第17話:1級建築士の合格指導教室

 東京の山本家に新年の挨拶に行くと山本康男さんが、後で、ちょっといわれ、

別室でセブンイレブンが東証1部に昇格の噂が出てるので。安いうちに、追加で

買った方が良いと言った。具体的には東京株式市場が始まるときに連絡すると言

われ少しして1080万円で買えたと連絡があった。山下専務の所に年始の挨拶

に行った時に伊藤君の伊藤設計教室は評判が良いみたいだと言い伊藤設計教室

から一人でも多くの一級建築士、一級建築施工管理技士が増えれば、すぐに課長

に昇進させると言ってくれた。昨年は新たに100人が一級建築士、一級建築

施工管理技士に合格した。今年は、どれだけ増えるか楽しみだと言ってくれた。


 1981年2月に教室で使う教材を史郎自身が作成し建築士試験の過去の問題

集を調べ上げて傾向を考えてまとめ上げた資料と合格するためのモチベーション

を高める心得を書いた資料の2種類を並行して学習してもらう様に考えた。

 これが合格に早道になる方法だと信じて熱意を持って生徒を教えるように

心がけた。史郎自身も自分のこの会社での目標が決まり、その道をまっしぐらに

突き進む決心がつき、やる気が上がった。毎日、5人ずつの生徒を午前、午後に

分けて3時間ずつ教えるスケジュールで、関東の各支店の建築関係者が対象で、

その数は入社1年生から3年生までを対象とすると千人を越える数であり、目標

の資格を取ると終わりになる。一応、月に1回ずつの勉強としていつので、

月25日として250人が研修できる。


 この仕事は専門職であり教育者手当が欲しいと単刀直入に言ったところ言い

たいことはわかる。だから君を今年の春、1981年4月に課長にするつもりだ

と年始に話した訳だと言うと、それに対して史郎は、その話は、ありがたいと

思っていますが、この仕事は出世と言うよりも特殊な技能が要求される専門職

であり、特殊手当の方が妥当だと思いますと言った。今後、私の後に続く人間の

ためにも、そう言う考えの基に処遇された方が合理的で良いと思いますと続けた。


 確かに君の言う事にも一理あると言い、わかった専門職と考えて処遇する事に

しようと決めてくれた。それで幾ら欲しいのかと言われ専門職手当手として基本、

月に10万円、その他に成果によってボーナスの査定と昇進を考慮していただき

たいと言った。すると、確かに、その方が合理的かも知れないと頷いてくれた。

 総務部長に専門職手当と業績査定はボーナス査定と昇進と言うことで伊藤君の

言った通りの条件で処遇するように指示しておくと約束してくれた。

 その後、1981年の4月に教育研修課長に昇格した。

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