第十二話: 無垢な記憶




 ――『星の皮膜』。



 それは、言うなれば『オドム』が自らを守る為に張った防壁であり、自らと外界を隔てる超巨大な壁である。


 言い換えればそこさえ突破すれば『オドム』は近い……のだが、普通の手段ではたどり着くことすら不可能である。


 『星の皮膜』が張られている範囲はあまりに広大で、あまりに分厚い。


 今の人類の技術力ではまずそこまで到達することが不可能であり、過去の英知を駆使しても不可能である……というマリーの言葉に、イシュタリアが異を唱えた。



 ――いくら何でもそれは言い過ぎではないかのう? 

 ――言い過ぎじゃねえよ。まあ、見たら分かるさ。



 何ともあやふやな言い回しに首を傾げるイシュタリアに、「行けば分かるから」マリーはさっさと説明を続ける。


 見た目は土砂と瓜二つであり、構成している原子(あるいは分子)も全く同じ。目視での判別は不可能で、マリー曰く『あいつが用意した入口からしか無理』と評された防壁……その前に、ついにマリーたちはやって来ていた。



「――それで、現時点での最深部になるのじゃ。私も、『イヴ』から教えられたのはここまで……ここから先は、私も知らぬ」



 そう言って、イシュタリアが顎で示した先……実際に見る『入口』は、例えるなら土砂の行き止まりであった。


 『フロンティア』の最深部辺りにある部屋から通路に出て、さらに下って、すぐ……マリーたちの前に姿を見せたのは、土砂の壁。


 イシュタリア曰く『パイプライン調整室』へと続いているはずの通路が、土砂で完全に塞がっていた。


 それは、土砂を上から被せたという類のようではない。


 おそらくは下(最深部)から噴き出したであろう土砂が、部屋という部屋、隙間という隙間を埋め尽くした挙句にここまで来て止まった……そういう状態なのだろうと、イシュタリアは言った。


 パッと見た限り、通路自体は、そこまで広くはない。


 大人二人が両手を伸ばして少し余るぐらいで、高さもそれに見合った程度しかない。しかし、それでも土砂で隙間なく塞がれた光景には、何とも言えない圧力にも似た感覚を覚える。


 土砂の中に見え隠れしている金属片は、その名残を物語っているのだろうか。金属の景色の中にポツンと存在する土色が、何とも奇妙なコントラストを生み出している。


 剥き出しの土色を見るのはたった半日ぶりでしかないのに、妙に懐かしさを覚えるのは……それだけ、この金属の空間に目が慣らされていたということなのかもしれない。



「本来なら、ここからさらに50メートル程下に下りることが出来たはずなのじゃが……」

「いや、十分だ……気配を感じるぜ、あいつの気配がな。『入口』が近いせいだろうが、この中でもはっきりと感じ取れる。俺たちをただ待っているのか、仕掛けに落ちるのを待っているのか……何とも判断が付き難いぜ」



