プロローグ
私は冒険者をやっている。
普段はこんな辺鄙な村ではなく、都市の住人からの依頼や迷宮探索をこなして金を稼いでいる。
仕事をほっぽかして村に来た理由は簡単だ。そこが私の故郷であり、数年ぶりに両親や妹の顔を見に来たのだ。月に一度位の頻度で手紙のやり取りはしていたが、やはり家族の温もりは恋しいのだ。私がちゃんと自立できてるのを見せてやりたかったし。
楽しみにしていた帰郷だが、村で私を待ち受けていたのは母さんの困り顔だった。
何があったのかと尋ねてみると、昨日から妹の行方がわからないのだとか。数年前にもそんな事があった。妹は前に一度、森で迷子になった事があった。それ以来、一人で出歩くのを恐れるようになってしまった。だからどこかへ居なくなるなんて信じられなかった。
今回は両親の注意不足ではなく、突然消えたらしい。昨日の朝から姿が見えずそれっきりとのこと。
当然の事ながら、私は妹を探すことにした。今日一日探して見付からなかったら、冒険者ギルドに依頼して死体の調査をしてもらおう。と言うのも、普通の村娘が村の外に出て生きていられる筈がない。一年くらい前に魔獣による襲撃があったと聞くし、生存は絶望的だ。
「ああ、何を考えているんだ、私は」
勿論、妹は無事だと信じている。
今日何としても見付け出す。
私はまず、妹が一人で出歩いた可能性を考える。彼女はもう十四歳。流石に一人で危険を犯したりしない筈だ。人為的な介入があったと考えるべきか。誰が?
私は村中を聞き回った。小さな村だが、それでも千人以上の人々が暮らしている。
何人か目撃者がいると思っていたが、しかし、誰一人今朝に妹を見た者は居なかった。あり得ない話だ。何かがおかしい。
村中を駆け回って収穫はゼロ。
藁にも縋る思いで村の片隅にある寂れた屋敷に赴いた。
ネクロマンサー 猫茶 @nekotha
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ネクロマンサーの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます