第7話:花火と早苗さんとの出会い

 その週も製図を描いて1週間を終えた。金曜日に1976年7月14日の土曜

日に横浜の港の花火大会があるが家の近くの小高い丘からよく見えるんだが来な

いかと吉川部長に誘われた。特に予定がないので行きますと答えた。


 何時頃にお伺いすれば良いでしょうかと聞くと予定がないなら今晩から泊まり

くれば良いといわれ、それでは、お言葉に甘えて一緒に帰りましょうと言った。

 夜7時半に横浜に着いて美味しい料理を肴にビールで乾杯し、長女の早苗さん

が忙しそうに書き物をしていたので史郎が何してるんですかと言うと夏休みは、

英語の塾の講師の仕事が忙しく、予定表を書いてるのと言った。人手不足で大変

なのよと言い、猫の手も借りたく位よ言うと猫の手、貸しましょうかと笑いなが

ら言うと、あ、そーよね、史郎さんなら講師できるものねと言った。ほんとの事

を言う土日の昼間とか夏休みは8月の中旬の10日間は夏休みですからと言った。

 本気で頼んで良いのと言うと僕は構わないよと言った。それを聞いていた吉川

部長が無理しなくて良いんだよと言うと特に旅行へ行く当てもないし、ちょっと

興味もあるから手伝いますよと言った。


 夏休みは、いつ時から8月10~20日が夏休みと言うと一番忙しい時だと言

い本当に良いのと再度確認すると吉川部長のOKが出れば構わないよと言った。

 早苗は、いつも強引だからなと笑いながら史郎君の夏休みだから、会社として

は全く問題ないよと言った。お母さんも良いよねと念を押すと史郎さんがOKな

ら構わないよと言い決定した。帰る前に教える教材のコピーをもらえますかと言

うと、もちろんですと答えた。わー助かったと早苗さんは大喜びだった。夕飯を

食べて11時前に床について、朝7時に起床し朝食後、早苗さんが、帰るまでに、

資料を袋に詰めておきますので宜しくと言った。朝食を終えて、くつろいだ後、

大きなテーブルに資料を持ってきて中学生には、この資料で高校生は、この資料

と言い、これを一度、講師が読んで、その後リピード・アフター・ミーといって、

生徒全員で復唱するんですと言った。


 試しに2-3つの英語の文章を史郎が試しに読んでみると、発音やアクセント、

イントネーションも完璧であり、さすが英語検定1級ねと早苗が言った。そして

成績の悪い子には特別にマンツーマンで教える事になってるのですが人手が不足

で少ししか、できないのと困った顔で言うと教えるところを見せてと言い見ると、

なる程A君は、そうか、ここが弱いんだ、B君は、ここかと言い、僕は、こっち

の方が得意かも知れないと言うと、これをやってくれれば本当に大助かりなんだ

と言ったので、わかりました。マンツーマン指導を引き受けましょうと言う事に

なり、早苗さんが、お金の話をすると、いりませんよ。お母さんの手料理で十分

ですと笑った。


 さすが東大卒って伊達じゃないんですねと早苗さんが驚いていた。お母さんが、

史郎に今日も暑いからエアコンの効いた離れの部屋で昼寝した方が良いよと言い

昼食は簡単に済ませられるように大きな具入りのおむすびと味噌汁にしますと伝

えてくれた。おむすびを食べて午後4時過ぎに吉川部長と史郎が麦わら帽をかぶ

って出かけ小高い丘の一角にブルーシートを敷いて見物場所を確保した。そして、

ここで2時間くらい待っていてくれるかと史郎に聞くと了解しましたと言い文庫

本を取り出して読み始めた。6時前に吉川家の3人がやってきて、お母さんが史

郎さんすまわないわねーと言ってくれ、手作りのレモネードを飲ましてくれた。

 たわいもない話をしていると当たりが暗くなり7時から花火が始まり周りに人

が、どっと増えた。

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