第34話:パソコン教育室の選抜完了

 2006年が終わり、2007年が到来した。今年も、年始の挨拶に山下専務

を訪問すると、いよいよ、パソコンの専門家の面接試験が近づいたが、伊藤君は

、応募してきた人の、どんなところを見て、判定するのかと言いて来た。

 そこで、ソフトウェアの使い方だけでなく、応用経験があるかどうか、また、

社会人としての最低限の資質があるかどうか、なた、忍耐強さがあるかどうか、

この3点をみて、合否を決めますと言った。もし、やる気があるかどうか疑わしい

時には、山下専務の方からも質問してやってくださいと伊藤が言った。山下専務が

、全員の化けの皮をはがして、本当の実力を見ようと言うわけだなと笑った。

 そうです、わが社にふさわしくない人間は、いくらスキルがあっても、駄目と

いう事ですと伊藤が答えた。わかった、その線で面接試験の合否を決めようと

、専務が言った。


 試験当日、10時から小会議室で面接を開始した。最初に来たのは、パソコン

スクールを経営している48歳、男性だった。面接最初に、山田係長が、

あなたは、マイクロソフト・オフィスの中で、どれが一番得意ですかと聞くと

、全部得意ですと言い、だから、マスター試験に受かったのだと言った。

 次に、伊藤課長がなぜ、パソコンの専門家になりたかったのですかと質問すると

、その質問は、この仕事と何か関係あるのですかと逆に質問してきた。


 それに対して、モチベーションの問題です。つまり、好きでやってれば、応用が

できるが、資格にしがみついているだけでは、応用力が期待できないと思うから

ですというと、そうでしょうかね?、ソフトウエアは単なるツール・道具であり

、そこまで必要なんでしょうかね、むしろ使う腕が本物かどうかのが大切じゃない

でしょうかと言い返してきたので、そうですか、そういうご意見ですかと、

伊藤が言い、そういう人は、わが社では、必要ありませんと言い切り、

お引き取り下さいと言った。


 その男は、びっくりした様に席を立った。1人、最大20分の持ち時間で

面接試験をしたが、5分以内で、不合格となった人が4人おり、合格者5人で

終了した。終了後、すぐ解散したが、伊藤課長が、山下専務に呼ばれて、

部屋に入ると、パソコンのソフトウェアの達人と言っても、そんなにたいした

奴はいないねと山下専務が言った。伊藤課長が、好きで上達した人でなければ

、人を教えられないと言うのが、私の個人的な信条であり、それを変える

つもりもなし、多分、王道だと思いますよと言った。建築士関連とパソコン

関連の教育研修は頼んだよと言った。


 2007年2月から、教育研修課として、16人入れる部屋をもらい、

佐藤慶係長と、新しく吉田佳代子さんと清水真弓さんの2人が入ってきた。

先週のパソコン教育関連の試験で合格した5人が来月からこの部屋に入って

くる。合格者は斉藤進さん・40歳と内藤一雄さん・33歳、真田めぐみ・

28歳、木村恵子歳・26歳、倉田康子・25歳の5名、建築士教育の

佐藤慶・37歳と川田広・29歳の10人の所帯となる。

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