未来SFの短編です。
短編の中でもかなり短い作品だと思いますが、無駄のない洗練された文からは、その裏でしっかりと作り込まれていたのであろう退廃的な世界観が、しっかりと伝わってきます。
そして、この作品はそれだけではありません。
荒みきっている世界で、それでも動植物は安らぎを与える存在であり、それでも人の心は温かくて素晴らしい――ということがよくわかる作品でもあります。読んでいてぐっと響いてくるものがありました。
作品の最後に出てくる、託された「わずかな文字数に集約した短いメッセージ」。それはこの作品そのものでもあると思います。必ず読者の皆さんの心にも届いてくることでしょう。