第10話:史郎の海外研修旅行
史郎は、来年、1978年4月に1級建築士受験資格が与えられるので、9月
から1級建築士受験のための社内セミナーを週に1時間受け始めた。そのため仕
事との両立で、忙しい日々を送った。あっという間に12月になり1978年を
迎えた。吉川部長に新年の挨拶に行くと今年の君の目標は1級建築士試験に合格
する事だと言われ、頑張れと激励された。
1月、ちなみに受験のスケジュールは4月初旬に受験申し込みの受付をして
6月末迄に受験資格の審査をし受験票が送られてきて7月下旬に学科試験、9月初
旬に合格者発表、合格者のみ、10月中旬の製図の支店を受けて、製図の試験の
合格者12月下旬に発表され製図の仕事をしながら4月中旬に郵送で受験申し込
み書を送った。5月になり受験資格判定を心配しながら仕事をこなし、6月下旬
に受験票が届き、ひと安心した。7月中旬の試験は冷静に受験できた。その後9
月上旬の合格者発表で合格を確認し、その後、製図の仕事に加えて、試験のため
の製図の勉強もするので残業する日が増え、10月中旬の製図試験も冷静に受験
し12月中旬に合格発表があり、史郎は無事合格となった。
今年は我が社で133名が受験し105名が合格し、合格祝いの祝宴を製図第
1部で行ってくれ、この日は、かなり深酒をしたが、うれしかった。これでやっ
と正社員になれたような気がして身の引き締まる思いがこみ上げた。1977年
も念願の1級建築士になれて終わりを告げ1978年を迎え、新年の挨拶に山本
和夫さんに会うと、今年2月で68歳で三菱商事を定年退職するいわれ、その後、
退職後、経営コンサルタントになるために研修とか面会とかで1年近く、忙しく
なると言った。また資産運用については息子の康男からアドバイスしてくれる様
に頼んでおいたと言われた。
1978年3月にTK工務店で若手社員の恒例の海外研修者が毎年2名選抜さ
れて、米国、欧州と2週間の見学旅行ができる。各部署から1名ずつ推薦されて、
部長会で発表され、役員会に諮り、選抜するという形式。設計第一部からは伊藤
史郎が選出され、数日後、役員会での結果、今年の海外研修者は営業第1部の
黄川田紘一と設計第1部の伊藤史郎が選ばれ、1978年9月の第3週の水曜日
から2週間の旅行が計画された。
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