようがない。注文したのはボカ・ネグラ・黒い口、日本の

高級魚ノドグロの仲間と思われる。脂がたっぷりのって非常に美味。


 アソーレスの他の場所でもボカ・ネグラは食べたが、ここのが一番美味しかった。

 デザートはサン・ミゲル島特産のパイナップルのケーキ。ラボ・デ・ペイシェ村

で食べる魚は、値段がリスボン並みかやや高め。貧しい村なのにと疑問に思うが、

天候や季節に左右される漁や魚の品質を考えれば妥当な値段かもしれない。

 その後、宿に戻り、熟睡して、翌日、5月23日、サンミゲルのデ・ポンタ・

デルガーダ空港から、リスボンへ2時間半で到着した。リスボンで、最後の夜に

ファドを聴けるレストランで夕食をとり、その哀愁を帯びた歌に、茜さんが、

涙を浮かべて、聞き惚れていた。翌日、リスボンからマドリードへ飛び、空港の

ホテルに宿泊して、体調を整えて、成田直行便に乗って、長旅の末、

2017年5月27日に成田に到着し、車で、埼玉の家に戻った。


 ポルトガル旅行から帰ってから、斉藤茜さんが、すっかり元気なって、

リウマチの良い薬と最近の医療技術の発達により、痛みもなく、血色が良く

なって、食欲も旺盛となって、恵まれない子供達の面倒を見たりして、明るく

過ごしていた。7月末から、9月中旬まで、北海道、釧路へ避暑の旅行にも

出かけて、摩周湖、網走、帯広へのドライブをして、過ごした。徳川泰平は、

日本株投資で、2017年11月15日に、東京精密株、全株を5130円で

売却し、税引き後利益、2.44億円を得た。やがて2017年が終わり、

2018年を迎えた。


 2018年1月23日には、SUMCO株、全株を売却し、税引き後利益

17.56万円を得て、合計22億円となり、熊本地震と九州大水害のの被災者

向け援助金として送った。暖かくなり、4月を迎え、4月10日に、今年も、

桜と桃の花を見に、山梨の笛吹市へ出かけ、最初に、山梨県笛吹市石和町川中島

のさくら温泉通りの桜を見てから、笛吹川フルーツ公園の桃の花を見に行くと、

遠くに雪の富士山が、まるで、桃の花を遠くからのぞいてるかのような感じで、

花見に来た、徳川泰平と志保さん、斉藤友和さんと茜さんの4人にほほえみ

かけてるように見えて、生きる元気をもらった様な気がして、皆笑顔を浮かべ、

富士山を拝んでいた。その後、リウマチの斉藤茜さんも90歳まで、

長生きしたそうです。

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泰平の秘密の不思議な体験 ハリマオ65 @ks3018yk

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