 申し訳なさそうに頭を掻くイシュタリアに、マリーは首を横に振る。


 その隣で、不思議そうに首を傾げていたサララが、『グングニル』を軽く壁に突き刺し……また、首を傾げた。


 サララが見る限り……探知できる限りでは、目の前にあるソレは土砂の壁だ。


 行き止まり以外の何でもなく、とてもではないがマリーの言う『入口』には見えない。


 もしかしたら薄い壁になっているのかと思って槍を向けてはみたが……手応えから判断する限り、土砂は奥の奥まで続いているように思われる。


 ……マリーの言う事なのだから、ここが『入口』なのは間違いない。それは、サララの中では揺るがない。


 しかし、どうやってこの土砂の壁を突破するのだろうか……それが、皆目見当がつかない。



「大丈夫だから、不安そうな顔をするな」

「――っ、ごめん」



 その疑問が、顔に出ていたのだろう。


 頬を染めて顔を伏せるサララにマリーは仕方がないことだと言わんばかりに笑みを向けると……軽く、息を吐いた。


 途端、マリーの髪が、銀白色の髪がゆらりとざわめく。


 あっ、と二人の視線がそこへ向いたと同時に、淡い光を放つ緑色が頭から徐々に広がってゆき……あっという間に、マリーの髪は緑色へと色を変えた。



 ああ、なるほど、そういうことか。



 サララは納得して頷いた。ダンジョンの内装を操作する力(と、サララは思っている)を応用すれば、ここが『入口』だということも納得できる。



「お、おお……」



 サララは、目を瞬かせているイシュタリアを見やる。


 始めて見るのだから驚いても不思議ではないだろう……そう思ってちょっと嬉しくなっていると、その手をスルリと掴まれた。


 そちらに目を向ければ、厳しい眼差しを『入口』へと向けるマリーの横顔があった。



「これから、『星の皮膜』を通ってあいつが……オドムがいる地へと向かう」

「うん、いよいよだね」



 サララは頷く。


 こんな状況なのに見惚れてしまう己が、掴まれた痛みに喜びを覚える自分が、少し恥ずかしい。


 そう思ったサララは、あえて平静な態度を取りつつも同じくらいの力で握り返した。



「だが、その前に、話しておかなければならねえことがある。少しでも分からないことがあったら、先に言えよ」

「それでは、これの意味を教えてもらうとするのじゃ」



 ヒラヒラと見せびらかすように、イシュタリアはサララと同じ状態になっている手を振る。



「まあ、だいたい想像はつくがのう」



 がっちりと掴まれているというのに、イシュタリアの顔には満更でもない何かが浮かんでいた……が、マリーの視線はあくまで『入口』に向けられていた。



「あいつの居る場所には、普通に土砂を掻き分けて進むやり方では無理だ。数十日……いや、下手すれば数百日もこの中に閉じ込められることになる」



 ……ぽかん、と大口を開けたのは、イシュタリアだけではなかった。



「心配するな、そんな方法は俺も御免だ」



 見なくても、二人の様子が分かったマリーは話を続ける。



「時間さえ掛ければ行けるが、つまり、な。普通ではないやり方を取るってことだ」



 マリーの説明を要約すると、こうだ。


 まず、この『入口』から『オドム』の居る地へ、マリーが得た(思い出した)力を使って道を作る。


 だがそれは、土砂の中に穴を開けるといった単純なものではない。


 マリー曰く、『俺たちが存在するこの次元と、薄皮一枚隔てた別の次元の間に隙間を作り、そこに俺たちを滑り込ませる』というものであり、何事も無ければ数十分程度で辿りつけると言う。


 注意しなければならないのは『オドムのちょっかい』だが、マリーが持つこの力は、この『フロンティア』内において制限を受け、次元の隙間であっても多少なり影響はある。


 ただし、それはオドムも同様なので、おそらくはオドムも、『入口』を通過するまでは直接的な何かをしてこないだろうというのがマリーの考えだが……気掛かりとなるのは、その後だ。


 現時点ではオドムの力はマリーよりも上であり、純粋な力比べでは確実にオドムに軍配が上がる。


 可能性としては薄いが、正面からまともにぶつかれば、「まず間違いなく俺の方が押し負ける」。だが、「奥深くに入れば、あいつもそう易々と手出しは出来なくなる」マリーは続けた。


 はっきり言って、マリーが割けられる力に余裕はない。只でさえ周囲の空間を操作しつつ、オドムが居る地へと自分たちを誘導しなければならないのだ。消耗はそこまで問題ではないが、まだマリーにそれ以上の同時制御は行えない。


 だから、手を繋いで身体を密着させることで少しでも制御の穴を小さくし、干渉を跳ね除けやすくする。


 それが、この場で出来るせめてもの苦肉の策であった。



「要は、『星の皮膜』を抜けるまでだ。そこさえ抜ければ、もうアイツも今までみたいなことは出来ないし、俺も自由に力を使える。何かしらしてくるとすれば、『星の皮膜』を突破するまでの間だろう」



 人通りの説明を終えたマリーは、そう言って締め括った。



「……? 何故、手を出してこないの? 普通は近づいた分だけ激しく抵抗するでしょ?」

「そりゃあ、決まっておるのじゃ。背中に張り付いた虫を払うのは中々に面倒と言うものよ」

「何それ? まるで私たちが虫か何かみたいな言いぐさね」

「ははは、虫か。ならばさしずめ我らは蟻か?」

「……お前ら、けっこう余裕あるんだな」



 こんな状況なのにどこか緊張感のないサララとイシュタリアの会話に、マリーは苦笑する。


 けれども、「怖気づく時じゃないから!」即座にそう返されたマリーは堪らず笑みを浮かべ……次いで、気を引き締めて『入口』を見つめると。



「次元の隙間には、光はない。暑さや冷たさはもちろん、音だって存在出来ない。時間や距離というものの概念すら、こちらとは根本から違う。長いようで短いような、そう考えた頃には向こう側に着いているだろうよ」

「……それって、実際どれぐらいなの?」

「何とも言えねえな。一秒にでも一時間にでも感じるから……手を繋いでいる間は、俺を通して念じるだけで互いに意思疎通が出来るようにするから……いいか、絶対に俺の手を離すなよ」



