第15話:マリア達の店の出店攻勢と米国留学

 そのため、アルバイト従業員六人とコック見習い三人を雇った。1990年始めにはリスボンの町中に、もう一店、レフの長男のマキシムを店主に彼の妻のイザベル、レフの長女のソフィアと彼女の夫のアンドレとアルバイト店員3人で開店させた。


 この店はカフェテリア形式で、サンドイッチ、各種サラダ、珈琲、紅茶に加えて、多くの種類の酒とカクテル、ビール、ワイン、コーラ、炭酸カクテルを用意した。利益の出る製品に絞った店として営業し、持ち帰り、宅配、若者向けの店として考えていた。


 数ヶ月して、そのコンセプトと通り、高収益の店になっていった。この頃には、マキシムとイザベルが給料も貯めてレフ・ファミリーの大所帯のビルから出て新しい生活を始めた。1991年始めに、もう一店を出そうとレフが、言った。


 この店から離れたリスボンの新興住宅街に、レフの長女のソフィアと夫のアンドレの店をアルバイト従業員4人とコック見習い2人を雇いオープンさせた。マキシムの店と同じ様に高収益の店をめざした。1991年12月にはマキシムとアンドレの店も順調に売り上げを伸ばしていった。


 この翌年1992年、祖国、ソ連が解体されソ連邦を構成していた共和国が次々と独立していきヨーロッパの共産主義国家が消え新しい民主主義の時代となった。やがて1994年にアンドレ、ソフィアもマキシムと同様に、お金を貯めレフの元から出て別に住むようになった。


 そのためビルの部屋も2階しか使わなくなったのでレストランの従業員の宿舎として貸した。レフはファミリーのために交代で休暇を取る時に楽しめる施設を探し始めた。場所はリスボンか、ポルトで海の見えリゾートが良いと考え、休みの日に女房のアリサとドライブしながら探した。


 リスボンでは見つからず、ポルトへ。ポルトに条件に合うコスタズメラルダというヨットクラブがあった。そこで早速、受付で施設とコテージ、ヨットなど施設のレンタル条件、費用を検討し、気にいったので入会金と使用料を支払いメンバーの手続きを取った。


 3つの店の経理をレフが取り仕切った。1992年からコスタズメラルダの会員になってファミリーの休みを月に6日として2回は連続して休みとする様に考えた。人手はアルバイトの数を増やして対応した。


 月に1回ずつでもコスタズメラルダでゆっくり休んめる様に配慮した。これには若手が喜んでくれレフの孫のブルーナ、セルジオ、アマンダも大喜びだった。その後、仕事へのやる気が上がり一層、仕事に励んでくれた。


 翌年1993年はマキシムの長男ブルーナが米国の高校に留学することが決まり、その後ソフィアの長男・セルジオ、マキシムの長女・アマンダも続けて米国留学する予定をたてだ。1994年1月、スイス・ジュネーブのプライベートバンクPCTのアーロンから電話があった。


 アーロンが、今年、定年で、後任のバートンに、この仕事を引き継ぎますと伝えた。レフは、アーロンに本当に、ご苦労さんと言い、お世話になったことに感謝を述べた。1994年にはレストランの給料支払後の純利益が300万米ドルとなり臨時ボーナスを出した。


 その後、盛大なパーティーを開いた。これに対して従業員達は高齢のマリアもベロニカもレフの功績に感謝した。その後、ファミリーの仕事について、あまり無理せず、長く継続する事を考えた。1996年、3人の孫が米国の高校に留学に旅立ち寂しくなったがファミリーの店の経営も順調で金回りは良かった。


 翌年の1997年、ブルーナが、米国、西海岸のカリフォルニアのシリコンバレーの近くの5つの大学に受験資料を送り受験してチャップマン大学のコンピューターサイエンス学部に入学できた。ブルーナは、コンピュータ・ソフトウェアを勉強したいと思っていた様で、その夢が叶い、大喜びだった。


 その大学はオレンジカウンティにあり、ロサンゼルスやサンタモニカにも近い場所で、アジアからの留学生も比較的多かった。翌年1998年はセルジオの大学受験の年であり6つの大学に入学資料を送り受験した。彼は、経済、投資に興味を持っていて希望通りサンディエゴ大学のファイナンス学部に入学しできて大喜びだった。

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