第11話:ダイヤをPCTに預けポルトガルへ

 そこでレフは、どうしたら良いか、彼に相談した。彼はレフに安全な管理方法を提案してくれた。それはゴータム社の社長の紹介でジュネーブのPCTプライベートバンクに口座を開設しダイヤモンドをゴーダム社に売却。その金をあなたのプライベート口座に送金したら良いと教えてくれた。


 PCTには、私から電話しておくと言った。30分後戻ってきてピーター所長の名刺に裏書きして渡してくれた。PCTでは、アーロンがゴーダム社を担当してくれるので、ジュネーブのPCTに行って、アーロンの所に案内してくれる様に受付に話せと言われた。


 ピーター所長が初回の支払い2人に合計2万ドルをお支払いしますと言い、少しして、100米ドル札、100枚で1万ドルの入った封筒を受け取った。その晩、ブリュッセルのホテルに泊まって、翌日、スイスのチューリッヒへ飛んだ。


 ジュネーブの空港からPCTまで、会社の迎えで向かった。会社の窓口でピーター所長の名刺を見せて担当のアーロンに会わせて欲しいと言い案内してもらった。アーロンはゴータムからの連絡で、お話は伺っておりますと語った。


 個人情報と口座開設の書類など数枚の書類を下に写しを置いて時間をかけて彼の助けで作成した。これでプライベートバンクに米ドル口座ができた。その口座番号を電話でゴータム社のピーターさんに伝えてレフの口座に498万ドル送ってもらう様にお願いし1時間後、ゴータム社からの送金が終了した。


 1986年11月、これでレフ達の口座が正式にできた。レフの持ち金の10万ルーブルも米ドルに交換してもらい、現在のレートで10万ドルになり両替した金を口座にいれた。アーロンから口座証明書と預金の預かり証をもらった。


 合計で508万ドルになると言われた。アーロンが。現在、現金をどの位持ってますかと言われ、2万ドルというと1人1万ドル迄もてるからと言い7万ドルを渡してくれた。残金合計501万ドルとなった。


 レフが当面、使う金として200万ドルを毎月1万ドルずつ、マリア、ベロニカ、レフ、エミリア、マキシム、ソフィアの口座に入金するように指示した。残金の308万ドルを目標運用益年5%以上のXファンドで運用する。


 そして500万ドルを超えたら100万ドルを分けて、今回と同じようにマリア、ベロニカ、レフ、エミリア、マキシム、ソフィアの口座に入金するように指示した。その後、レフが、我々は、ソ連を出て、ヨーロッパで定住する地を探していると話した。


 暖かい所で、治安が良く、経済が安定していて移住し易い国を教えてもらいたいと話した。するとポルトガルが一番の候補になると言われた。そして、投資ビザが、最も手軽に手に入る国だと教えてくれた。これで手続きと質問を終え、珈琲、紅茶とチョコレート、ケーキが出された。


 アーロンは、米国人でアメリカのMBAを取ってスイスのPCTに就職したそうだ。レフの英語の上手なのに驚いて、米国人ですかと聞いたので、ロシア人と答えると信じられないと言い、笑顔になった。 


 PCTが、個人的な事には踏み込まない方針なのかマリアファミリーに、それ以上質問をしなかった。PCTの口座から自分たちの銀行口座に送金が、必要な時は、連絡して下さいと言われた。ホテルはとアーロンが聞くので、まだですと言うと彼が電話を入れてホテルを取ってくれた。


 何故そんなサービスしてくれるのか、費用はと聞くと、アーロンがプライベートバンクは、全てのサービスは基本的に無料です。だから信用できる高額の預金者だけしか、プライベートバンクに口座を開けないのですと、きっぱりと言った。


 そしてPCTの豪華な車でホテルまで送ってくれた。その晩ワインで乾杯しベッドに入った。ジュネーブを出発して、ポルトガルのリスボンまで飛行機で3時間程度と意外に近かった。1986年11月、ポルトガル移民局に直接に行き、英語のできる担当者と話をした。


 ポルトガルは移住希望者の受け入れ条件は、資金額よりも移住の動機・理由・意思が重視される様だった。レフが、ソ連時代の苦労話と自由を求めてヨーロッパの国を探し回っていたが、気候が温暖で、歴史があるポルトガルに移住を希望したと打ち明けた。

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