 マリーの言葉に、サララとイシュタリアも気を引き締めた。ぎゅう、と二人はうっ血するぐらいの力でマリーの腕を己が胸に抱き留める。


 それを感じたマリーは、一つ頷くと――そこで一瞬ばかり、マリーは唇を噛み締めた。


 ……言わないままにしておくよりは良いと判断したのだろう。



「正直、こんな土壇場で言うのも何だが」



 しばし目を伏せた後、マリーは顔をあげた。



「正直迷ったが、先に伝えておくぞ。たぶん、この先にナタリアがいる」



 ポツリと、そう言った。その瞬間、二人の会話が止む。


 辺りが静まり返った途端に染み入ってくる静寂の合唱の中で……「それは、確かかのう?」ポツリと、イシュタリアの呟きが響いた。



「この向こうに、確かに居るのじゃな?」

「……居る」



 マリーは、はっきりと頷いた。



「確実に、居る。弱弱しい気配だが、感じ取れる……この向こうだ」



 ……その言葉に、イシュタリアは俯いた。サララも、やるせなく俯く。


「私は……」



 重苦しい沈黙の中で……イシュタリアは何かを言いたげに唇を開き、閉じる。それを数回程見守ったマリーは、一つ息を吐いて空気を切り替えると……ふわりと、マリーの緑髪が靡いた。


 直後、砂の壁に……否、空間に波紋が走る。それはまるで脈動のように一定の間隔で広がり、波紋は揺らぎへと変わる。



「――お、おお!?」



 マリーの身体から放たれる『力』の一端を感じ取ったのか、イシュタリアが驚きに声をあげる……その中で、「――行くぞ、舌を噛むなよ」不意にマリーがそれを告げると。


 ふわりと、マリーは空間を蹴る。


 それにつられて二人も空間を蹴れば、3人の身体は波紋の向こうへと溶け込むように吸い込まれる。そして、幾重もの波紋が生まれて波打ったが、それも徐々に弱まり始め……止まる。


 後には何も無い空間だけが、土砂で塞がれた『入口』だけが残された。ジジジ、と一瞬ばかり暗転した照明だけが、その静まり返った空間を見つめていた。








 ――。


 ――。


 変わらない。

 ここは何も、変わらない。


 何をしても、何をしなくても、ここは変わらない。

 延々と同じ日々が続いて、延々と同じ昨日が通り過ぎていく。


 本当に、退屈な毎日だった。

 退屈だった。


 ずっと、退屈だった。

 ずっと、ずっと、退屈だった。

 ずっと、ずっと、ずっと、退屈だった。


 ――。


 ――。


 ――――最初に感じたのは、土の臭い。次に感じたのは、木の臭い。次は大地のちから強さと、背中に触れる土の温かさ。そして、遅れてやってきた……自分すら消えてしまいそうな程の、冷たい静寂。


 目を開ける。見えたのは、土の色と緑の色。それは、自らを見下ろす大きな木。背伸びしてもどうにもならないぐらいに大きな木から伸びる、私の足よりも太い枝が十、二十。まるで手を広げているかのようなそれを前に、私は欠伸と共に身体を起こした。



 ――私が、私として、自覚した最初の記憶。後になって、ああ、これが始まりかと分かったぐらいの、おぼろげな記憶。



 ここは、どこだろう?


 ――それは、私が最初に考えたこと。



 ここは、『ダンジョン』の中だ。


 ――それは、私が最初に思い出したこと。



 私は誰だ?


 ――それは、私が次に考えたこと。



 私は……『ナタリア』、そうだ、ナタリアだ。


 ――それは、私が次に思い出したこと。



 目が覚めた私は、色々なことを考えた。そして、色々なことを思い出した。


 身体の動かし方、空の飛び方、声や言葉、自分が何者なのか、自分がどうしてここにいるのか、自分が何をすればいいのか、それはまるで顔を覗かせる太陽のように私の中を照らし、次々と私の中から姿を見せてくれた。


 私は、ナタリア。


 サキュバスという役割を与えられた、――の手で生み出された僕。地上からやってくる人間たちと戦って、その命を奪う為に生み出された、モンスターと呼ばれる存在。


 私は、地上からやってくる人間を出迎える使命を与えられた。その為に私はこの部屋に居て、この部屋から出られず、ただひたすらに役割を果たす為にここにいる。


 私は、この部屋に入って来た人間を殺さねばならない。


 そうだ、殺して、殺して、殺して、その命を『ダンジョン』に、――に捧げるのだ。それこそが私の喜び、それだけをやればいいし、それ以外をやる必要はない。


 だから、私は待った。


 与えられた役目を果たす為に。


 与えられた役目を果たす為に、私はその時を待った。


 与えられた役目を果たす為に、私はただ待ち続けた。


 待って、待って、待って、待って、待ち続け……そんな時、二人の人間がやってきた。早速飛び掛かろうとした私だが、その前にその二人は私のことなど見えていないかのように言い争い始めた。



