第2話 妹の友達から話があるんだと

「ところで小春ちゃん」


 みやびさんも小春なんて言い方するんだな。やはりかわいい。


「どうしたの?みやび?」


「お兄様と折り入ってお話したいことが御座いまして。一旦席を外していただいても?」


 急にどうしたんだろう。心配になってきた。まさか俺に気があるのではあるまいな。そんなことを思いながら麦茶を飲む。


「みやびがそういうんなら。じゃあその辺をお散歩してくるね。みやびに手出ししたら承知しないよ?お兄ちゃん?」


「みやびさんにそんなことするわけないだろ!」


「じゃあ行ってくるから、みやびは気をつけるんだよー」


 まったく小春という子はデリカシーというものを知らないんだろうか、まあそういうところがかわいいんだが。


「ところでお話というのは...?」


 俺はおそるおそるみやびさんに尋ねる。


「あの...非常に申し上げづらいのですが...」


 胸の鼓動が早くなる。やはり俺に気があるのだろうか。いやまさかそんなわけは。そんなことを思っているその時みやびさんが信じられないことを言った。


「妹さんを...ください...」


 へ?


「すいません。よく聞こえなかったみたいです。もう1回言ってもらえますか?」


 みやびさんが今”妹さんをください”と言ったように聞こえたが気のせいだろう。きっと。うん、きっとそうだ。そんなこと言うわけがない。


「ええ、ですから...あの...妹さんを...小春さんを、私に、ください!」


「あっ、はい、えっと、うちの妹でよろしければ」


 冷静に考えろ、冷静になれ、1番にありえるのは小春のいたずらだろう。散歩に行くとか言ってそのへんにビデオカメラを仕掛けているんだろう。


「みやびさん、小春に何か吹き込まれたんですか?」


「いえ、これは私の本心からの言葉です。娘さんを、私にください。」


 困ったな、こういうときはどうすればいいんだろう。


「義兄様はみなまで言わせるおつもりなのですか!」


「そ、そういう事なら、ぜ、是非...どうぞ...」


 そういうとみやびさんは嬉しそうに、それはそれは嬉しそうに笑った。

 っていやどういうことなんだよ!?訳がわからないんだが、そもそも義兄様ってどういうことだ?まだ結婚しているわけじゃああるまい、即刻小春を呼び出さねば。そう思い小春に電話しようとスマホに手を出したその時、みやびさんが必死になって言った。


「そ、それだけはご遠慮ください...小春さんにだけは...まだ...言わないで...

 ください...」


 ますますわからなくなってきた。付き合っているのならわざわざ隠し立てすることもあるまい。


「ごめんなさい、何がなんだかわからないので詳しいことをお聞きしても?」


「ええ、詳しい話と言っても...私が...私の友人である小春さんに...を...してしまった、というだけの話です...まだ小春さんとお付き合いをしているわけではありません...」


 そう言うとみやびさんは頬を赤らめた。かわいいなあ。

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かわいい妹のかわいい友達に妹さんをくださいとか言われたんだが? キンキ先輩 @kinkipaisen

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