衝撃!ジャパニーズ・メタル

 私がヘヴィメタルを聴き始めた頃、主に聴いていたのは洋楽のメタルバンドだった。

 しばらくして洋楽のメタルをいろいろ聴いてからも、日本のバンドには手が出なかった。

 理由は「日本語歌詞がダサい」「メロディが歌謡曲」など、ネットでの評判があまりよくなかったことだ。

 前者は偏見が混じっているし、それを言ったら洋楽だって大概な歌詞が多い(バンド名は言わないが……)。後者なんて「歌謡曲が好きかどうか」という個人の好みの問題だ。しかし、私はそれに気づかず、ネットの意見を鵜呑みにしていたのだ。思い込みって怖いね。


 しばらくして、人間椅子や筋肉少女帯などのサブカルっぽい日本のバンドを聴くようになった。この辺のバンドは歌詞が文学的だという評判を聞いていたから、自分の中では許容範囲にあったのだ。


 その後私は、日本を代表するメタルバンドLOUDNESSラウドネスの「THUNDER IN THE EASTサンダー・イン・ジ・イースト」というアルバムを聴いた。これが私が初めて聴いた80年代日本のメタル、いわゆる「ジャパメタ」だった。これは歌詞が英語だったので、歌詞を気にせずに聴けたのだ。ただ、その時は日本のメタルを掘り下げるところまでは行かなかった。


 さらにしばらく経った頃。LOUDNESSと同時期のバンドEARTHSHAKERアースシェイカーの代表曲「MOREモア」をサブスクで聴いた。聴いたきっかけはよく覚えていない。ただ、オリエンタルなイントロと適度にポップで哀愁のあるメロディに心を打たれて泣きそうになったのは確かだ。

「こんなメロディをもっと聴きたい!」

 そう思って、ジャパメタのバンドをいくつも聴き漁るようになった。

 ジャパメタ随一の硬派、ANTHEMアンセム。ハードコア・パンクを取り入れた強烈な激しさを誇る個性派、FLATBACKERフラットバッカー。LOUDNESSに先駆けて日本でハードロックを演奏したパイオニア、BOW WOWバウワウ

 SABBRABELLSサブラベルズには特にハマった。このバンドはサブスクに音源がなく、動画サイトにも公式と思われる動画はほとんどなかった。いきなり通販でボックスセットを買うというバクチを打ったのだが、これが大当たり。日本人らしい情念のこもったメロディ、シンプルながらもヘヴィで怪しげなリフ、ドラマチックな展開、不気味で演劇的なボーカル、オカルト的ながらも情景が浮かぶ歌詞。全てが私の感動のツボを刺激しまくり、アルバムを聴き終えた頃にはただ歓喜に浸るばかりだった。


 実を言うと、私がジャパメタにハマるとは全く思っていなかった。LOUDNESSもEARTHSHAKERもなんとなく気になって聴いただけだ。

 ハマると思わなかっただけに、ハマった後の影響の受け方は激しかった。

 FLATBACKERの過激な詞を自分の文章表現に取り入れようとして書いた(未発表の)詩もあるし、SABBRABELLSを聴きながら文章を書くことはよくある。推しのVtuberの誕生日にサプライズで短編集を贈る企画に参加した時も、SABBRABELLSを聴きながら文章を練った。小説のテーマは明るいものだったが、詞の表現自体はかなり参考になった。

 そう考えると、偏見を捨ててジャパメタに接したことは、私を大きく変えたのかもしれない。

 オープンマインドってのは大事なんだなぁ……。

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人生を変えた出会い 二輪ほむら @wno-41592

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