第28話:海外営業活動のドクターストップ

 2005年は、長女、徳子の大学受験で、母と同じ、上智大学の英米文学科を

目指すと言った。 2005年に、サウジアラビアと、ドバイを訪問して、

人脈作りに奔走、ドバイでは、高級レストランでウエイトレスと仲良くなり、

以前、サウジアラビアの王族のおめかけさんだった事がわかり、王族との接触を

試みた。2005年、もう一息の所で、サウジアラビアの海水の淡水化事業の

プロジェクトを日本の他のグループに取られてしまった。その年の秋の会社の

健康診断で、史郎の肝機能以上が見つかった。そういえば、出張から帰って

きても、なかなか疲れが取れない日々が続いた。寝汗もひどく、困った。

 肝炎の試験もしてもらったが、B型、C型肝炎のテストもマイナスで、

ひと安心した。内科の先生から、以前、メニエール病とか、自律神経失調症を

しましたかと言われ、10年以上前にかかりましたというと、あなたは、

極寒、猛暑の地域へは行かないで下さいと言われてしまった。


 仕事で、営業など、ストレスのきつい仕事を避けて、体力的に、きつくない

、内勤の仕事に配置転換してもらいなさいと言われた。無理し続けると、肝炎

、肝硬変になりますと言われた。先生が、診断書にそう書いておくので、

会社に提出してみて下さいと言われた。会社に戻り、2005年10月5日

に診断書を提出した。そこで、海外営業部の書類作成、ファックス送信など

の仕事をするように言われ、出張禁止となった。


 10月に2週間の長期有給休暇をもらい、奥さんと2人で、電車で東北の

温泉に行き、ゆっくりとした。最初に、青森の酸ヶ湯温泉に4泊して、奥さん

の早苗さんに、もう、出張したり、あまり無理をしないように言われた事を

説明した。すると、奥さんが、随分頑張ってきたから、仕方ないじゃないと

、慰めてくれた。

 

 今後の人生、ゆっくりと楽しめば良いじゃないの、お金も十分あるんだから

と言ってくれた。そう言えば、女房と、2人きりで、こんなにゆっくり話し

時間もなかったと過去を振り返った。その後、鳴子温泉に4泊、秋保温泉に

4泊、蔵王温泉に3泊して家に戻った。家に帰り、お父さんに言うと、

もうそろそろそろ後進に道を譲る年になってきたのかも知れないねと言った。


 11月になり、内勤業務を続けて、パソコンは使えるので、書類作成の

日々が続いた。11月18日に、急に、山下専務から呼び出され、部屋を

訪ねると、伊藤君、肝臓を壊したんだってと言われ、君には、まだ活躍して

もらいたいと思っていたが、出張ができないと医者から言われたのだから

仕方がない、また他の部署で頑張ってもらおうと言った。

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