第2話

2

「で、どう言う経緯でこんな事になったのか説明してくれるか、陽子?」

一頻り暴れた後、何とか落ち着かせることに成功した兄は妹をベッドに座らせ事の経緯を説明する様に求めた。くりっとした愛らしい瞳に涙を浮かべ、頭頂部をさすりながら妹(陽子)はぼやく。

「うぅ、お兄、私が悪いけど、だからって殴らなくても、いいじゃん」

半べそになりつつも兄の咳払いに急かされ説明しだした陽子。

その内容はこうだった

事の始まりは1ヶ月前、陸上部の女子更衣室が荒らされた事だった。最初は金銭目的の犯行かと思われていたが紛失している物が金銭では無く女子生徒の下着や体操服等といった

着替えのみだった事、また無施錠だった男子更衣室は一切荒らされていない事、直ぐに目的が金銭では無いと噂された。

1週間後、今度は水泳部の女子更衣室が荒らされる事になった。盗まれたのは下着や予備の水着、靴下やスカートであった。さらに翌日には盗撮された着替え中の写真が校内にばらまかれていた。

「なるほど、俺達の学校でってか中等部でそんな事件が起きていることは知らなかった」

中高一貫校である兄妹の学校。同じ敷地内に校舎があり校庭やいくつかの設備は共用である。勿論、何か事件が起きれば其れは直ぐに双方に伝わるはず、だが、

「はぁ、留年したからってバイトばかりして真面目に学校に通って無いからだよ」

呆れるように陽子は兄に苦言を呈す陽子。はははっと渇いた笑いをし、視線をそらしながらながらも兄は説明の続けさせる。

2度目の犯行を持って学校側も正式に対応を始め校内の巡回や警備員の増加等を行ったが

しかし、3日後には嘲笑うかのように犯行が行われた。たちが悪い事にお手製の書き置きまで壁に残していくという始末だった。怪人オウルマン と

説明を終えて一息つく陽子に兄はふと一つの疑問が浮かび尋ねる

「で、何でそのオウルマンとか言う変態、いや変人と俺が結びつくんだ?」

至極まっとうな質問である。普通に考えれば身内がそのような事をするなど考える方が不自然である。尋ねられた陽子はふふんと鼻を鳴らし自慢げに話し出す。

「目撃情報があったの身長180以上に短髪ツンツン頭。そして、高い運動神経に暗闇を明かりなしで逃げ回る夜目」

陽子が次々と挙げる犯人の目撃された情報、確かに其れは兄の特徴と似通っている。だがそれらは兄を犯人と確定するにはあまりにお粗末だった。こんな情報源で身内を犯人だと思い込んだのかと呆れる兄。そんな思い等、知るよしも無く陽子は最後にと一層自信ありげに告げる

「オウルマンのオウルってフクロウを英語にしてるだけだよね」

「ん?あぁ、そうだな」

梟、英語でOwl 鳥綱フクロウ目フクロウ科フクロウ属の鳥類である。

何となく嫌な予感を抱きながらも相づちを打つ兄

「フクロウ、お兄の名前って福朗(ふくろう)じゃん。福朗=フクロウ=オウルマン」

どうだと言わんばかりに胸を張る陽子。兄、福朗は何も言わずただじっと陽子を見つめる。

「・・・・・・」

無表情、ただただ無表情の兄に陽子は焦り始める。クネクネと愛らしいポーズをとったりチロリと舌を出して戯けて見せるも福朗は微動だにしない。陽子の背中を冷たい汗が流れる。

「痛あぁい。お兄の意地悪ぅう」

4LDKに悲痛な叫びが響き渡った。

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学校で女子更衣室を荒らし回ってる変態野郎。怪人フクロウ男、お兄何でしょ! 雨月 梅雨 @uduki-tuyu

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