 『――これに、何の意味がある? わざわざ姿を変えてまでやらなくとも、脳に情報を植え付ければいいだけではないか』

 『意味など無いわ。意味があるとしたら、その方が楽しいし面白い……楽しいことは一つでも増えてくれた方がいいの』

 『――理解出来ない。これもそうだが、わざわざ知能を与えることに、何の意味がある? 所詮は私の中にある防御機能の一つであり、返しが付いた餌でしかないというのに』

 『餌になる玩具なんて、ステキでしょ。私はね、見てみたいの。この玩具が、この中でどれだけ苦しんで自我を崩壊させていくのかを。それが苦しみだとも理解出来ずに狂ってゆくこの玩具たちを見たいの』

 『――理解、出来ない。だが、それで君が笑顔になるのならば、私は君のやることに従うまで』

 『うふふ、きっと、そう言ってくれるって思っていたわ。だって、私とあなたは、たった一人の友達だもの。ねえ、そうでしょ?』

 『――ああ、そうだ。君は、私のたった一人の友達。君が楽しいと言うのなら、それは私の喜びでもある』



 何を言っているのか、よく分からなかった。今でもそれの意味はよく分からない。考えようとすると、きまって頭が痛くなるから、私はいつも考えることを止める。



 『さあ、玩具さん。人間の形を覚えなさい。これが、人間。これが、人間の身体、臭い。次にここを訪れる者がいたとき、この形と臭いに近しかったら、それは人間。お前の役目を果たしなさい』



 二人はそう言って私の前で服を脱ぎ捨てると、その身体を私に見せつけた。


 一人は、男と呼ばれる形をしていて、一人は、女と呼ばれる形をしていた。


 正直、初めて会った時は自分より身体が大きいのかと思った程度だった。


 最初は、殺してやろうと思った。けれども、出来なかった。逆らおうとも、思わなかった。


 きっと、その二人が――と似ていたから。姿かたちは違うのに、私には――に見えてしまって、どうしても手出しを出来なかった。


 だから私は、その二人が命じた通りに形を覚え、臭いを覚え、その身体に触れて覚えた。


 私の役目は――が望むがままに。――がそう願うのであれば、私は従うだけ。何故なら私は――でしかないのだから。


 二人が去った後は、また、それまでの毎日が戻って来た。何もかもが、元通りになった。


 ただひたすらに、ただひたすらに、人間が下りて来るのを……私を見つけてくれるのを、私は待った。


 考える必要はなかった。だって私は――の僕。


 考える頭は、いらないのだ。ただただ無心のままに――に従って役目を果たせばいい。ただ、人間がここへやってくるのを待つだけでいい。



 でも、何故だろう。



 どうしてか、胸の奥が動かなくなる時がある。まるで時間が止まったかのように私の中で何かが動かなくなり、何もかもがとても億劫になる時があった。


 最初はそれが何なのか、よく分からなかった。


 多分、ぼんやりしていることが多くなったから、頭の中が鈍ってしまったのだろう。困った、でも、どうすればいいのだろう。考える頭はいらないが、何もしないでいていざと言う時に何も出来なくなるのは困る。


 そう思った私は、とりあえず何かをすることにした。でも、何かをしようにも何をすればいいかよく分からなかった私は……とりあえず、指で地面に何かを書くことを思いついた。


 何かを書く、ということ事態が初めてだったからなのか。これがまた思いのほか面白く、私は爪が割れて指先が擦り切れて骨が見えるようになるまで、とにかく思いつく限りのことを書き続けた。


 それに飽きたら、今度は『食べる』という行為がしたくなった。『人間』は、『食べ物』を食べなければ生きていけない生き物だ。


 私は、食べなくても平気だ。でも、だからこそ、『食べる』とは、いったいどういうことなのだろう……考えれば、とても私の興味を引き付けた。



 しかし、『食べ物』とは何だろうか。



 まずそれが、私には分からなかった。だって、私には『食べるという行為』が必要ではない。ただここに居るだけで私の腹は満たされ、ただここにいるだけで生きていけるから。


 でも、気になった。『食べ物』って、なんだろう。分からないなりに、とにかく口に入れれば『食べる』ことになるということが分かっていた私は、転がっていた石を口の中に入れて……吐き出した。


 石は、固い。それでいて冷たくて、噛むと変な感じがする。初めて口にしたそれは、どう言い表していいのかよく分からない味。人間とは、こんな固くて冷たい物を食べて生きるのだろうか。


 気になった私は、とにかく目につくものを片っ端から口の中に放り入れた。光を放つ草も、空気を吐き出す草も、綺麗にする草も、踏み締めた土も、掘り起こした土も、そびえ立つ大木の幹も、太く伸びた根っこも、葉っぱや枝も、生っていた木の実も、とにかく『食べて』みた。


 変な味、ちょっと変な味、前とは違う変な味、まあまあ変な味、これは変な味、張り付く味、変な味、凄く変な味、味が無い……どれもこれも、似たような味。人間は、こんなものばかり食べているのだろうか……変なやつらだ。


 一通り気の済むまで『食べた』私は、また、人間が来るのを待ち続けた。来る日も、来る日も、来る日も、来る日も、待ち続けた。


 そうしていると、また胸の奥が動かなくなる変な感じが多くなった。いけない、このままでは動けなくなる。そう思った私は、とにかく何かをすることにした。


 大きな木の、枝の数を数える。


 中々面白い、でも、いっぱいいっぱい数えている内に、全部数えてしまった。もうやることが無い。また、胸の奥が変な感じになる……ああ、次だ。


 今度は、葉っぱの数を数えよう。


 枝よりもずっとずっと数の多いそれは、数えれば数える程楽しくなった。ああ、でも、それもその内数え終えてしまった。どうしよう、することがない。


 そうだ、生えている草を数えよう。


 だけど、それはすぐに終わった。生えている草は、大きな木の葉っぱよりもずっと数が少ない。あんまりすぐに終わってしまって、私は何だか変な気分になって……ふと、思い出した。



 ――そうだ、人間が来た時の為に、何か考えておこう。


 うん、そうだ、それがいい。だって私は――の僕、――に生み出された命の一つ。それこそが、私の使命なのだから。


 声を出す。


 ああ、そうだ、私には声があった、声が出せた。初めて出した私の声は思っていたよりも高く、思っていたよりも小さい。何だかおかしくなって、私は声を出す度にいっぱい楽しくなった。


 声を出す。


 あ、い、う、え、お。これは、言葉。か、き、く、け、こ。これも、言葉。人間は、言葉を使う。だったら、私も言葉が使えた方がいい。そしたら、人間が――私の元に来てくれるかもしれない。


 声を出す。言葉を出す。大きな声、小さな声、中くらいの声、そうだ、私は声が出せる。どんな声だって出せる。


 そうだ、いっぱい声を出していれば、届くかもしれない。


 ここの外にいる人間が気付いて、ここに来てくれるかもしれない。そうだ、もっと声を出そう、もっともっともっと大きな声を出そう。


 語る言葉も考える。


 何を話そう、何を話せばいいのだろう。私はサキュバス、私はナタリア、私はモンスター、そうだ、私はソレだ。じゃあ、それに見合った話し方がいいのかな? それを出せば、人間がここに来てくれるのかな?


 何を話そう、何を語ればいいのだろう。私は人間の敵で、私は化け物で、私は人を襲う。そうだ、私は敵なのだから、敵らしく振る舞えばいい。そうだ、敵らしい振る舞い方を考えよう、練習しよう。


 人間さん、人間さん、人間さん、人間さん、人間さん、人間さん、人間さん、人間さん、人間さん、人間さん、人間さん、人間さん。


 人間が来ない。どうして? 私、こんなにいっぱい練習しているのに。


 考える、ここが下層だから? でも、私の他にも私と同じやつはいる。なんで私だけが違うの?


 それはここが、人間が来るには深すぎるから? でも、仕方ないよ。だって、――が望んだことだから。私は――の僕だから。


 でも、だったら、次に人間が来るのは何時になるのかな?


 何時になったら、ここに来てくれるのかな?


 あとどれぐらいしたら、私は人間を殺せるのかな?


 いっぱい練習した。人間を殺す方法。いっぱい、思いついた。


 いっぱい練習した。人間を操る方法。いつか、人間に使ってみよう。


 いっぱい考えた。人間を、ここに連れて来る方法。人間が来たら、やってみよう。


 延々と、ただ延々と、同じ時が繰り返される。右を見ても、左を見ても、後ろを見ても、前を見ても、上を見ても、下を見ても、見えるのは何時も同じ。


 その中で、私は考える。私は考える。私は考える。私は考えて、考えて、考えて……飽きた。


 いつしか私は、声を出すのを止めた。飽きてしまった。言葉だって、考えるのを止めた。飽きてしまった。人間が来たときにしようと思っていた事……考えるのは止めた。考えても、意味がないから。


 そうしていると、胸の奥が止まって行くのが分かる……石のように固くなっていくのが分かる。それは駄目だ、だって私は――の……あれ、そういえば。



 ――って、誰?



 思い出そう、きっとそれは大切なことだ。でも、変だ、思い出せない。さっきまで覚えていたのに、今はもう思い出せない。



 ――って、何?



 思い出そう、でも、思い出せない。あれ、ていうか、――って? 人間の名前? でも、ずっと前に来た人間とは違う……あれ?


 私……何を考えていたんだっけ?


 あれ?


 あれあれ?


 あれあれあれ?


 変だな、何かを考えていたのに……何を考えていたんだろう……変だな、思い出せない。全然、思い出せない。変だな、変な感じがする、何で思い出せない――ん、んん、あ、あれってもしかして……!



