第2話~異世界の知識~

翌朝「………………!なに、ここ何処?」と飛び起きた勇は、昨日自分の身に起こった事を思い出し、落ち着きを取り戻した。すでに受け入れるしかないと、自分には言い聞かせてある。溜め息はつかなかった。しかし、代わりに罪悪感が込み上げてくる。実は昨日、別れる前に九時に広間に集合と言われていたのである。王様からではないが。

広間とは召喚者に与えられた食堂兼、交流場みたいなところである。

朝食を食べるために部屋を出て、広間に向かう、勇。

途中、何度か視線を感じたが、それ以外には特になにもなく、広間に着いた。扉を開けるとそこはまさに“広間”だった。優に五十人は座れる机が中央に置かれてあり、それでも左右にスペースがある。広間の広さに呆然としていると、龍が話しかけてきた。

「なーんで昨日来てなかったんだ?」

「分かってる分かってる、みたいな顔して質問するなよ~。」

龍とは中学校からの付き合いで親友と言っても過言ではない。しばらく二人で話していると、さらに聖義が話しかけてきた。

「昨日の集まり、内容を書いといたから、読んどいて。」

天川聖義。どんな人かと問えば百人中九十人以上は「気が利くリーダー」と答えるであろう人物。文武両道でイケメン、そして向上心がありすぎるほどある人物。

「ありがとう、助かるよ。今度からはちゃんと行くから。」

「分かった、でも無理はしないでくれよ。」

流石、相手への気遣いを忘れない。こういうところも人気なんだよな、こいつ。

純粋にすごいと思っていたら、朝食がきた。パンにサラダに……………とにかくすごい量。

「一人分でこれ?って思ってるだろ?大丈夫だ、ペロリと食べれる。」

龍、お前、エスパーか?思ったことを当てられ、更に心配無用だと言ってくれる。

ペロリと食べられるかどうかは置いといて、さっき渡された紙を読みながら一口食べる。…………うん、無茶苦茶美味い。これを何かしながら食べるなんて、料理に対する冒涜に思えてくる。

結局紙をたたんで、ペロリと食べきりました。



「王様が十時に訓練場前に集合って言っていた。これは絶対みたいだから、時間厳守で集まるように。」

そんな聖義の声を聞きながら解散した俺達は十時まで自由行動となった。

一応部屋に戻ろうと思い部屋に向かう。

(聖義にもらった紙はもう読んだし……そういえば、本があったな。たくさんあったし……少し読んどくか。)


部屋に着いた勇は本を読みながら、想像を膨らませていた。

(なるほど…秘境か……やっぱりダンジョンとかなのかな…)

今読んでいるのは、世界地図。文字で詳しい

説明文があるため非常にありがたい。

これによると、この世界には、太古の昔にできたと言われている“秘境”と呼ばれる所があるらしい。どこも最深部の事は分かっていないらしく、故に秘境と呼ばれるようになったとか。

(竜人の里って所があるのか……場所は分からないけど、古代書物に存在が書かれている、か……て事は竜人が居るのかな?もしかしたらドラゴンも……見てみたいなー……)

ーゴーンゴーン

九時を報せる鐘が鳴り響いた。

(……もう九時か…もう少し読みたいけど…あまり夢中になってもダメだし、また空いている時間に読もう…)

地図のページを覚え、本棚に戻してから、勇は部屋を出た。

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