第36話:1級建築士の合格率低下の原因と対策

 2008年4月、帰って佐藤慶係長に話すと、上層部とのパイプが欲しかったので、伊藤課長に戻ってきて本当に助かったと言ってくれた。真田めぐみ、木村恵子、倉田康子の3名には、総務、経理、人事、営業、海外営業など、全部署をまわってもらい、パソコン活用上の問題点を聞き出し改善策を考えることを命じ、その後、改善策を各部署で実施して、仕事の効率化を助ける仕事をお願いした。改善が進んだ後で仕事で使えるテンプレート作りをしてもらう仕事を依頼した。GWを終えた頃から、建築関連の教室でも、ソフトウェアの教室でも厳しいとか内容が難しくなったとかとの評判が会社の各部署から出る様になってきた。講師も指示した宿題してこない生徒には、厳しく接して言い訳、無用にした。この結果、6月にマイクロソフト・オフィスのスペシャリスト検定試験での合格者が一気に増えた。これは専門家を講師として採用して、初めての目に見える成果だった。そしてスペシャリストが10人を越えた段階で、マイクロソフト・オフィス・エキスパート検定を受けさせる事も考えた。


 20008年7月、8月、9月で300人以上がマイクロソフト・オフィス・スペシャリストに合格した。その後、仕事の関係で30人を選抜して、マイクロソフト・オフィス・エキスパート試験に挑戦するカリキュラムを考えて教室を開く様になった。年内にマイクロソフト・オフィス・スペシャリストが350人を越えた。そして、12月の試験でマイクロソフト・オフィス・エキスパートが3人合格した。これには、史郎も、講師の斉藤進と内藤一雄さんが大喜びした。その頃には、その他の女性3人も総務、人事、設計、営業、海外営業、研究、開発の部門で使える、便利なエクセルテンプレートを作成したり、その部門に適したアクセスを使ったデータベースとデータベース管理ソフトを作成して、会社の仕事の効率化に大きな貢献をした。


 年も押し迫った2008年12月20日に、一級建築士の合格発表があり、合格者数が15%増えてきてカリキュラムの変更の効果が出てきた。その年の教育研修部の忘年会には山下専務が飛び入りで、参加してくれ各担当者に労をねぎらってくれた。そのために教育研修部のスタッフの意気が上がったのは言うまでもない。その年のボーナスの査定評価が高くなり、冬のボーナスも以前よりも、かなり増えた様だった。


 そして2008年も終わり、2009年を迎えた。2009年の年始挨拶に、山下専務の部屋へ行き、挨拶後、専務の方から、昨年の教育研修部の活躍は、すごかったねと言われ、今年の4月に伊藤史郎君の部長昇格を役員会に諮って、昇進させる様に働きかけると約束してくれた。昨年、結局、ソフトウェア教育グループの成果が順調であり、最終的に383名のマイクロソフト・オフィス・スペシャリストが誕生した。今年は、1000名の合格をめざそうと計画した。更に、今年は、マイクロソフト・オフィス・エキスパートを10人以上、誕生させる目標を立てて、我が社の各部署で最低1人以上、総務、人事では将来的に10人マイクロソフト・オフィス・エキスパートという、壮大な計画を話し合っていた。


 全社員が15000人以上いるので、教育担当者を増やして、一気に、増やす検討も始めたのだった。昨年の試験マイクロソフト・オフィス・エキスパート試験で合格した3人、山下和子、山田達夫、姫島康男の3人は、パソコン教育研修チームに配属して、パソコン教室の会場を増やして5教室ずつ、開催することにしたいと言ってきたので、総務部に、会議室の予約状況をみて、空いてる時間には、できるだけ、パソコン教育研修に使わせてくれる様にお願いした。


 1級建築士受験指導グループは、今年の試験から、研修のカリキュラムと時間、やり方を改良した成果が出てくるので、楽しみに待つことにしたい。パソコン教育研修は、授業の講師の数を2人→5人→10人(最大、会議室の空きぐあいによるが・・)と増やすことによって、スペシャリストの数は、倍々ゲームで増やしていきた。実際に、毎月100人を越える、合格者が出てきた。そして、4月に、業績が認められて、2009年8月1日付で、伊藤史郎が、教育研修部長、就任が役員会で決定した。その他、最初から講師を務めた、斉藤進と内藤一雄も係長に昇格した。その後も、パソコン教育研修の成果で、2009年9月末日で、スペシャリストの合格者が500人を越えた。また、エキスパートも8人が合格した。こうして、2009年がおわり、2010年を迎えた。

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