第7話 優しい魔法にかけられて
僕は目が覚めた。
昨日、病室であかりと眠ってしまったようだ。椅子に座ってベットに突っ伏していた。
「ん……あかり……」
僕は顔をあげた。
そこにあかりはいなかった。
3年後。
僕は、何故か生きていた。
あかりがいなくなって、僕はあかりの魔法のおかげで自我を保ち、生かされていると思っていたからあかりと星になるんだと思っていた。
でもこうやって、生きている。
僕は、星みちる、として星家でお世話になっていた。
星あかりの三回忌にきた。魔法使いでも、人間と同じでお墓があるらしい。魔法使いが亡くなるとき、あかりのケースははじめてのことだった。だから、だれにも真実はわからないのだ。
「あかり……君がいないとどうも調子が悪い。さみしいよ。」
そう、さみしい。
君がいてくれたらと、何度願ったことか。僕には君しかいないから、やっぱりさみしい。自殺しようにも、君に怒られる気がしてやらなかった。
君は今どこにいて、なにをしているのかな。いつも考えている。
手を合わせて、お掃除をして、お花を添える。そして、1個3000円のあの高級チョコをお供えする。
「やっぱ高いよ、これ。」
君とのキスが懐かしい。そう少し思ってしゃがんで君の名前が刻まれた石を見つめる。
さてとと、立ち上がろうとするとぐいっと何かに後ろから引っ張られた。
「うぎゃっ」
僕は墓場を抜けて、気がつくと、お寺の横を流れるちいさな河原にすっ転んでいた。
「いたたたた……何なんだ?」
僕はおしりを抑えて、立ち上がろうとした。
「だれ?」
懐かしい声が頭の上からした。
まさか。
「そのまさか、かもね。」
僕を見て、にやりと彼女が笑う。
「あ……」
僕は満面の笑みで答えた。
「僕は、みちるだよ。」
僕の名前はみちるです。 真風呂みき @mahuromiki
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