雨の進軍

雨の進軍泥濘でいねい踏んで どれが川やら道さえ知れず

同期倒れる捨ててもおけず ここはいずくぞ皆敵の域

ままよ大胆一服やれば 頼み少なやタバコが二本


茹でぬパックに半煮え飯に なまじ気力のあるその内は

堪え切きれない寒さの固形燃こけねん 煙いはずだよ外被がいひがいぶる

しぶい顔して功名ばなし 「すい」というのは乾梅かんばいひとつ


着のみ着のまま気楽な臥所 背嚢はいのう枕に外被をかぶりゃ

幕の上から露降りかかる 夜具の寝袋しっぽり濡れて

結びかねたる露営の夢を 月は冷たく顔覗きこむ




原詞:永井建子(1895年)「雪の進軍」より



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短編習作集 片刃御供 @kataba_midomo

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