第8話:英語塾とドライブ

 海の方から涼しい風が吹き始め、きれいな花火を楽しみ、30分位して大型の

スターマインが打ち上がり、花ひらいた後、ドーンと腹に響く、大きな音がまた、

たまらない。何と表現したら良いか、まるで、今、自分が生きてる実感させてく

れる荘厳な感じさえした。2時間して最後の大きな花火が終えると、今までの喧

噪が嘘の様に、あたりが夏の夜のような漆黒の闇と静寂感に包まれた。ブルーシ

ートをたたみゴミを持ち家路についた。家について一息ついてシャワーを浴びて、

みんなでビールを飲んだり今日の花火の話をしたりしてから離れの部屋で、ぐっ

すり寝た。翌朝は8時まで起きられなかった。リビングに行くと、みんな起きて

おり、お母さんが朝食をどうぞと味噌汁と御飯をよそってくれ、いただいた。

 その後、早苗さんと夏休みの英語塾の打ち合わせをして昼食をいただいて午後

4時過ぎに吉川家の人達にお礼を言い、失礼した。


 やがて8月の夏休みになり吉川家に出かけ1976年8月10日から早苗さん

の英語塾を手伝う様になり、早苗さんが生徒の前で文章を読んだり講義をして成

績の悪い生徒を史郎が、その弱点克服のために4人1組になって教える様にした。

 10日間で英語で弱点のある子達全員に教える事ができ最終日にテストをした

が成績の悪かった子達の成績が向上したのを見て早苗さんが史郎に教えるのが

上手なんですねと誉めた。



 お礼に来週の土曜日にドライブに誘いたいのですが、ご予定はと早苗さんが聞

いてきたので私は空いてますが必ず、ご両親の了解を得て下さいねと史郎が念を

押した。わかってますと早苗さんが笑い、帰ってみんなの前で早苗さんがドライ

ブの話をすると良いですけれど史郎さん車に酔わないでねと、お母さんが言った。

 早苗は、おてんばに育って車もスカイラン2000GTとかいう速い車で曲が

りくねった道をすっ飛ばすんですよ気をつけて下さいねと笑うと史郎がスカG乗

ってるんだというと早苗さんが史郎さんも免許持ってるんでしょと聞き返したの

で会社に入って最近免許取ったばかりですと答えた。じゃー私の車を運転するの

は、まだ早いわねと笑った。史郎が、えー助手席専門で結構ですと言うと、みん

なで大笑いした。


 8月最終週の土曜日、横浜家から保土ヶ谷バイパスで戸塚、藤沢、辻堂、茅ヶ

崎、西湘バイパスに入り平塚へ、右に大磯プリンスホテルのプールを見て、遠く

前方に霊峰富士、左には相模湾、涼しい海風が心地よいドライブになった。途中、

小田原の魚の旨い店で昼食をとり一休みして箱根ターンパイクを上って、途中の

見晴らしの良い休憩所で眼下に相模湾を見下ろして風景を楽しんだ。その後、芦

ノ湖へついて遊覧船に乗り、また一休みして当たりを散策して午後4時に箱根を

後にして帰り道は、まるでラリーの様に下り坂をすっ飛ばして5時半についた。


 吉川部長の家について奥さんが開口一番、大丈夫だったと言うと大笑いとなり、

早苗さんが今日は安全運転だったわよねと史郎に聞くと事故や交通違反はありま

せんでしたと冷静に答えると、お母さんがジョークもお上手ねと笑った。風呂に

入ってビールを飲み始め史郎が早苗さんに車のハンドルを持つと厳しそー顔にな

って雰囲気が変わりますねと冷静に言うと吉川部長がわかるか、そーなんだよ。

 もーちょっと可愛いくして欲しいんだけれどねと言い、そうしないと、もらっ

てくれる人が現れないんじゃないかと親としては心配なんだよと言った。


 すると早苗さんが大丈夫、こう言う私を好きになってくれる人がきっといるか

ら安心してと言い返した。お母さんが、そうだと良いんだけどねーと言った。

 そんな話で盛り上がり、11時前には、離れの床についた。翌日は昼食をいた

だいて、失礼した。

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