 『おい、隠し部屋の中って、こんなふうになっているのか?』



 あれは――人間だ! 本物の人間だ! それも、あの、あの――なんか、見ていると嬉しくなっちゃう! なんでだろ、胸が痛くなる、頭が熱くなって、どうにかなっちゃいそう!



 『いや、そんなことはないのじゃ。私も長らく生きておるが、こんなモノを、この場所で見るのは初めてなのじゃ……ううむ、デカい』



 あ、ああ、人間の女だ。女が二人、一人は女みたいな感じがするけど、男だ。分かる、男だ、あれは男だ! それも、普通の男じゃない! ――と同じ感じがして、私――私の――ああ、どうしよう、身体が火照って苦しい!


 『薪にしたら、どれぐらいのお金になるかな?』



 殺せる! 三人も来てくれた! 腕を引き千切って、足を引き千切って、頭を引き千切って、いっぱい抱きしめよう! そうだ、抱きしめよう! ずっとずっと、次の人間が来るまで抱き締めよう!


 あ、でも、殺したら駄目だ! 殺しちゃったら、また次の人間が来るまですることが何もなくなる! でも、どうしよう、やっと役目が……あれ、役目って……いいや、そんなこと! 今は目の前の人間だ!


 何をしよう、どうしよう、どうしてやろう……そうだ! 二人は殺して、一人は私の傍に置いて、話し相手にしよう! 死ぬまで、死ぬまでずっと、私の話し相手! 誰にしよう? 誰がいい? そうだ、あの男だ。あの男がいい! 綺麗な髪の、赤い目の、女みたいな顔をした男! 私の――してくれる、あの人なら!



 『もしかして、ハズレってやつなのかねえ?』



 ハズレ? ハズレって知ってる! 間違いってことでしょ? 違うよ、全然違う。ハズレなんかじゃないよ! だって私がいるもの、私がいるのにハズレなんて違う! ここはハズレじゃなくて、ここは――。



 ――。


 ――。


 ほら、ハズレじゃないよ。だって、もうあなたは私のお友達。もう、私は一人じゃないの。あなただけは、特別。だって、私の――私を――そう、思い出した。あなたは『受け継ぐ者』なんだもの、あなたはずっと私と一緒にいないと駄目なの。


 ねえ、そこの二人も遊ぼうよ。ほら、私って凄いでしょ? こわーい話し方、ずっと練習していたの。ねえ、どう、それっぽいでしょ? サキュバスって、こういう話し方をするって知っているんだよ、ワタシ。


 ……槍、うん、それは槍。触ると痛くて、血が出て、見ていると身体が震えちゃう……それを私に向けてくれるなんて、ああ、そんな、そんな……楽しくなるじゃないの!



 ――。


 ――。


 ――――肌が土のような色をした人間は、正直大したことはなかった。でも、私が想像していた以上に強かった。槍……そうだ、槍を振り回して、必死な顔で、何だか見ているだけで楽しくなった。


 だから、いっぱい爪を立てた。いっぱい言葉を掛けて、いっぱい遊びたくなった。だって、面白い。どれだけ殴っても黒っぽい人間は私を睨んで、私に抗ってくれる。こんなに楽しい気分、初めて、私、戦っている! 生きてる、すごく、凄く、生きている!


 声だって掛けちゃう。台詞もいっぱい言っちゃう。何時か使おうと思っていた言葉をいっぱい、いっぱい。そうしたら、ますますそいつは私に向かって来てくれる! もっともっと、私を見てくれる!


 ああ、楽しい! ステキ! 本当にステキ! 楽しい! こんなに楽しいのは初めて! ああ、胸が弾けそう、苦しい、嬉しい!


 もっと、もっと聞かせて! あなたの声を! あなたの悲鳴を! ほら、ほら、もっと聞きたいの! あなたが痛いっていう顔が、あなたの苦しいっていう顔が、もっともっと見たい! 見たい! 見たい――あれ、どうしたの?


 ――もう、限界? 何それ。これからなのに。これからが良い所なのに。ほら、まだ温かいよ。血がいっぱい出ているよ。まだ、死んでないよ。だから、動けるよね? 動いてよ、ワタシ、まだ遊びたい――!



 ――。


 ――。


 ――――赤い色、痛い、顔が熱い、お腹が痛い、顔が痛い、お腹が熱い、赤い色、顔が痛い、赤い色、顔が痛い、お腹が痛い、痛い、痛い、痛い、痛い……全部痛い。


 負けた、ワタシ、負けた。何も出来なかった。動けなくなるまで殴られた。痛い、痛い、赤い、熱い、痛い、熱い、痛い、赤い、赤い――死ぬって、こういうことなのかな?


 そうか、私は死ぬのか。でも、死ぬってどうなんだろ? もっと痛いのかな? もっと赤くなるのかな? もっと熱くなるのかな? 分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、分からな――え?


