第13話:リスボンで家探しと孫の米国留学

 不動産屋に帰り見たビルを全部ポラロイドで撮っていたので並べてみた。エレベータなしと急坂の所は駄目、すると、不動産屋が一番おすすめが道の広い道路の店舗つき、三階建てのクリーム色の綺麗なビルをさしてこれが良いと言った。


 この物件ですと七十五万ドルでは買えないと言い、最低九十万ドルと言った。それは高い七十五万ドルになりませんかと言うと難しいと言い、支払い回数を多少、伸ばすくらいしかできないと言った。そこで即金で七十五万ドルで、お願いしたいと告げた。


 しかし、八十万ドルと言うので、仕方ない他の不動産に頼むかと言い席を立った。すると、ちょっと待ってと言い社長に聞いてくると言った。社長が出てきて痛いところ突いてきますねと言いわかりました。七十五万ドルで売りましょうと言った。


 その不動産屋で契約書を書き振込先の口座情報をもらい、翌週中に入金して下さいと言われた。1986年12月、ホテルに戻ってスイスのPCTの担当者アーロンに電話をかけて不動産屋の口座に七十五万ドル振り込んでくれと指示した。


 翌日、その不動産屋から入金あったと電話が来て、不動産屋の担当者が家の権利書と家の鍵と領収書を渡してくれた。これで住居が決まった。レフは晴れ晴れした気持ちで、ここ迄の道のりを振り返りソファーで、ゆっくりとポルトガルワインを飲んだ。


 思えば本当に長い年月と長い道のりだった。これで、やっと、めざす新天地に、たどり着いて何も恐れずに暮らしていけるのだと思い亡き父イワンを思いだした。毎日、働きづめで、ろくな食事も取れず懸命に暮らし続け、国が勝手に戦争を始め、命令で戦争に行き、戦場で無念の最後を遂げた。


 あまりに不幸な私達を見てイエス様がダイヤを授けてくれたんだ。それによって地獄の様な生活から逃げてこんな安全で素敵で、なに不自由ない生活を得る事ができたんだと思うと目頭が熱くなった。ワインを飲んで、強烈な睡魔に襲われてソファーで寝てしまった。


 翌朝、マリアがレフに、あなた昨晩、寝言で助けてとか、神様ありがとうとか寝言を言ってましたよと笑った。おもわずマリアを抱きしめて本当に長かったけれど、やっと幸せにたどり着いたねと言った。いろいろなことがあった1986年も12月24日を迎えて盛大なクリスマス・パーティーを開いた。


 翌日からマリアとアリサ、エミリアをのせて、レフが車を運転して海の近くのシントラ通りの4階建てのビルへ出かけた。一階は、以前レストランだった様で水道が完備してあり、レフの頭の中に、レストランのイメージがわいた。そこで椅子とテーブル、ガス、厨房設備を揃える事にした。


 近くのホームセンターへ行き必要な物を揃え、足らない冷蔵庫や電子レンジ、ミキサーなど電器屋に配達をお願いした。3日後に営業開始を目標にして行動した。その日の午後に、電化製品が運ばれてきて、手の空いた人達が、電化製品の動作確認などをしてまわった。


 マキシムとアンドレにトラックを借りて椅子、テーブルなどの備品の搬入をお願いした。トラックが着くと、ブルーナ、セルジオも椅子、テーブルをレストランに並べていった。これでレストランらしい雰囲気になってきた。


 冷蔵庫の設置が終わったので、レフトとアリサとソフィアがスーパーマケットに行き、ワインや肉、バケット、パン、パスタ卵、ハム、チーズ、ミルク、野菜、果物、調味料、オリーブオイル、魚など食材を買い込んだ。夕方には戻ってきて冷蔵庫に入れた。


 明日にレストランで調理のテストする事にした。試しにガスコンロ、電子レンジを使って夕食を作ったが、問題なく作動したので一安心した。


 その頃までにアリサとソフィアは自分たちの部屋決めをしていた。高齢のマリアの部屋とベロニカの部屋を2階のエレベータに近い部屋にした。少し離れてレフとアリサの部屋。3階はマキシムとイザベル、ソフィアとアンドレの部屋。


 少し離れて小さな部屋をアマンダの部屋、ブルーナとセルジオの部屋にした。4階は、小さいので、倉庫部屋として備品置き場にした。各部屋の掃除とぞうきんがけをしてきれいにした。

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