君と黄身

杏璃

君と黄身

俺、笹原來翔ささはららいや25歳はある日目玉焼きの黄身と話せるようになった。

 おかしいのは分かってる。原因も一様・・・。

 俺は、25歳にして童貞なのだ。

 「でも、魔法つかいになるのは童貞を30年守り続けたやつじゃないのか?」

 そう、疑問に思うやつも居るかも知れない。俺もそうだうだった。はじめて話せたときは、

 「俺、まだ30じゃねぇよ!だから、あと5年は有用が・・・」

 黄身曰く、

 「お前は、人より早いタイプのやつじゃな」

 だ、そうだ。

 

 ここまでで話した通り童貞だから目玉焼きの黄身と話せるようになったらしい?

 

 そこでだ、読者には色々な疑問が浮かんでいるかも知れない。

 例えば、

 「話せるやつをお前食ってんのかよ!」

 「目玉焼きなら全部なせるのか」

 などなど・・・。

 まぁ、この答えを言えば食ってる。だって、食わねぇーと腐るだろ!卵の賞味期限なめんなよ!

 目玉焼きなら大体のやつとは話せる。

 

 まぁ、なぜかはこの事はこの先読んでいってくれれば分かると思う・・・。

 

 

 俺、笹原來翔が玉子の黄身と話せるようになったのはつい、三ヶ月前のことだ。

 いつものように起きてすぐトイレに行き、手を洗い、フライパンに油を敷き、フライパンに火をつける。そして、その上に卵を落とす。

 これが、俺の20年は続けてきた朝のルーティンみたいなものだ。

 

 ここまではいつもと何ら変わったこともない普通の日々。あえて言うならばこの日は、休日で遅くまで寝ていたこと。それだけだ。

 

 だが、フライパンに卵を落としてから少したってから、どこからか声が聞こえてきた。


 「あぁ、いい火加減だ」

 「えっ!?ど、泥棒?」

 

 泥棒かと、思い片手に持っていたフライ返しを構え部屋を探し回ったがどこにも居ない。

 するとまた、どこからか声が聞こえてきた。

 

 「こ、焦げてしまぅ~」

 「あっ!?目玉焼きの火消してねぇー!やば!」

 

 ここでおかしなことに気がついた。フライパンに近づけば近づくほど声が大きくなってくる。

 

 「は、早く火を」

 「め、目玉焼きが・・・」

 

 俺は驚きのあまりフリーズしてしまった。

 

 「おい!そこのお前!!早く火を止めるんじゃ!」

 「うぇ!?は、はい・・・」

 

 俺は言われるがまま火を止めた。

 

 「おー、悪いな。」

 「い、いや、大丈夫です。そ、それより、な、なんで、卵がは、話してるんだ。ついに俺、おかしくな・・・った。」

 「いや、おかしくはなってないだろう。」

 「だっ、だって、お、俺今目玉焼きと話してるんだぜ」

 「説明してやるから、ちと、落ち着くんじゃ」

 「あぁ、座りてぇから皿に移すな。」

 「おー、よろしく頼むぞ。」

 

 俺は、目玉焼きを皿に移した。

 

 「で?なんで、俺がお前と話せてるんだ?」

 「まず、お前が童貞なのが悪いんじゃ。精力ってのは誰かと交わることで発散できるんじゃ。じゃないと、体に能力として溜まり続ける」

 「は?自家発電はしてるぞ!お前何言ってんだよ!意味わかんねぇ」

 「まぁ、一人でのそれでは解決出来ないこともあるってことじゃ」

 「は?」

 

 

 こんな訳の分からん説明が30分近く続いた。

 その内容は、

 「人は一人ひとり、能力みたいなのを持っていて、それを人と交わることで溜めることなく発散してるらしい。その能力を体にためておく限界が来るのが30歳らしいのだが、俺は人より能力が溜まるのが少し早く25歳にして能力が発動してしまったのだそうだ。」

 

 「で?お前はなんなんだよ!目玉焼き!!」

 「わしか?わしわのー、お前の妖精じゃ!」

 「全く、わかんねぇ!!」

 「お前の能力は自分の妖精と話すことらしいな」

 「は?ついてけねぇよ!」

 「人には能力の他に、妖精がついてるのじゃ。それと、話せるのがお前の能力じゃ!」

 「じゃー、なんでお前目玉焼きなんかに・・・」

 「お前が目玉焼きばかり子どもの時から食うからじゃよ!」

 「ん?」

 「目玉焼きの中がなかなか良くてのー、お前が目玉焼きを食べるまでの数分間目玉焼きの中に居るのじゃ」

 「ダメだ。全くついて行けねぇ。」

 「まぁ、目玉焼きの中からじゃなくてもわしの声は聞こえるじゃろう。よいしょと!」

 

 目玉焼きから飛び出した何かが俺の中に入ってき、脳に直接話し掛けられてた。

 

 

 「きこえるか」

 「まぁ」

 「お前の考えていることが手に取るようにわかるのぉ。」

 「は?ふざせんな!でろ!お前!これから、俺の中に入ってくんの禁止だ。言葉が通じるかぎりこれだけは守ってもらう。」

 「なんか、お主からすごい圧が・・・わ、わかった。約束じゃ。」

 

 それから、目玉焼き(俺担の妖精)と話せるのが普通になり今では・・・

 

 「來翔よ。」

 「なんだよ!じぃじぃ」

 「早く、誰かと早く一夜を過ごすんじゃ」

 「あ?お前がそんな相手いねぇーの一番わかッんだろうが!」

 「悪い、悪い!それより、來翔。目玉焼きは飽きんのか?もう何年朝に食べ続けてる」

 「20年以上だよ」

 「さすがに飽たじゃろう。たまご焼きとかどうじゃ?」

 「いいんだよ!目玉焼きで!これが朝のルーティンなんだから!」

 

 そんなことを笑いながら話せる仲になり、俺の妖精を俺の一番の友達だとも思っている!

 

 


 

 

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