 血が欲しいの? 私の? わざわざその為にここまで来たの? 変な人たち、そんなものの為にここまで来るなんて……人間って、変わっている。不思議なやつらなのね――ところで、何に使うの?



 ――カチュの実?



 カチュの実って、なあに――クダモノ?


 クダモノって、なあに――アマイもの?



 アマイってなあに――知らない。だって、食べたことないんだもの。人間だって、私と同じモンスターだって、食べたことないの。石とか、草とかならあるけど、でも、アマイってなあに? 変な感じがするアレと一緒なの……違うの?



 ――私も出たい。連れてって。



 え、何で駄目なの? 血が欲しいならあげる! 体液だってあげる! アマイの食べたい! 『食べる』って、ステキなことなんでしょ! 人間ばっかりズルい! 私だって、『食べたい』もの! アマイの、食べたいの!


 ねえ、いいで――あ、でも――私は――の――僕――私の――役目は――れ、れれれ、あれ? 何だっけ? 何をしようとしていたんだっけ……あ、そうだ。



 ――大丈夫! 私、ここを出る方法を知っているよ! それはね、それはね――。


 ――


 ――


 ――――。







 ――そこは、寒々しい空間だった。降り注ぐ山吹色の光こそあるものの、少しばかり目を凝らさねばならない程度の明るさしかない。



 なのに、見渡す限りの地平には何もなく、見えるのは土と岩だけ。


 上を見ればこの空間を照らし出す『光』の向こうには天井が見え、そこにはモンスターの影もない。ここは、『生』の気配が全く感じられない寂しい世界であった。



 ……いや、違った。『生』の気配は、一つだけあった。



 それは、この空間を照らしている『光』。この空間の中央にて漂いながら存在し、この空間において唯一光を発している……その姿は、言うなれば『巨大な肉の塊』であった。



 そう、『光』の正体は、巨大な肉塊。巨大……それはあまりに巨大で、あまりに異様で、あまりにおぞましい光景であった。



 命の影が感じられないこの空間にて響く、脈動の音。それは、『光』を生み出している肉塊から発せられている。


 静かで、それでいて厳かに反響しているその脈動は、まるで期待に打ち震えるかのように……あるいは、何かに怯えるかのように、どくん、どくん、と鼓動を繰り返していた。



 ……その、おぞましくも寂しい世界に変化が起こった。



 まるで波紋のようにその空間が波打ったのは、突然のことであった。


 ともすれば、見落としてしまいそうになるほどに小さな波紋。それは気づけば二つ三つと回数を増やし、瞬く間にはっきりと確認出来る程に空間が波打ち始め……ふわりと、波打つ波紋の中から三つの影が飛び出した。



 一つは、緑色の髪を鮮やかに輝かせる赤き瞳の(少女にしか見えない)少年、マリー・アレクサンドリア。


 一つは、夜の闇よりも黒い瞳と白い肌の、時を渡り歩く少女、イシュタリア・フェペランクス・ホーマン。


 一つは、その見た目には似つかわしくない武器を携えた麗しい少女、サララ。



 飛び出した3人は、突如その身に降りかかった重力に、一瞬ばかり自らの体勢を忘れる。けれども、3人は瞬時の内に状態を把握し、身体を捻って反転して着地する。


 その3人の後ろで波打っていた波紋が、徐々に治まっていく。


 そして、この世界の寒々しさに怯えるかのように、この世界に響く脈動から耳を塞ぐかのように、空間はひと際強く震えた時にはもう、波紋も消えてしまっていた。



 ……辺りは、静かであった。



 『星の皮膜』を超えたこの状況、本来ならすぐにでも周囲を索敵し、オドムの襲来を警戒しなければならないところだ。


 なのに、誰も動いていなかった。いや、違う。誰も、その場を動くことが出来なかった。


 今しがたの……埋め尽くすかのように押し寄せてきた映像が幾度となく脳裏を過るせいで、誰もが次の行動を起こせずにいた。



「今のは……何じゃ?」

「お前が、想像した通りだろうよ」



 静まり返った空間に、イシュタリアの呟きが溶ける。


 それに、「おそらくは、あいつの仕業だろうがな……」マリーはため息を吐きながら立ち上がると……頭上を見上げて呆然としているサララを見やった。



「どうした?」

「ど、どうしたって……分かって、いるでしょ」



 ごくりと、サララは唾を呑み込む。震える手で指差したのは、この空間を照らし出している唯一の『光』である肉塊。



「は、はは、夢でも見ているのかしら……」



 どくん、どくん、規則的に脈動を繰り返すそれを、サララは何と呼んでいいか分からなかった。



 ……それは、いちおうは平均的な常識を持つサララにとって、これまでで最大級となる『異様な光景』であった。



 左右を見れば地平線はどこにも見当たらず、地続きの大地が壁へと続き、そのまま天井を回ってぐるりと自分の元へ返って来ているのが分かった。


 それはつまり、サララたちがいるこの空間が広大であるということ。目安となる物がないから判別し難いが、とてつもなく広大であろうこの空間の、その中央にて『巨大な肉塊』が漂っている。


