第39話 これからも
アリアはルミサンスに帰還した後転属願いが受理され、階級も上兵になった。王都に出発する3日前アリアはフォンティルに呼び出されていた。
周りには誰も人がいなく寂しくさえ思える。しばらく沈黙が続いたのちフォンティルが口を開く。
「急にこんなとこに呼んでしまって、すいません……」
「いえ、全然構わないですよ」
「実は話したいことがあって呼び出させてもらいました」
アリアがどんな話だろうと思っていると続けてフォンティルが話す。
「おそらくダメかもしれません。 けど、僕は覚悟を決めました。 どうか僕と付き合ってください」
フォンティルは頭を下げ手を差し伸べる。それを見たアリアは少し驚く。まさか、自分が告白されるとは思っていなかったからである。
(もしもここで断ったら今までのように接せる? でも、はっきりとはさせないといけない。 どうしよう)
戸惑い考えること5分、ようやく纏まり口をゆっくり開く。
「フォンティルさん、すいません。 私にはフォンティルさんを恋人としてみることができないです」
「そうですか…… やっぱり厳しかったですか。 でも、諦めないです」
「え?」
「きっと振り向かせます。 王都でも頑張ってください」
「フォンティルさん…… ありがとうございます」
複雑な気持ちを抱えたままアリアはルミサンスを出た。あれから1年何事もなく平和な日々を過ごしている。母親の病気は治り今は激しい運動ができるほど元気だ。
とある日、家のポストに黒い封筒に入った手紙が入っていた。それを机の上に広げるとそれはバルハード王師からだった。
(ええと、アリア・ラ・エニエスタ上兵を緊急招集する。 直ぐに王都を出ルミサンスに向かわれし?)
「なに…… これ……」
それは始まりに過ぎなかったのかもしれない。今までの平穏の日々はあっという間に壊された。
異世界戦記 喰衣 @LMNJ
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます