第8話:アリサの両親の商売をマリア達が、手伝う

 アリサが、両親に会い、次にマリア、レフの家族が挨拶した。アリサの両親は地元で土産物屋、遊覧船で観光業、レストランなどの商売を手広く営んでおり5年前に自宅も増築して離れを建てた。その離れの4LDKの家をマリア家族に貸してくれた。


 マリアとレフの妹ベロニカ、娘のエミリアは刺繍の名人で土産物屋で販売する洋服の仕事をレフはレストランでコックの手伝い、アリサは土産物屋の販売員として仕事をする事になった。その後、それぞれの職場で忙しく仕事をしていた。


 マリアのファミリーのソ連を横断する大移動の一年、1982年が終わり、1983年を迎えた。特にマリアと娘のエミリアの刺繍の入ったYシャツTシャツ、ブラウス、カーディガンが評判が良く、飛ぶように売れ始めた。


 土産物屋で一番の売り上げを誇るようになり、そのうちアリサも刺繍の仕方をマリアに教えてもらう様になり一人前の針子になっていった。レフの方は、マリアに教えてもらった卵料理や肉と野菜の入ったピロシキや、ビーツ「赤カブ」と肉、ベーコンの入った煮込み料理。


 その他、ボルシチ、寒いシベリアの名物料理ペリメニと言うロシア風の小ぶりな水餃子、マッシュポテトを添えたビーフストロガノフが評判であり、地元客だけでなく、観光客のお客さんも増えてきた。


 土日、祭日になるとレストランでは、ウオッカを飲んでロシア民謡、踊りが、始まり、大盛況だった。これには、アリサの父エゴールも大喜びであり、1983年になってレストランの売り上げが、倍増した。


 夏、秋の観光シーズに入り更に、お客さんが増えた。これに対してエゴールが給料も上げてくれた。あまりにお客さんが増えたのでコック長とレフだけでは手が足りなくなってきた。そこでレフがマリアとエミリアに応援を頼むようになった。


 マリアとエミリアは、レフと違った鹿肉、豚肉、鳥肉、牛肉など肉料理の煮込みが上手で、その味付けと言ったら一度食べたらやみつきという程、旨かった。そのため、応援を頼んだはずが、かえって、多くのお客さんを呼び込むことになった。


 そのため、1984年に入り、お客さんがレストランには入れなくなり、長い行列ができるい様になった。そこで1983年6月にエゴールが近くの土産屋を改装して新たにマリアとエミリアのレストランを作った。


 そこは海に近く景色も良くマリアとエミリアに肉と野菜の煮込み料理の専門店とした。もう一つのレフのいる店を魚料理、ボルシチ、ピロシキ、ビーフストラガノフの店と看板を上げた。人手が足りないのでマキシムとソフィアもレストランを応援するように要請した。


 若いコックもそれぞれの店に5人ずつ採用し料理の腕を鍛えた。料理の評判を聞きつけて遠くのソチからも観光客が来る様なり、この二つの店が、まるで競い合う様に、お客を二分して一年が経った。冬は寒い地域からの避寒の観光客が増え売り上げは順調。


 エゴールに家を無料提供されていたのでマリアが家賃を支払うと言っても充分稼いでくれてるからといらないと決して受け取らなかった。 その後もレストラン中心にエゴールの仕事は順風満帆でソ連・最高の観光地ソチ進出を考え始めた。


 1984年には地元でも有名なレストランに名前が挙がる様になり、その繁盛ぶりにエゴールはソチにレストランを出そうと出張し地元の不動産屋でレストラン売り物件を探しを始めた。マリアとレフが育て上げた若手6人のコックも腕を上げたのでソチに連れて行こうと考えた。


 その後エゴールが、ソチで、売却予定のレストランを探しあてた。レフとエゴールが飛行機でソチに飛び、そのレストランを見に出かけた。その場所は、観光地の中心にあり以前の店主が、調理機材も全て込みで、販売価格を出していた。


 景色も良い所で、なぜ、店主に店を売るのか聞いてみると賃料が高く薄利多売で、お客を増やしたのだが、利益が出なくなった様だ。そこで、エゴールとレフが店を出すとしたら高級店としての豪華なメニューを考えなくてはいけないと言った。


そこでエゴールがレフに看板メニューについて意見を聞いたところ、レフが、舌平目の ムニエル、牛肉の煮込み、ビーフシチュー、最高級キャビア、にしんの酢漬け、スモークサーモン ビーフストロガノフ、紅玉リンゴとアーモンドクリームのタルト、バニラアイス・ロシア風パンケーキなどをあげた。

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