 その異様としか言いようがない現実に、サララはしばし考えることを放棄することしか出来なかった。



「……もしや、あの奇怪な場所が目的地とは言うまいな?」

「信じられないという気持ちは分かるが、あれこそが『ダンジョン』の『本当の最深部』だ」



 え……思わず、イシュタリアはマリーを見つめた。



「『本当の最深部』とはどういうことじゃ? その言い方ではまるで、『別の最深部』があるかのような口ぶりじゃな」

「口ぶりも何も、俺はそう言ったんだよ。あの肉の塊こそが、『ダンジョン』の一番奥深くで、それ以外はあいつが用意した最深部ってことだ」

「……はあ、そうなのか」



 気にはなるが、ひとまず己を無理やり納得させたイシュタリアは、思い出したように辺りを見回した。



「ところで、ここには何もないのに空気があるようじゃが、どうなっておるのじゃ?」

「そんなもん、俺のおかげに決まっているだろ」

「……そ、そうか。便利を通り越して何でも有りじゃな」



 大口を開けたまま硬直しているサララを他所に、いち早く(完全とは言い難いが)思考の復帰を果たしたイシュタリアは深々とため息を吐く。


 と、気になったのか、「ところで、ここが最深部なのじゃとすると――」イシュタリアはそう言って首を傾げた。



「正直、見当もつかぬのじゃが、いったい、私らはどれぐらい奥深くに来ているのじゃ?」

「んー、だいたいこの星の中心近くまで来ていると思ってくれて構わんぞ」

「いや、冗談で聞いているわけではないのじゃが?」

「冗談なんて言っていな――っ!」



 それは、突然だった。背筋を走る、強烈な感情。


 マリーの、イシュタリアの視線が、虚空へと向けられた。いつの間に復帰したのか、『グングニル』を構えていたサララも、その虚空を見つめ……否、睨みつけていた……と。


 唐突に、三人の視線が集中するその空間に波紋が生まれた。


 それは、マリーたちが次元の隙間に入る時と同じ現象。身構える三人を他所に、波紋は瞬く間に激しく強く……そして――。



「――待っていたわぁ、あなたが来るのを」



 波紋の中からぬるりと姿を見せたのは、オドムと同じ出で立ちの少女であった。緑の髪に、緑の瞳。それはマリーが、そして、サララが良く知る者と全く同じであった……だが、その顔に浮かぶモノが違っていた。


 目の下に浮き出ている隈、頬はこけて、これまで見てきた『オドム』が持っていた力強さが、そこにはない。あるのは、憤怒、憎悪、侮蔑。


 あらゆる悪感情を擦り混ぜたかのような、異様としか表しようがない形相。見る者に怖気と狂気を思わせるそれは、マリーたちですら身構えさせるには十分だった。



「えひ、えひひひひ、また会ったわね、あなたも、待っていたわよぉ……」

「……その口ぶり。前に会った時と比べたら、ずいぶんと様変わりしたわね」



 ギョロリ、と向けられた視線を、サララは真っ向から受け止める。「泣き腫らした子供よりも酷い顔ね」皮肉交じりにそう答えたサララに、「えひ、ひひ、そうかしらぁ?」オドムはまた、肝の悪い笑みを浮かべた。



「私、今、ものすごく機嫌が良いのよぉ……だって、もう『私』は『私』じゃないもの。私は自らを私から切り離し、私は私として生きることを許された……えひ、えひひひ、だからぁ……私は、自由なのよぉ……!」


 だ、か、ら――好き勝手に出来ちゃうの。



 そう言うと、オドムはまだ波打っている空間の波紋へと手招きした。直後、新たな……金色の影がぬるりと姿を見せた。その瞬間、マリーたちは思わず……目を見開いた。



「さあ、お待ちかねの瞬間よぉ……!」



 オドムのその言葉に、マリーたちは警戒する……が、マリーたちを身構えさせたのは、それだけではない。何よりも3人の注意を引いたのは、オドムの後ろから姿を見せた――懐かしい、顔。



「――ナタリア」



 イシュタリアがその名を呼んだ瞬間、顔をあげたナタリアの目には……何の感情も浮かんではいなかった。まるで心を失ってしまったかのように、ナタリアの視線は意味不明に辺りをさまよう。


 声にならない呟きと共に、ぽかん、と開かれた口から滴り落ちている唾液が……べったりと、ナタリア自身の身体を汚していた。



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